【マンション購入】マンション管理組合の経理担当になった！ 修繕積立金の預け先はどうする？

マンションを購入すると、マンション管理組合に加入することになります。マンション管理組合とは、マンションを管理・維持するための組織で、共有スペースの不具合を修理したり、将来の修繕計画・資金管理などを行ったりします。   マンションを購入した人は全員「区分所有者」となり、総会への参加も含めて、適切なマンション管理を行う義務があります。中には、マンション管理組合の理事長や経理などを担当し、マンションの修繕計画や費用などについて、実際に検討する立場になる方もいらっしゃいます。   2023年3月にアメリカの銀行が経営破綻に至ったのは記憶に新しいところです。では、マンション管理組合の名義になっている預金等は、預金保険の対象でしょうか？   もちろん、マンション管理組合名義の預金も対象です。決済用預金を除き、預金保険は1000万円とその利息までが保護の対象となっているのは、マンション管理組合名義の預金も例外ではありません。   マンション管理組合の経理担当になり、その任期中に、マンション管理組合名義の預金が1つの金融機関で1000万円を超える場合、そのまま後任に託しますか？ それとも、預ける銀行を複数にする、つまりマンション管理組合名義の預金通帳の数を増やしますか？   金融機関に預けるという手段の他に「マンションすまい・る債」という選択肢があります。マンション管理組合の理事長や経理担当を務めている方はもちろん、マンションを区分所有しているすべての皆さまが知っておくとよい情報です。

住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」

2023年4月17日から2023年10月13日まで、住宅金融支援機構では、修繕積立金の計画的な積み立てをサポートする10年満期の「マンションすまい・る債」の募集が行われています。マンションすまい・る債には、以下のような特長があります。
 
住宅金融支援機構が国の許可を得て発行している債券で、この範囲内でマンションすまい・る債を購入することを「積立」といいます。また、預金ではありませんので、預金保険の対象ではありません。
 

■定期的な利息

「マンションすまい・る債」の利率［10年満期時の年平均利率（税引き前）］は0.475％です。毎年1回、定期的利息を受け取ることができます。利息は元本に複利せず、指定の金融機関口座に振り込まれます。また満期時には元本と一緒に利息を受け取れます。
 

■マンション共用部のリフォーム融資の金利引き下げなど

「マンションすまい・る債」を積み立て中に、マンション共用部分リフォーム融資を利用する場合、借入金利が年0.2％引き下げになります。また同じく、マンション共用部分リフォーム融資の保証料が、2割程度割り引かれます。
 

■毎年継続した購入ができる

1回・1口あたり50万円として複数口購入することができ、毎年同一口数であれば、1回以上最大10回（毎年1回）継続購入して積み立てることができます。
 

■中途換金ができる

初回の債券発行日から1年以上経過すれば、手数料なしで修繕工事等のために、1口単位（50万円）で中途換金できます。中途換金時には、元本と所定の利息を加えた金額を受け取ることができます。
 

■無料で保管してくれる

購入した債券が盗難・火災・紛失等の事故に遭うことがないように、すべての債券を発行元の住宅金融支援機構が無料で保護預かりしてくれます。
 
なお、「マンションすまい・る債」は住宅金融支援機構が国の認可を受けて発行している債券です。住宅金融支援機構の「債（債券）」ですから、銀行の預金ではありません。つまり、先述の預金保険機構の「普通預金や定期預金等なら元本1000万円とその利息が保護の対象」という点を気にしなくてよいことになります。
 

まとめに代えて

マンションを購入すると、マンション管理組合の理事や経理担当がまわってきたり、総会に参加して修繕費の使い道などさまざまなことを決議したりする必要があります。
 
今回は、マンション管理組合等の修繕積立金の預け先の選択肢の1つとして、「マンションすまい・る債」を挙げました。もちろん、債券ではなく、預金ならではのメリットもありますので、マンション管理の実情に合わせてそれぞれ比較検討してみてください。
 
6月はマンション管理組合の総会シーズンです。アメリカで銀行の破綻が相次ぎました。総会の議題の1つとして挙げてみてもよいかもしれません。
 

出典

金融庁 預金保険制度
住宅金融支援機構 マンションすまい・る債
住宅金融支援機構 1章 マンションすまい・る債の概要
住宅金融支援機構 4章 毎年の利息のお受取等について
 
執筆者：大泉稔
株式会社ｆｐＡＮＳＷＥＲ代表取締役