年金の学生納付特例制度とは? 一定の収入がある学生も利用できる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月9日 5時0分
国民年金保険は、日本国内に住む全ての方が20歳になったら加入しなければなりません。国民年金の被保険者になった場合は、月々の保険料を納付する必要がありますが、大学や短大、専門学校などに通う学生の多くは、収入がないため支払いが難しいでしょう。 そのような状況を踏まえて設けられているのが、学生本人の申請によって在学中の保険料納付を猶予される「学生納付特例制度」です。本記事では、学生納付特例制度の内容や申請できる条件、利用する際の注意点を紹介します。
学生納付特例制度とはどのような制度?
学生納付特例制度とは、第1号被保険者が定められた条件を満たす学生の場合、本人が申請することで、年度内(4月から翌年3月まで)の国民年金保険料の納付が猶予される制度です。
利用できる条件は、以下のとおりです。
・国民健康保険の第1号被保険者であり、大学院、大学、短大高等学校、高等専門学校等の教育機関に在学中である
・前年度の所得が基準以下であること(所得基準=128万円+扶養親族の数×38万円+社会保険料控除額等)
なお、学校の課程は問いません。夜間・通信・定時制でも申請は可能です。また、学生だが通信課程に所属しており、所得があったが失業した場合も利用できます。
ただし、利用できるのは学生のみです。大学に通っていたが諸事情で退学した場合は、利用できないので注意しましょう。申請は、毎年行わなければなりません。大学在学期間中の全てで特例制度を利用したい場合は、年度が替わる度に申請しましょう。
学生納付特例制度を利用するメリットと注意点
学生納付特例制度を利用する最大のメリットは、猶予を受けた期間が受給期間に含まれることです。65歳以降に国民老齢基礎年金を受け取るためには、最低でも10年の受給資格期間が必要です。
国民年金を納めなかった期間は通常受給資格期間に含まれませんが、学生納付特例制度を利用すれば、納付期間に含められます。例えば、4年間学生納付特例制度を利用した場合、実際に保険料を支払った受給資格期間が6年でも国民老齢基礎年金を受け取れます。
ただし、将来受ける年金額には反映されません。もらえる年金額は、10年間受給資格があった方より少なくなります。猶予を受けても10年間は追納が可能なので、社会人になったら追納しておくのがおすすめです。
アルバイトなどで一定の収入があった場合に納付特例は利用できる?
アルバイトなどで一定の収入があり、基準を超える収入があった場合は学生納付特例制度を利用できません。扶養する親族がおらず、控除できる社会保険料などがない場合は、128万円以上の収入があると利用できないと覚えておきましょう。
大学の夜間部や通信制の大学、高校に通っている場合、昼間や空いている時間に仕事をしている方も珍しくありません。収入がある場合は年収を確認しておきましょう。
また、正社員はもちろんのこと、アルバイトやパートでも週の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数がフルタイムで働く労働者の4分の3以上になると、厚生年金保険の加入対象となります。厚生年金保険に入っている場合は、学生納付特例制度を利用できません。
しかし、パートやアルバイトをしていても前年度の所得が基準以下であったり、現在は失業して無収入だったりする場合は、学生納付特例制度を利用できます。学生でも専業主婦(主夫)の配偶者や子どもがいる場合は、扶養家族×38万円を加えて計算するのを忘れないようにしましょう。
収入がない学生は学生納付特例制度を利用して支払い猶予を受けよう
現在は、20歳で働き、苦もなく国民年金を毎月納めている方も多くいるでしょう。20歳になって国民年金第1号被保険者になったものの、年金を支払う余裕がない場合は、学生納付特例制度を利用しましょう。
なお、学生納付特例制度を利用する際には、申請が必要です。学生になったら自動的に学生納付特例制度の対象となるわけではありません。
一定の収入があると、学生納付特例制度は利用できません。現在は学生のうちに起業する方もいます。収入がある場合は、基準値を超えているかどうか計算してみてください。
また、厚生年金に加入している方も対象外です。就職して経済的に余裕ができたら、保険料を追納しておくと将来もらえる年金の額が減りません。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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