年収1000万円は「共働き」と「片働き」で手元に残る金額にどれだけ差がある? 節税方法も解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月14日 9時50分
年収1000万円は、年収500万円といった金額と比較すると税金控除額が減り、税率が高くなります。それでは、同じ世帯年収1000万円でも、共働きと片働きでは手元に残る金額にどれだけの差が出るのでしょうか。また、ふるさと納税や、保険料や医療費の支払いなどの節税方法についても解説しますので、参考にしてください。
所得税の税率
図表1
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁の公式ページでは5%から45%まで設定されています(図表1)。年収1000万円の人の控除額は153万6000円であり、税率を求める方法は下記の方法です。
課税される所得金額×税率-控除額=税額
共働きで世帯年収が1000万円の場合、1人ずつ所得税を計算する必要があります。1人ずつの収入から計算を行い、合計した金額が世帯で支払う所得税です。片働きで1000万円を稼いだ場合は、下記の計算方法です。
1000万円×0.33%-153万6000円=176万4000円
共働きで1人当たり500万円、世帯年収1000万円の場合は、下記の計算方法で計算できます。
500万円×0.20%-42万7500円=57万2500円
57万2500円×2=114万5000円
1人で1000万円を稼ぐ片働きの場合と、2人で500万円ずつの収入がある共働き家庭では、世帯年収は同じ年収1000万円でも、片働き世帯のほうが、61万9000円所得税が安く設定されています。共働きの家庭は税率と控除税が500万円の区分で計算するため、節税になり、手元に残りやすいです。
上記の式を利用して、自身の所得金額をあてはめて計算してみましょう。
年収1000万円の人が高くなる税金
年収1000万円を超える人は、共働きで世帯年収1000万円の世帯よりも税金を多く支払う必要があります。多くの税率が高いですが、特に所得税と配偶者控除が高く設定されており、多くの税金を納める必要があります。ここでは支払う前に知っておきたい、特に注目したい税金をみていきましょう。
「所得税率」が上がる
年収が増えると所得税の税率が上昇するため、多くの納税額を納める必要があります。所得税の税率は、900万円から1799万9000円までは税率が33%であり、控除額は153万6000円に定められています。
共働きで年収がそれぞれ500万円の場合は、694万9000円までの税率は20%に定められており、控除額も42万7500円です。年収が1000万円を超えると控除額も減るため、税金対策を行う必要があります。
年収が1000万円を超えると「配偶者控除」を受けられなくなる
配偶者控除は年収が1000万円までと定められており、超えてしまうと控除が一切受けられなくなります。年収900万円以上になると控除額が減らされるため、年収を少し落としても控除額が減ってしまいます。年収1000万円を超えると配偶者控除が受けられないため、所得税や住民税が増えて納税額が増えます。
年収1000万円の人がすべき節税対策3選
年収1000万円は税金が高いですが、控除する方法も用意され、うまく利用すると節税対策ができます。ここではふるさと納税や、地震保険料控除といった対策方法を解説します。
ふるさと納税
ふるさと納税は税収格差解消を目的としており、納税者は納税したい自治体を選べる制度です。ふるさと納税を行った地方自治体から2000円を除いて翌年の住民税からふるさと納税をした分が控除されます。ふるさと納税は税金対策にあたるかといえば厳密には異なりますが、高額納税を行う人は納めた金額に応じた返礼品を受け取ることができます。
保険料や医療費は年収の高い人が支払う
保険料や医療費は年収が最も高いほうが支払うと、控除額が大きくなります。家族の保険料でも実際に支払っている場合は、所得から控除できる対象であるため、控除額が増えれば課税所得が減ります。
還付金の制度は年間10万円以上の医療費を負担すると、確定申告によって支払った金額の一部が還付されます。還付金の計算方法は、申告者の所得税率を使用するため、納税額が最も多い人が支払うと返金額が多くなります。
地震保険料控除
地震保険料控除は、保険料の支払い金額に応じて控除されます。地震保険料の支払いが5万円以下の場合は、支払金額の全額が控除対象です。保険料の支払い金額が5万円以上の場合は一律5万円までが控除対象扱いであり、超えてしまった分は控除されません。地震保険料控除は保険料の支払いで最大5万円まで控除されるため、加入者は申請して控除を受けましょう。
まとめ
片働きで年収1000万円の場合は税率が33%であり、共働き世帯と比較すると高い税金を支払う必要があります。配偶者控除は対象から外れてしまうため、所得税や住民税が増えて納税額が増えてしまう点は大きなデメリットです。
節税対策はふるさと納税や、地震保険による控除を受けるといった方法があります。片働きで世帯年収が1000万円を超える場合は、節税対策を行いながら支払い金額を減らしましょう。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1191 配偶者控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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