「小規模多機能型居宅介護」と「看護小規模多機能型居宅介護」の違いとサービス内容とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月26日 1時0分
介護サービスについて調べていて、名称が似ている2つの介護サービス「小規模多機能型居宅介護」「看護小規模多機能型居宅介護」の違いが気になった人もいるでしょう。 そこで本記事では、両サービスの内容や特徴、利用料金などの基本的な情報を、それぞれ整理して比較します。 「小規模多機能型居宅介護」「看護小規模多機能型居宅介護」の同じ点、異なる点を把握して、必要な介護サービスを選べるようにしましょう。
小規模多機能型居宅介護とは
「小規模多機能型居宅介護」は、要支援者や要介護者であっても可能なかぎり自宅や住み慣れた地域で自立した生活を送れるように支援する、地域密着型サービスの施設です。
施設への通い(デイサービス)を中心に、短期の宿泊(ショートステイ)、訪問介護を柔軟に組み合わせて、地域住民との交流と家庭的な環境のもとで生活支援や機能訓練を行います。
小規模多機能型居宅介護のサービスの創設以前は、デイサービスやショートステイ、訪問介護などの異なる介護サービスは、それぞれ別の施設で受けなければなりませんでした。
そのため、サービスごとに対応するスタッフが異なり、なじみづらい、ケアの連続性が損なわれるといった問題があったのです。
小規模多機能型居宅介護のサービスが創設されたことで、異なる介護サービスを同じ事業所で利用が可能で、なじみのあるスタッフから連続性のあるケアを受けられるようになりました。
利用対象者
小規模多機能型居宅介護の対象者は、次の要件の両方に当てはまる人です。
・要支援認定1・2または要介護1~5の認定を受けている
・事業所と同一の市町村に居住している
なお、小規模多機能型居宅介護は、住み慣れた地域での在宅生活を継続していくことを目的の一つとしているため、自分の住んでいる自治体にある施設のみ利用ができます。
利用定員・人員基準
小規模多機能型居宅介護の1日の利用定員は、1事業所につき29名以下と定められています。サービス内容ごとの定員は次のとおりです。
・通い:登録定員の半数~15名(一定の要件を満たす施設は最大18名まで)
・泊まり:登録定員の3分の1~9名
また、介護支援専門員1人の配置と、以下の基準を満たす人数の介護・看護職員の配置が定められています。
・日中:通いの利用者3名につき1人+訪問対応1人
・夜間:泊まり・訪問対応2人(1人は宿直可)
利用者負担額
小規模多機能型居宅介護の介護度ごとの自己負担額は、図表1のとおりです。なお、居住する地域の地域区分によって利用者負担額は異なります。
【図表1】
事業所と同一建物に居住する人以外 (1割負担の場合) |
事業所と同一建物に居住する人 (1割負担の場合) |
|
---|---|---|
要支援1 | 3403円 | 3066円 |
要支援2 | 6877円 | 6196円 |
要介護1 | 1万320円 | 9298円 |
要介護2 | 1万5167円 | 1万3665円 |
要介護3 | 2万2062円 | 1万9878円 |
要介護4 | 2万4350円 | 2万1939円 |
要介護5 | 2万6849円 | 2万4191円 |
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「どんなサービスがあるの? -小規模多機能型居宅介護」より筆者作成
このほかに、食費や宿泊費、光熱費、オムツ代などの日常生活費が別途かかります。
看護小規模多機能型居宅介護は小規模多機能型居宅介護+訪問看護の複合サービス
看護小規模多機能型居宅介護は、複合型サービスとよばれる介護サービスです。小規模多機能型居宅介護のサービスに加えて、看護師などによる訪問看護を組み合わせることで、次のようなケースの支援を行います。
・退院直後の在宅生活への移行
・看取り期や病状不安定期の在宅生活の継続
・家族へのレスパイトケア(リフレッシュなどの目的で一時的に介護から離れるための支援)、相談対応
利用対象者
看護小規模多機能型居宅介護の対象者は、次の両方に当てはまる人です。
・要介護1~5の認定を受けている
・事業所と同一の市町村に居住している
要支援者は対象外である点が、小規模多機能型居宅介護とは異なります。また、医療機関で常時治療を受ける必要性がある人は、看護小規模多機能型居宅介護を利用できません。
利用定員・人員基準
看護小規模多機能型居宅介護の1日あたりの利用定員、サービス内容ごとの利用定員は、小規模多機能型居宅介護と同様です。また、以下の基準を満たす人数の介護・看護職員の配置が定められています。
・日中:通いの利用者3名につき1人+訪問対応2人(1人以上が常勤の保健師または看護師)
・夜間:泊まり・訪問対応2人(1人は宿直可)
小規模多機能型居宅介護と比べて、看護職員の配置が手厚い点が特徴です。
利用者負担額
看護小規模多機能型居宅介護の介護度ごとの自己負担額は、図表2のとおりです。なお、居住する地域の地域区分によって利用者負担額は異なります。
【図表2】
事業所と同一建物に居住する人以外 (1割負担の場合) |
事業所と同一建物に居住する人 (1割負担の場合) |
|
---|---|---|
要介護1 | 1万2341円 | 1万1119円 |
要介護2 | 1万7268円 | 1万5558円 |
要介護3 | 2万4274円 | 2万1871円 |
要介護4 | 2万7531円 | 2万4805円 |
要介護5 | 3万1141円 | 2万8058円 |
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「どんなサービスがあるの? -看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)」より筆者作成
このほかに食費や宿泊費、光熱費、オムツ代などの日常生活費が別途必要です。
主な違いは利用対象者と訪問看護サービスの有無
小規模多機能型居宅介護は、同一の事業所で通い、宿泊、訪問介護を柔軟に組み合わせて利用できる地域密着型サービスです。支援や介護が必要な状態になっても、自宅や住み慣れた地域で生活できるように支援することを目的としています。
一方の看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護のサービスに加えて訪問看護サービスを利用できるもので、要介護状態の人を対象としています。
2つのサービスは似ていますが、利用対象者や訪問看護の有無などに違いがあるため、状況に応じて適切なサービスを利用することが大切です。
出典
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 どんなサービスがあるの? -小規模多機能型居宅介護
厚生労働省 小規模多機能型居宅介護
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 どんなサービスがあるの? -看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
厚生労働省 看護小規模多機能型居宅介護の基準等
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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