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【社会保障の主な制度変更】 第3回「労災保険の介護(補償)等給付額の改定」、「労災就学援護費及び労災就労保育援護費額の改定」を解説

ファイナンシャルフィールド / 2023年6月8日 1時40分

【社会保障の主な制度変更】 第3回「労災保険の介護(補償)等給付額の改定」、「労災就学援護費及び労災就労保育援護費額の改定」を解説

令和5年4月より、さまざまな制度が変更になりました。本記事では、医療、年金、労災、子育てなどの社会保障のうち、国民生活に影響がある制度変更のポイントを5回にわけて解説します。   第3回目は、「労災保険の介護(補償)等給付額の改定」と、「労災就学援護費及び労災就労保育援護費額の改定」について取り上げます。

労災保険の介護(補償)等給付額の改定

仕事、通勤以外の事由が原因で要介護状態になった場合、40歳以上の方は要介護認定を受けることにより「介護保険」から介護サービスを受けることができます。ただし、40歳~64歳の方は介護の原因が16種類の特定疾病に該当することが必要です。
 
一方、仕事や通勤中に労働災害に遭い、一定の障害を負って介護を要する状態となった労働者に対しては、労災保険から介護(補償)給付が支給されます。
 
両者の関係は、重複して補償される部分については労災保険が優先的に適用され、労災保険でも補償されていない部分については、介護保険を利用できます。
 
介護(補償)等給付を受給するには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
 

・業務災害、または通勤災害の認定を受けた
・障害等級(または2級の一部)に該当し、常に介護が必要または随時介護が必要
・実際に介護を受けていること
・病院や介護施設に入院・入所していないこと

 
介護(補償)給付の給付額は、令和5年4月から、介護を要する程度の区分に応じ、以下の額となります(( )内は令和4年度の額)。
 

(1)常時介護を要する方

・最高限度額:月額17万2550円(17万1650円)
・最低保障額:月額7万7890円(7万5290円)

 

(2)随時介護を要する方

・最高限度額:月額8万6280円(8万5780円)
・最低保障額:月額3万8900円(3万7600円)

 

労災就学援護費及び労災就労保育援護費額の改定

労働災害で亡くなった方の遺族や、重度の障害を負った方やその家族について、進学をあきらめたり、学校をやめたりすることがないように、学費や保育費の補助のための支給制度があります。
 
支給制度には、小学校から大学を対象とした「労災就学援護費」と、保育児を対象とした「労災就労保育援護費」の2種類があります。
 
「労災就学援護費」は次の(1)~(3)いずれかに当てはまり、学費などの支払いが困難(年金給付基礎日額が1万6000円以下)と認められる場合に受給できます(出典:厚生労働省 請求(申請)のできる保険給付等 ~全ての被災労働者・ご遺族が必要な保険給付等を確実に受けられるために~)。
 

(1) 遺族(補償)等年金を受給していて、死亡した労働者の子と生計を同じくしており、その子が学校教育法第1条の学校など※に在学している(以下「在学中」)、または受給者本人が在学中
 
(2) 第1~3級の障害(補償)等年金を受給していて、生計を同じくしている子が在学中、または受給者本人が在学中
 
(3) 傷病(補償)等年金を受給していて(せき髄の損傷などで傷病の程度が特に重篤と認められる人に限る)、生計を同じくしている子が在学中

 
「労災就労保育援護費」は次の(1)~(3)のいずれかに当てはまり、保育費用を援護する必要があると認められる場合に受給できます(出典:厚生労働省 請求(申請)のできる保険給付等 ~全ての被災労働者・ご遺族が必要な保険給付等を確実に受けられるために~)。
 

(1) 遺族(補償)等年金を受給していて、死亡した労働者の子と生計を同じくしており、その子を就労のために保育所などに預けている、または受給者本人がその家族の就労のために保育所などに預けられている
 
(2) 第1~3級の障害(補償)等年金を受給していて、生計を同じくしている子を就労のために保育所などに預けている、または受給者本人がその家族の就労のために保育所などに預けられている
 
(3) 傷病(補償)等年金を受給していて(せき髄の損傷等で傷病の程度が特に重篤と認められる人に限る)、生計を同じくしている子どもを就労のために保育所などに預けている

 
令和5年4月から、学校等の区分に応じ、支給額は以下の額に改定されました。
※()内は令和4年度の額。その他の区分は改定ありません。
 

〈労災就学援護費〉

(0)大学等(改定なし)
月額 3万9000円 、通信制課程は月額 3万円
 
(1)高等学校等(通信制を除く)
月額1万9000円(1万7000円)
 
(2)高等学校等(通信制)
月額1万6000円(1万4000円)
 
(3)中学校等(通信制を除く)
月額 2万円(1万8000円)
 
(4)中学校等(通信制)
月額1万7000円(1万5000円)
 
(5)小学校等
月額1万5000円(1万4000円)

 

<労災就労保育援護費>

(6)要保育児
月額1万1000円(1万3000円)

 
今回は「労災保険の介護(補償)等給付額の改定」と、「労災就学援護費及び労災就労保育援護費額の改定」について見てきました。該当する方は、活用しましょう。
 

出典

厚生労働省 厚生労働省関係の主な制度変更(令和5年4月)について
厚生労働省 労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令の施行等について/「労災保険の介護(補償)等給付額」、「労災就学援護費及び労災就労保育援護費額」
厚生労働省 請求(申請)のできる保険給付等 ~全ての被災労働者・ご遺族が必要な保険給付等を確実に受けられるために~
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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