現在35歳、平均年収400万円です。もしこのまま給料が上がらない場合、将来年金はいくらもらえますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月15日 22時50分
会社員であった方が65歳から受給できる老齢年金の額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額となります。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用すれば大まかな年金額が分かりますが、自ら計算すると、個々人の状況に合わせた、より詳細な年金額を知ることができます。 本記事では、専門学校の卒業後20歳で就職した現在35歳の方が、65歳で退職するケース(在職期間は45年)をモデルに、65歳から受給することができる老齢年金の見込額について解説します。なお、この間の平均年収は400万円であったものとします。
老齢基礎年金の見込額
65歳から受給する老齢基礎年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)の国民年金保険料納付状況によって決まります(※1、2)。
老齢基礎年金額=79万5000円(令和5年度額)×(国民年金保険料納付済月数÷480月)
モデルの会社員は20歳から60歳までの40年間、厚生年金の被保険者として、国民年金保険料も納付していますので、受給できる老齢基礎年金額は満額の79万5000円と見込まれます。
老齢厚生年金の見込額
65歳から受給する老齢厚生年金額は、下式のとおり報酬比例部分、経過的加算および加給年金額の合計額となります(※3)。
老齢厚生年金額=報酬比例部分+(経過的加算+加給年金額)
このうち経過的加算とは、年金制度改正に伴う差額を補うもので、その額はわずかであることがほとんどです。
また加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あるなど一定の要件を満たす方が65歳になった時点で、その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者、または18歳到達年度の末日までの間の子(または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子)がいるときに、一定額の年金が加算されるものです。
報酬比例部分は、厚生年金に加入していたときの報酬額と加入期間などをもとに、下式により計算される額で、老齢厚生年金の主要な金額となります(※4)。
報酬比例部分(注)=平均標準報酬額×0.005481×加入期間の月数
注:平成15年3月以前の加入期間に関する計算方法は異なります。
報酬比例部分の算定に使われる平均標準報酬額は、在職中に支払われる厚生年金保険料の算定に用いられた標準報酬月額と標準賞与額の合計額を、厚生年金の加入期間(在職期間)の月数で割った値となります。
平均標準報酬額=(標準報酬月額の合計額+標準賞与額の合計額)÷加入期間の月数
また、標準報酬月額は給与の額に、標準賞与額は賞与の額に、それぞれほぼ等しいと仮定します。これにより、厚生年金に加入していた期間(在職期間)の標準報酬月額と標準賞与額の合計は、在職中に得た給与と賞与の合計額(年収の合計額)とほぼ等しい額となります。
したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式を、平均年収と在職年数を用いて以下のとおり置き換えることができます。
報酬比例部分=(標準報酬月額の合計額+標準賞与額の合計額)×0.005481
報酬比例部分≒(平均年収×在職年数)×0.005481
モデルの会社員の場合、平均年収は400万円、在職期間は45年になりますので、老齢厚生年金の見込額は下式のとおり98万6580円となります。
老齢厚生年金(報酬比例部分)=(400万円×45年)×0.005481=98万6580円
老齢年金の見込額
モデルの会社員が65歳から受給する老齢年金の額は、老齢基礎年金79万5000円と老齢厚生年金98万6580円の合計額となりますので、178万1580円と見込まれます。
まとめ
会社員であった方が65歳から受給する老齢年金の額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額となります。老齢基礎年金の額は20歳から60歳までの間の国民年金保険料納付済期間により算出され、老齢厚生年金の額は在職中の平均年収と在職年数により概算することができます。
したがって、平均年収が400万円であった会社員が、20歳から65歳まで在職した場合の老齢年金は178万1580円と見込まれます。ねんきんネットなどのシミュレーションと合わせて、老齢年金のより詳細な見込額を計算してみてはいかがでしょうか。
出典
(※1)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※2)厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
(※3)日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※4)日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
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