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「奨学金300万円」の返還がつらい…「自己破産」するとどうなる?「減額」や「猶予」は可能?

ファイナンシャルフィールド / 2023年6月14日 10時0分

「奨学金300万円」の返還がつらい…「自己破産」するとどうなる?「減額」や「猶予」は可能?

「奨学金の返還がつらい」となったとき、自己破産が頭に浮かぶ人もいるのではないでしょうか。本記事では、「奨学金の返還で生活が苦しい。しかし、自己破産を選ぶのも怖い」と漠然とした不安を抱えている人へ向けて、奨学金で自己破産をするとどうなるのか、自己破産をする前に知っておいてほしいことについて解説します。

奨学金の回収率は88.9%

労働者福祉中央協議会の調査によると、奨学金の借入総額の平均は324万3000円、毎月の返還額は1万6880円となっています。そして、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の調査では、2019年度末における奨学金の回収率は88.9%となっており、10人に1人は返還が難しい状況にあることが分かります(図表1)。
 
図表1
 

 
独立行政法人 日本学生支援機構 返還金の回収状況及び令和元年度業務実績の評価について
 
また、同じく日本学生支援機構の調査によると、2019年12月末の時点では奨学金の返還を延滞していない人から無作為抽出した7673人のうち、「延滞したことがある」と答えた人は19.7%でした(図表2)。今は順調に返還している人であっても、過去には延滞経験があるということです。「奨学金の返還がつらい」と感じている人は、思った以上に多いのではないでしょうか。
 
図表2
 

 
独立行政法人 日本学生支援機構 令和元年度奨学金の返還者に関する属性調査結果
 

自己破産とは? 自己破産するとどうなる?

「自己破産」という言葉にどのようなイメージがありますか? おそらく、多くの人が漠然と「とんでもないこと」と思うのではないでしょうか。まず、自己破産について簡単に知っておきましょう。
 
自己破産とは、借金の返済ができないことを裁判所に認めてもらい、借金の支払い義務が免除される手続きのことをいいます。つまり、自己破産をすると奨学金を返す必要がなくなるのです。ただし、単に「借金がチャラになってラッキー」という話ではありません。自己破産によって借金がなくなる代わりに、以下のようなデメリットもある点に注意する必要があります。
 

●奨学金の連帯保証人、保証人が返還請求を受ける
●財産を処分しなければならない
●ブラックリストに載る
●官報で公告される
●職業に制限がかかる(弁護士、税理士、宅地建物取引主任者など)

 

自己破産する前に知っておいてほしいこと

「奨学金を返せないから自己破産するしかない」と結論を急ぐ前に、救済措置を利用してみましょう。代表的な奨学金である日本学生支援機構は、「返還期限猶予制度」や「減額返還制度」などの救済措置を用意しています。
 
なお、返還が困難だからといって、滞納すべきではありません。延滞金がつく上に、ブラックリストに載ってしまうからです。
 

返還期限猶予制度

経済困難や失業などで奨学金の返還が困難になった場合には、返還期限の猶予を願い出ることができます。認められた場合には原則として最長10年間、返還を待ってもらうことができます。
 

減額返還制度

返還期限猶予制度と同様に、経済的理由などによって奨学金の返還が困難な場合には、毎月の返還額を当初の2分の1または3分の1に減額することもできます。適用期間は1回の願い出につき12ヶ月で、通算で最長15年間まで減額し続けることが可能です。
 

まとめ

「奨学金の返還がつらい」という人は自己破産ではなく、「返還期限猶予制度」と「減額返還制度」を検討してみましょう。ただし、いずれも奨学金の返還義務がなくなる措置ではないので、適用を受ければ、その分完済までの時間がのびることになりますが、つらい状況の「今」をまず変えることを優先してみましょう。
 

出典

労働者福祉中央協議会 「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」調査結果の要約

独立行政法人 日本学生支援機構 返還金の回収状況及び令和元年度業務実績の評価について

独立行政法人 日本学生支援機構 令和元年度 奨学金の返還者に関する属性調査結果

独立行政法人 日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)

独立行政法人 日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)

 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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