いつも無計画の父が「月の年金14万だけで老後は過ごせる」と言い張るのですが、その額で老後は乗り切れますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月24日 10時40分
年金だけで、老後の生活費をまかなえると楽ですが、実際は、それが難しいケースもよくあります。このリスクを踏まえたうえで、しっかり対策しておくことが望ましいでしょう。それにもかかわらず、親が無計画で楽観的に考えていると、子どもとして心配になることもあるでしょう。 そこで今回は、月の年金が14万円の父親を想定して、その受給額で、老後を乗り切れるのかについて説明します。
消費支出と年金を比較
総務省による令和3年度の家計調査では、65歳以上の消費支出の平均額が発表されています。それによると、単身の無職世帯は約13万2000円で、夫婦のみの無職世帯は約22万4000円です。よって、父親が単身者で月々に年金を14万円受け取るならば、金額的には生活が可能と判断できます。
父親と母親が同居しているケースでも、母親が9万円ほど受給できるならば、年金の合計額が消費支出額を上回ります。ただし、こうした単純な比較だけで、年金だけで暮らせると結論付けるのは早いでしょう。あくまでも、上記の数値は平均にすぎず、ライフスタイルによっては、大きく超過してしまう可能性があります。
例えば、単身者の消費支出のうち、食費の平均額は約3万6000円ですが、外食が多い場合や物価が高い地域では、5万円以上になるケースもあるでしょう。また、持ち家ではなく賃貸住宅で生活しているならば、約1万3000円という住居費の平均額を大きく上回るかもしれません。
非消費支出も考慮が必要
消費支出は、あくまでも、生活の維持に不可欠な支出にすぎません。実際は、非消費支出とよばれる、多様な出費も生じることを覚えておきましょう。
具体的には、社会保険料や税金など、自分たちでは調整できないコストが該当します。上記の家計調査では、65歳以上の非消費支出も報告されており、単身の無職世帯では、約1万2000円でした。これを消費支出と合算すると、トータルで年金の14万円を超えてしまいます。
夫婦のみの無職世帯は約3万円なので、合算したときの上がり幅はより大きくなります。母親の受給額にもよりますが、やはり父親の年金が14万円では、厳しくなる可能性があります。
なお、非消費支出に関しても、個人差がある点に注意が必要です。例えば、住宅ローンの利子や固定資産税などは、住まいの購入価格などによって異なります。したがって、さらに不足するケースも想定しておくことが大切です。
乗り切れないケースを想定
上記のような実情があるために、月に14万円の年金を受け取るだけでは不十分、と考えておいたほうが無難でしょう。
それを前提として、月14万円の年金だけで老後を過ごせると言い張る親には、早めの対策を勧めたほうがよいでしょう。なんとかまかなえる可能性もありますが、老後になってから乗り切れないと判明した場合には、不足分を確保することが難しくなるからです。
具体的な対策としては、NISAやiDeCoといった投資に関する制度を使って、資産形成を行うという方法があります。また、年金の繰下げ受給を申請することも有効な手段です。受け取る時期を遅らせると、その期間に応じて、受給額を増やせます。勤務先に再雇用を申し出るなど、ほかにもいろいろな対策がありますので、なるべく並行して取り組ませることもポイントです。
老後の見通しをもとに早期の対策を!
親が老後の資金繰りを楽観視しているのならば、公的なデータなどを用いて、実情を示すことが大事です。消費支出と非消費支出に関する情報を共有すれば、どれくらいのリスクがあるのかが、理解しやすくなります。
年金だけでは乗り切れないと判断した場合は、早期に対策を始めなければなりません。いずれにせよ、将来の収支に関する見通しを立てて、真剣に話し合うことが不可欠です。
出典
総務省 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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