「厚生年金」は最高でいくらもらえる?現役時代の年収がいくらの人が対象?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月24日 9時50分
![「厚生年金」は最高でいくらもらえる?現役時代の年収がいくらの人が対象?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_209050_0-small.jpg)
厚生年金の支給額は、おおむね現役時代の収入が高いほど高くなります。 この厚生年金の支給額は最高でどれくらいの金額になるのでしょうか。また、どれくらい現役時代に収入があればその額の厚生年金を受け取ることができるのでしょうか。簡単にシミュレーションしてみます。
厚生年金の最高額はいくら?
まずは厚生年金の最高額についてざっくりとシミュレーションしてみましょう。平成15年4月以降、厚生年金の支給額は下記の計算式で決定されます。
【図表】
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2023/05/c8a0305ac62526260baef24833f7602b-3.jpg)
出典:日本年金機構 は行 報酬比例部分
上記のうち特に重要なのが平均標準報酬額です。平均標準報酬額とは、各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割った額になります。標準報酬月額は65万円(月給63万5000円以上が該当)が上限に、標準賞与は150万円(150万円以上の賞与で該当)が年3回で合計450万円までが上限になります。
では、標準報酬月額が常に65万円、標準賞与は150万円×年3回で、23歳から65歳まで働いたとして計算してみましょう。年収換算すると1212万円で、支給される厚生年金の額は283万1485円となります。
つまり、厚生年金を最高額で受け取ろうと思ったら、大卒で23歳から働いた場合で65歳までの間、常に年収1212万円以上で働かなければならないことになります。実際に新卒から65歳までこれだけの条件で働き続けることは現実味に欠ける部分はありますが、理論上不可能ではない数値になります。
理論上の最高値は?
では、厚生年金の支給額の理論上の最高値を考えてみましょう。中学卒業後の16歳から、厚生年金の加入上限年齢である70歳まで、54年間働いたと仮定します。年収に関しては先と同じように、標準報酬月額が常に65万円、標準賞与は150万円×年3回で1212万円だとします。
すると、受け取る厚生年金の額は年間364万480円です。16歳から70歳まで1212万円の年収で働き続けるというのは、まずありえないと考えられますが、理論上の最高値としてはこのようになります。参考までに、国民年金による支給分を含めると、受け取れる年金額は合計で443万5480円になります。
※計算を簡略化するため繰り下げ受給については考慮しない。
現実的な範囲で厚生年金の受給額を増やすには?
ここまで見てきたような額の厚生年金を将来受け取ることは現実的ではありません。参考までに令和5年度の標準的な厚生年金支給額は年額110万3784円となっています。
※平均的な収入(平均標準報酬については賞与含む月額換算で43.9 万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金額です。
現実的に考えると年金額を増やす方法としては、下記の3つがあります。
・より長く厚生年金に加入する
・転職や昇進などで給与自体を増やす
・繰下げ受給を行う
上記のうち、より長く厚生年金に加入する方法は特に効果的です。先の計算式にあるように、厚生年金は基本的に長く加入している人ほど多くもらえる仕組みになっています。現在では高齢者を歓迎している求人も増えているだけでなく、再雇用や定年延長で70歳まで働ける会社も出てきており、長く厚生年金に加入しやすくなってきました。
また、併せて繰下げ受給も検討したいところです。繰下げ受給は65歳から1ヶ月受け取り時期を遅らせるだけで、将来受け取る年金が0.7%増額します。75歳まで繰り下げれば、受け取る年金額は65歳から受給した場合と比べて1.84倍となり、年金額を増やす方法として就労とともに有効な方法になります。
厚生年金は年収1212万円あれば364万円以上受け取れる
厚生年金は加入期間とその間の給与によって支給額が決まります。理論上、年収1212万円であれば、年間で364万円以上の厚生年金を受け取ることができます。
しかし、これだけの額を受け取ることは現実的ではありません。将来少しでも多く年金を受け取りたいと考えるのであれば、できるだけ長く働いたり、年金の受給開始時期を繰り下げつつ、可能な限り現役時代に給与が高くなるよう努力をしたりしてみてください。
そうすることで、将来受け取る厚生年金の額をより増やすことができるでしょう。
出典
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:柘植輝
行政書士
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