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年収300万円でも月15万円の年金を受け取れる? 「無理なく」年金を繰り下げるコツ

ファイナンシャルフィールド / 2023年5月31日 3時40分

年収300万円でも月15万円の年金を受け取れる? 「無理なく」年金を繰り下げるコツ

「年収300万円だと年金は大してもらえないんじゃ……」「300万円の年収では老後の年金収入が不安」と考えている人もいるでしょう。   しかし、繰下げ受給を選択することで、年収300万円の人の年金額をぐっと引き上げることが可能です。本記事では、年収300万円の人の年金額が、繰下げ受給でどのくらい増えるのかをシミュレーションするとともに、無理なく繰下げ受給をするコツを紹介します。

年収300万円の人が65歳からもらえる年金額の目安

年収300万円の人が65歳から受け取れる老齢年金の金額の目安を試算してみましょう。なお、条件は以下のとおりとします。
 

《条件》

・年収の変動はないものとする
・ボーナスの支給はないものとする
・国民年金は40年間満額納付、厚生年金は22歳から60歳の38年間納付したものとする
・平成15年4月以降に厚生年金に加入したものとする
・令和5年度時点の水準で計算する

 
国民年金を免除を受けずに40年間満額納付した人の、老齢基礎年金の受給額(年額)は、次のとおりです。
 
6万6250円×12ヶ月=79万5000円
 
厚生年金を38年間納めた人の老齢厚生年金の金額は、次のように計算できます。
 
平均標準報酬額26万円×5.481/1000×38年×12ヶ月=64万9827円
 
老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額は、年額144万4827円となります。月額では月額12万402円です。
 

年収300万円の人が繰下げ受給した場合の年金額は?

老齢年金の繰下げ受給を選択すると、次の式で計算した増額率が適用されます。
 
老齢年金の増額率=0.7%×65歳の誕生日前日が属する月から繰下げ申し出月の前月までの月数
 
増額率は75歳で最大の84%となります。年収300万円の人の老齢年金の月額を約12万円とすると、75歳まで繰下げ受給したときの年金額は12万円×184%=22万800円まで増加します。
 
月15万円の年金をもらうことを目標に繰下げ月数を計算すると、25%の増額が必要です。増額率が25%を超えるのは繰下げ月数が36月のときなので(増額率25.2%)、68歳0ヶ月で受給を開始すれば、1ヶ月の年金額が15万円を超える計算です。
 

無理なく年金を繰り下げるコツ

年金の繰下げ受給を利用すると、年金額を増やせる一方で、受給開始前に体調を崩してせっかく増やした年金を使う楽しみがなくなったり、想定よりも早く亡くなって年金を受け取れなかったりするリスクがあります。
 
繰下げ受給を選択したときは、年金額の目標を持って、受給開始時期の予定を立てることも大事です。しかし、健康状態などの変化などに応じて、臨機応変に予定を早めて受給をスタートするなどの対応も想定しておきましょう。
 
また、繰下げ受給を選択すると、定年退職でメインの収入がなくなってから、年金受給開始までの期間が長くなります。繰下げ待機期間も収入を途切れさせない方法を検討すると安心です。例えば、以下のようなパターンが考えられます。
 

定年後も働きながら繰下げ待機する

健康状態などに問題がなければ、再就職して繰下げ待機期間を過ごすことが選択肢になります。無収入の期間がなくなって安心感があるだけではなく、厚生年金保険加入の要件を満たしていれば、加入期間を延ばして老齢厚生年金の金額を増やす効果も期待できます。
 

基礎年金と厚生年金の片方だけを繰り下げる

基礎年金と厚生年金は、別々に繰り下げが可能です。厚生年金と基礎年金のいずれかだけ繰り下げれば、無収入の期間をなくしながら将来の年金額を増やせます。
 
また、老齢厚生年金の繰下げ待機中は加給年金額を受け取れませんが、基礎年金だけ繰り下げれば加給年金額もしっかり受給可能です。
 

夫婦のどちらかの年金だけ繰り下げる

夫婦どちらかの年金だけを繰り下げる選択肢もあります。繰下げ待機期間中も配偶者の年金収入があるため、世帯の収入は途切れさせずに増額メリットを享受できます。
 
なお、女性のほうが平均寿命が長いことを考えると、より長い期間、自分の年金で暮らしていかなければならない可能性が高い妻の年金を繰り下げるほうが、長期的に見たメリットは大きいといえるでしょう。
 

年収300万円でも繰下げ受給で月額15万円の年金がもらえる可能性がある

年収300万円の人が65歳から老齢年金を受け取る場合、令和5年度での満額の受給額の目安は毎月12万円程度です。しかし、繰下げ受給を選択すると、3年の繰下げで15万円、最大まで繰り下げると20万円を超える年金額をもらえる可能性があります。
 
自分の健康状態や収入・貯蓄の状況に合わせて、無理のない範囲で繰下げ受給を活用し、将来の年金収入を増やしましょう。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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