遺族厚生年金の加算は65歳以上と以下で対象が異なる? 「中高齢寡婦加算」と「経過的寡婦加算」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月28日 23時20分
「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」は、遺族厚生年金の加算制度です。夫が亡くなった際に支給される重要な年金であることは理解していても、具体的な受給要件や加算される額を把握していない人も多いのではないでしょうか。 本記事では、遺族厚生年金をはじめ、中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算の概要や受給要件について解説します。
遺族厚生年金とは?
遺族給付の1つである遺族厚生年金の支給対象になるのは、会社員や公務員などの厚生年金保険に加入している人や加入していた人の遺族です。厚生年金保険の加入期間や払い込んだ保険料を基にした年金額が支給されます。
遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入している人、加入していた人によって生計を維持されていた遺族であれば、多くのケースで支給されるでしょう。なお、遺族厚生年金の受給要件は以下のとおりです。
●厚生年金保険の被保険者期間中に死亡した
●厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある病気やけがが理由で初診日から5年以内に死亡した
●1級または2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した
●老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の受給資格期間が原則25年以上ある人が死亡した
また、遺族厚生年金を受け取れるのは、死亡した被保険者または受給権者によって生計を維持されていた遺族のうち、優先順位が最も高い人です。
1.妻(30歳未満で子がいない場合の受給期間は5年間)
2.子(18歳に到達した年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある子)
3.夫(死亡当時に55歳以上、遺族基礎年金と合わせて受給する場合のみ55歳から60歳の間でも遺族厚生年金の受給が可能)
4.父母(死亡当時に55歳以上で、受給は60歳から可能)
5.孫(18歳に到達した年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある子)
6.祖父母(死亡当時に55歳以上で、受給は60歳から可能)
遺族厚生年金の加算給付とは?
遺族厚生年金の加算給付制度となるのが「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」です。いずれも夫を亡くした妻を加算対象とする重要な年金ですが、受給要件や受け取れる年金額に違いがあります。
中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算それぞれの概要や受給要件を解説しますので、その特徴や、自分は受給できるかどうかを正しく認識しておきましょう。
中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算は、厚生年金保険被保険者期間が20年以上の夫が死亡した際の遺族年金加算給付制度です。以下の要件に該当する妻の遺族厚生年金に対し、40~65歳に到達するまでの間、年額59万6300円が加算されます。
●夫が死亡した時点で40歳以上65歳未満
●生計を同じくしている子(※)がいない
●遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っている子のいる妻、子の年齢が18歳到達年度末日(障害の状態にある場合は20歳)となり、遺族基礎年金を受給できなくなった場合
(※)生計を同じくしている子とは、「18歳に到達した年度の3月31日までの子」「20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある子」
妻が自分の老齢基礎年金を受け取れる65歳になると中高齢寡婦加算の支給が終了し、経過的寡婦加算の支給対象となります。
経過的寡婦加算
遺族厚生年金を受け取っている妻が65歳に到達した時点で、中高齢寡婦加算から経過的寡婦加算の対象に変わります。中高齢寡婦加算の支給終了に伴う年金額の低下を防ぐことを目的とした加算です。
寡婦である妻の生年月日が1956年4月1日以前で、中高齢寡婦加算の受給要件を満たす妻に対して支給されます。
支給額は中高齢寡婦加算と同額になるように設定されているため、具体的な計算式はありません。妻の生年月日によって支給額が決まる仕組みです。
受給要件を確認して加算される年金額を把握しておこう
中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算ともに遺族厚生年金の加算給付制度であり、一定の要件を満たす人を対象に支給されます。夫の収入で生計を維持していた場合、経済的に困窮するケースを防ぐのに役立つ加算といえるでしょう。
ただし、中高齢寡婦加算は、生計を同じくしている子の年齢など受給要件が細かく定められています。また、1956年4月2日以降生まれの妻には経過的寡婦加算は支給されません。
自分が受給要件に該当するのかを確認した上で、加算される年金額などを把握しておいてください。
出典
日本年金機 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 中高齢寡婦加算
日本年金機構 経過的寡婦加算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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