靴、かばん、時計…。相次ぐ定価の値上げ。並行・中古品を買うのはどうなの?
ファイナンシャルフィールド / 2023年5月30日 9時10分
近年、日用品はもちろん、舶来品を中心とした値上げが相次いでいる。特に靴やかばん、時計といった、誰もが一度は「こだわりたい」と思うブランドが、恐ろしいスピードで手が届かなくなるのは、非常に由々しき状況といえるのではないだろうか。 32歳のAさんは社会人になってずっと、装飾品などの「少し高くても長く使える本物」を探し続けているが、ここ最近は「それにしても高すぎ」と感じるケースが増えており、商品の探し方も大きく変わってきたという。値上げのペースと幅がハンパではないブランド品をどう探していくのか。そのポイントを伺った。
靴・かばん・時計…。値上げの幅はどのくらい?
値上げの幅、タイミング、ペースは装飾品の種類やメーカーによって異なるが、Aさんいわく、ブランド品の中でも特に「良心的」な価格設定をしていたメーカーによる「桁越え」の値上げが、消費者にとっては非常にキツいという。
「例えば革靴の場合、イギリス靴の良心とまで言われた『Church’s(チャーチ)』の値上げは衝撃的でしたね。数年前まで7〜8万円で購入できた『コンサル』が今では15万円程度ですから。ほぼ倍近くの値上げです」
値上げ幅だけでなら高級腕時計も壮絶だ。例えば、技術力や歴史、デザイン性と比較すると良心的な価格設定で知られていた「ジャガー・ルクルト」の名機のエントリーモデル「レベルソクラシック・モノフェイス」、は数年前まで70万円台で購入できていた。しかし、現在の定価は103万4000円と大台を突破している。
「特定のメーカーに限った話ではないので、他社の製品との『価格差』は広がっているわけでないのかもしれません。ただ、やはり心理的なハードルは高くなるばかりですよ。どう考えても、一度上がった価格は下がることはないんですから」
ただ、それでも良いモノやしこう品への興味を断ち切ってほしくないともAさんは語る。
「『ローンを組んでも買うべき!』とはまったく思わないんですが、消費者の情報収集としこう品の捉え方次第で、負担を少なく購入することも不可能ではないと思います」
並行品と中古品を買うのはどうなの?
ブランド品をお金の負担を少なく購入する方法はそう多くはない。その代表的な方法が「並行輸入品」もしくは「中古品」だろう。いずれにしても、時計であれば価格差は数十万円近く異なるケースもある。
実際、前述したレベルソの同モデルは、中古ではおよそ30%OFFに近い70万円代で購入することも可能。このように割安で購入できるのは非常に魅力的だ。靴や時計、かばんなど、すべて正規店で購入した経験があるAさんだが、今後の購入先は「並行品・中古品でよい」と考えているという。
「値札を付けて歩くわけじゃないので、購入したのが正規品かそれ以外か、なんて分からないんですよ。それに同じ趣味やこだわりを持っている人と直接会って話すときも、大体、『なぜその商品を選んだのか』とか『ブランドが好きな理由』などがほとんど。『正規店で買ったの?』ってわざわざ聞かれたことはないですね。SNSでは結構『正規店で買った』という声は聞かれますが、それって自己申告なんですよ。だから、正規と並行・中古問題はどこまでいっても自己満足の世界なんだと思うんです」
また、しこう品だからこそ、あえて中古品を楽しめるポイントも非常に多いという。
「長く使える良いモノって、昔から変わらず愛されているデザインだったり、シンプルな機能だったりすることが多い。むしろ、革などの素材は昔の方が良いモノを使っているケースもあるんですよね。デザインや機能が目まぐるしく変わって陳腐化しやすい家電だとそうはいきませんから。その時代の背景などを調べながら、機能的にはほとんど変わらないブランド品を探すのは、『最高の購入体験』だと私は思いますね」
まとめ
メーカー定価の値上げラッシュが避けられない昨今、「本物」を楽しむためのハードルは上がり続けている。人によっては、値上がりした価格で正規店で購入することを含めた「本物」もあるし、それ以外に価値を感じる人もいるだろう。
これからしこう品を購入する際は、自分にとっての価値を明確にして、インターネットショップやオークションを含めたあらゆる手段を講じて、納得して対価を支払う「消費者の努力」も求められるのではないだろうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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