「賃上げ」の動きは中小企業にも広がるか? 平均賃金は前年度同時期より「1.57ポイント」増
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月24日 11時0分
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政府は働き方改革実行計画において、最低賃金を「年率3%ほどをめどとし、名目GDP(国内総生産)成長率も考慮しながら引き上げる」「全国の加重平均を1000円にする」を目標としています。 賃上げは大企業からはじまっており、徐々に中小企業にもその動きがひろがりつつある状態です。では、実際に中小企業で賃上げしている割合はどの程度なのでしょうか。本記事では賃上げしている中小企業に注目して解説します。
2023年5月時点での賃上げの割合は過去最高に
日本労働組合総連合会が2023年5月に公表した「2023春季生活闘争 第3回回答集計」によると、2023年5月8日現在で月例賃金(毎月きまって支給される賃金)の改善を要求した企業4833社のうち3686社が改善することを決定しました。また、すでに改善されている企業は2146社です。
・平均賃金が前年度同時期より1.57ポイント増
同調査によると、平均賃金方式において定昇相当込み賃上げ計の加重平均は1万923円で、引上げ率3.67%(前年同時期比1.57ポイント増)でした。
そのうち従業員数300人未満の中小企業2478社の加重平均は8328円、引上げ率は3.35%(前年同時期比1.33ポイント増)です。
有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は加重平均で、時給56.48円で前年同時期比31.94円増、月給8849円で前年同時期比3773円増となっています。これらの数値は、比較可能な過去の結果も含めたなかで過去最高です。
中小企業の多くが平均賃上げ率以上の賃上げ予定
日本商工会議所が2023年4月に発表した「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」によると、全国の中小企業3308社のうち、賃上げ実施予定と回答した企業が58.2%でした。前年度比で12.4ポイント増という結果です。
・中小企業の平均賃上げ率を上回る賃上げ予定の企業が約6割
賃上げ率については、近年の中小企業賃上げ率の平均2%弱を上回る賃上げを予定している企業が58.6%でした。また、消費者物価上昇率を補える程度の賃上げとして4%以上を予定している企業が18.7%となっています。
・最低賃金の引上げをした企業が約4割
2022年10月には最低賃金の引上げ(全国加重平均31円)があったことから、それに伴って最低賃金を上げた企業が38.8%ありました。
さらに、2023年の最低賃金について42.4%の企業が引上げる必要があると回答しています。この数値は、最低賃金の引下げや現状維持を望む企業数(33.7%)を上回っています。
最低賃金や賃金の引上げに向けた国の支援
中小企業や小規模事業者向けに国が行っている支援もあります。
・業務改善助成金
こちらは中小企業や小規模事業者の業務改善を目的に、従業員の賃金引上げを支援する制度です。生産性向上のために必要な設備投資を行ったり、企業内の最も低い賃金を一定額以上引上げたりした場合に、国が必要経費の一部を助成します。
・働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)
働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)は、中小企業の事業団体(3社以上)が労働時間の短縮、賃金引上げを目的とした生産性向上のためにかかった費用を助成する制度です。
・働き方改革推進支援センターに相談できる
働き方改革推進支援センターは賃上げに伴う業務改善についてアドバイスをしたり、生活衛生関係営業などの収益力や生産性の向上を目的とした支援事業を紹介したりしています。必要であれば、関係機関が開催するセミナー、出張相談会に講師の派遣も行っています。
中小企業の賃上げ率は前年度より増加傾向
中小企業の約6割が平均賃上げ率を上回る賃上げをする予定となっており、前年度以上に賃上げ予定の企業が増加しています。最低賃金については引下げや現状維持を望む企業の声もありますが、それ以上に引上げを希望する企業が多い状況です。
中小企業や小規模事業者の賃上げをサポートする国の助成金などもあるため、人材確保などの点からもそれらを活用して賃上げを積極的に行う企業がさらに増加することが予想されます。
出典
厚生労働省 賃金 (賃金引上げ、労働生産性向上)
日本労働組合総連合会 中小組合の奮闘で「賃上げの流れ」の広がりが明らかに 2023春季生活闘争 第5回回答集計結果について
日本商工会議所 「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」の集計結果について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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