「世帯年収650万」の場合、子ども2人を大学まで行かせるには合計いくらかかる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月25日 8時40分
大学全入時代を迎えつつある現代ですが、それゆえ教育費の存在は親の頭を悩ませるものでもあるようです。そこで、世帯年収650万円の世帯が子ども2人を大学まで行かせるにはどれくらいのお金がかかるのか考えてみました。
幼稚園から高校まですべて私立なら1800万円以上かかる
文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によれば、幼稚園から高校卒業までの15年間でかかる教育費の総額は、すべて私立に通った場合で1838万円となるようです。
子ども2人とも高校まで私立となると総額で3700万円を超えることになります。その負担は世帯年収650万円の家庭にとってはかなり大きなものとなりそうです。
一方で、全て公立であれば教育費の総額は574万円となります。子供2人でも1200万円未満と、こちらであれば世帯年収650万円の家庭であっても十分現実的な数字です。
図表1
出典:文部科学省 令和3年度子供の学習費調査
大学の教育費はどれくらいかかる?
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査」の結果によれば、大学は入学にかかる費用だけで国公立でも67万円程度、私立理系なら90万円近くかかるようです。
図表2
出典:日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
それに加えて、年間の授業料などの教育費も生じます。
図表3
出典:日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
国公立大学でも年間103万5000円の教育費が、私立理系大学なら183万2000円もの教育費がかかります。
4年間の教育費用と教育費の総額は国公立大学でも481万2000円です。私立大学なら文系でも689万8000円と700万円近い教育費がかかります。私立理系にもなれば820万8000円と800万円を超える教育費となります。
子ども2人を大学に行かせるなら最低でも2100万円以上必要
ここまでの教育費をまとめると、子ども2人を大学まで行かせるには幼稚園から進学先の全てを公立(国立)で済ませたとしても2100万円を超える教育費が必要となります。高校だけ私立という場合でも2500万円以上必要となります。
仮に進学先がすべて私立、大学は理系だとしたら、大学卒業までに子ども2人で5317万6000円と、5000万円以上もの教育費が必要になります。大学まですべて公立(国立)の場合はともかく、すべて私立となると世帯年収650万円の家庭から捻出するのは簡単ではありません。
もし、家計からの捻出が難しいというのであれば、奨学金を借りるという方法があります。奨学金の場合、借主は子供となるため原則子どもによる返済が必要になりますが、親から子どもに返済用のお金を渡すことで子どもの負担を小さくすることができます。
もう1つ、子どもに負担を強いたくないというような場合は、銀行などの各金融機関が実施している教育ローンを利用するのもいいでしょう。奨学金と異なり、こちらであれば親が借り入れるお金であり、子どもが返済する必要がありません。
世帯年収650万円であれば、住宅や車のローンなどお金の借り入れ状況にもよりますが、教育ローンが1円も借りられないということはそうそうないでしょう。
大学無償化は利用できない?
大学の授業料と入学金について、免除または減額とともに給付型奨学金の給付といった支援を受けられる通称「大学無償化」なる制度があります。現在の子育て世帯においては、この制度を頼りに子どもの大学進学をと考えている世帯も少なくないようです。
しかし、大学無償化は住民税非課税世帯ないしそれに準ずる世帯が支援の対象です。年収が650万円あると子どもが2人いたとしても原則支援対象となりません。したがって、年収650万円の世帯であれば大学無償化の制度に頼ることなく教育費を用意していく必要があるのです。
なお、働き方や家族構成によっては、いわゆる私立高校無償化の対象となることもあります。私立高校に子どもが進学する場合は、家計の負担軽減のため私立高校無償化制度についても確認しておくとよいでしょう。
まとめ
年収650万円の世帯において子ども2人を大学まで出そうと思ったら全て公立(国立)に通わせても2100万円程度は教育費を確保する必要がありそうです。すべて私立となれば2人分で5000万円以上と多くのお金がかかり現実的ではありません。
もし、子どもの教育費が重く感じるのであれば、無理に家計内から出そうと考えるのではなく、必要に応じて奨学金や教育ローンなども検討してみてください。そうすることで、子育てによる金銭的な負担を分散させながら子供2人を大学進学させることができるでしょう。
出典
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査
日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
執筆者:柘植輝
行政書士
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