「タンス預金」って絶対にバレるんですか? 現金なら気付かれないと思うのですが…
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月4日 2時10分
急な出費や防災対策のために、タンス預金を始めてみようかと考えている人もいるかもしれません。タンス預金自体は違法ではありませんが、しばしば脱税や相続税の過少申告の手法として使われるため、税務署では目を光らせています。 本記事では、タンス預金のメリットとデメリット、タンス貯金がバレる理由ついて解説します。
タンス預金のメリット・デメリット
タンス預金のメリットは主に3点です。
第一に、金融機関が破綻した場合、預金の元本1000万円までとその利息であれば保証されますが(ペイオフ制度)、それ以上の預金があれば預金の一部が失われる可能性があります。しかし、タンス預金にはそのような心配はありません。
第二に、いつでも必要なときにお金が使えることです。突発的な出費や事故・入院などで、銀行やATMにも出向けないときに、当面の支払いに対処できるので安心です。
第三に、銀行口座が凍結される恐れがないことです。金融機関の口座は、口座名義人が死亡すると即座に凍結され、遺産分割協議など所定の手続きが終わるまでお金を引き出せません。相続人は、葬儀代や相続税といったまとまったお金が必要になりますので、タンス預金であればこの点も困ることはないでしょう。
タンス預金のデメリットは主に3点です。
第一は、基本的には盗難や災害時の補償が何もないことです。銀行であれば被害にあっても補償されますが、タンス預金は自分で頑丈な金庫を用意するなどして、リスク回避をしなければなりません。
第二に、保管場所を忘れる、紛失してしまう可能性もあります。家具やケースに保管していた場合、うっかり失念してそのまま処分してしまう可能性もあるでしょう。
第三に、タンス預金は相続税の課税対象ですが、相続人がその存在を知らずに相続税申告をすると、のちに税務署から重加算税や延滞税などを課される場合があります。
なぜ、タンス預金はバレるのか?
税務署は、銀行や証券会社に対して独断で照会をかける権限をもっており、口座の入出金から株式の売買履歴、被相続人の家族の口座まで承諾なしで調べられます。つまり、贈与税や相続税対策に家族の口座へ預金を移し替えたとしても、すぐにバレてしまうわけです。
調査官、口座情報から100万円以上の出金額があるとその用途を追求し、使い道が説明できなければタンス預金(隠し財産)を疑います。疑いをかけられると実地調査が行われるため、タンス預金の多くがこの調査によって発覚しています。
さらに、税務署は「国税総合管理(KSK)システム」という、すべての納税者の申告や納税情報を一元的に管理しているシステムにアクセスできます。ここには、資産の購入や売却などの情報も蓄積されているので、相続税申告の内容と照らし合わせて矛盾や疑問点があると調査対象とされてしまいます。
タンス預金は数十万までに
防災面から考えても、タンス預金で緊急時に備えるとしても、数十万ほどにしておきましょう。ただし、多額の現金を手元に置くことには、さまざまなリスクがともなうことも忘れてはいけません。
また、相続税対策のためのタンス預金は危険です。税務署にバレる可能性が高く、バレた場合は追加の税金を支払い、悪質と判断されれば刑事罰を科せられることもあります。
出典
財務省 国税総合管理(KSK)システムの概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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