「児童手当を18歳に延ばすなら扶養控除の方がマシ!」ってどういう意味? 分かりやすく解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月11日 10時0分
政府が進める「異次元の少子化対策」として、児童手当を18歳まで月1万円支給する方向で調整されています。 対象となる家庭では年間12万円支給されることとなり喜ぶ人がいる一方で、「扶養控除をなくすなら同じだ」、「それなら年少扶養控除を復活してほしい」などの声があがっているのをご存じですか? 児童手当の拡充は手放しで喜べないことなのでしょうか? 本記事では、児童手当と扶養控除の関係について解説します。
児童手当拡充は扶養控除の見直しが検討されている
政府は児童手当を18歳まで延長するための財源を、16歳から18歳までの扶養控除の見直しによって確保することを検討しています。もし16歳から18歳までの扶養控除がなくなるのであれば、児童手当を受け取る代わりに所得税と住民税が上がることになります。「扶養控除をなくすなら同じだ」という声が上がるのはそのためです。
子ども手当がスタートしたときに年少扶養控除は廃止された
2010年以前は16歳未満の扶養親族は「年少扶養親族」と呼ばれ、扶養控除(所得税38万円、住民税33万円)が設けられていましたが、2011年10月にスタートした民主党政権の「子ども手当」にともなって2011年分より廃止されました。
その他、16歳以上19歳未満に対する扶養控除に設けられていた上乗せ部分25万円も廃止されたのです。所得税率が高い人にとっては、子ども手当以上の増税となった人もいるでしょう。
児童手当を18歳まで延長するなら「年少扶養控除を復活してほしい」という声は、16歳未満の扶養親族に対する扶養控除の復活を指しています。
図表1
国税庁 Ⅱ 主な税制改正について
扶養控除廃止による増税額
本当に「児童手当より扶養控除の方がマシ」になるのか、試算してみましょう。16歳から18歳の扶養控除が廃止された場合、所得税率20%の人の増税額は以下のとおりです。
【所得税】
扶養控除38万円×20%=7万6000円
【住民税】
扶養控除33万円×10%(一律)=3万3000円
7万6000円+3万3000円=10万9000円
扶養控除がなくなったことで、所得税と住民税が合わせて10万9000円増える結果となりました。児童手当は年間12万円受け取れますが、実質としては1万1000円になります。プラスではありますが、すずめの涙ですね。
年少扶養控除復活による減税額
同じ条件で、年少扶養控除が復活した場合についても計算してみましょう。税金額の計算は同じであるため、減税額は10万9000円です。
年少扶養控除が復活するのであれば、児童手当は現在と同じ15歳までの支給と考えられることから、失う児童手当は16歳から18歳までの3年間分となる、36万円です。これに対して、0歳から15歳までの15年間で163万5000円の減税が受けられることから、年少扶養控除復活のメリットは非常に大きいことが分かります。
ただ、16歳未満の子どもを育てる人たちに偏った政策であるため、実現されない可能性が高いでしょう。
まとめ
扶養控除の有無による税金への影響は意外と大きいことが分かりました。「児童手当の支給を18歳までのばすなら扶養控除のほうがマシだ!」という意見は、所得税率が高い人にとっては合致している話でした。児童手当の所得制限が撤廃されたとしても、年収の高い人は児童手当以上に税金を支払うことになります。
出典
国税庁 Ⅱ 主な税制改正について
国税庁 No.1180 扶養控除
東京都主税局 個人住民税
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
大学生の息子から「今年のアルバイトの年収が103万円を超えそう」と言われました。お店が忙しくシフトは減らせないそうですが、年収600万円の私はいくら「税金」が増えるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月27日 5時10分
-
大学生のアルバイト収入が「103万円」を超えるとどうなる? 「103万円の壁」を改めて確認
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月22日 1時20分
-
毎月通勤手当を「3万円」もらっています。夫の「扶養内」で働きたいのですが、勤務時間を「年収130万円」未満になるようにしていれば問題ないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月16日 2時10分
-
「子ども3人で毎月5万円」児童手当が拡充された人ほど危ない…FPが警鐘「これからの増税で痛い目に遭う人」
プレジデントオンライン / 2024年11月7日 11時15分
-
大学生になったらたくさんアルバイトして、充実した生活を送りたいです。親から「稼ぐ額に気を付けて」と言われましたが、稼ぎすぎると負担が増えるのでしょうか? 負担といっても、大した額じゃありませんよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月4日 6時10分
ランキング
-
1トヨタの世界販売台数、10月として過去最高…国内生産は前年の反動で8・3%増
読売新聞 / 2024年11月28日 13時30分
-
2お父さん、ちょっとアフリカに行ってくる…〈60歳定年で退職金2,500万円〉〈65歳で年金月19万円〉、堅実に生きてきた55歳父が突然の早期退職。仰天行動に家族が絶句「うっ、うそでしょ⁉」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 5時15分
-
3車載電池向け電解銅箔メーカー、日本電解(株)(茨城)が民事再生、今年初めての上場企業倒産
東京商工リサーチ / 2024年11月27日 20時40分
-
4カフェ、コンビニが問われる「脱使い捨て」の責任 グリーンピースがごみ大量排出の実態を解明
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 7時30分
-
5アングル:「ドル等価」目前のユーロ、急反転で市場混乱の恐れも
ロイター / 2024年11月28日 14時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください