【育児休業給付金】パパも「育休」を取りたいけど、夫婦で育休取得した場合お金は大丈夫?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月18日 2時0分
男性の育児休業をめぐる動きが活発です。政府は男性の育休取得を促進するため、法改正などの支援を進めており、企業の中にも男性従業員の育休取得率の向上に積極的に取り組む会社も多くなってきています。 「会社の制度も整ってきたし、父親にも育休を取ってもらいたい」と思う一方、「夫婦2人で育休を取ってしまうと、その間のお金はどうなるの?」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。 育児休業中の育休手当、父親と母親が同時に育休を取った場合の制度について解説します。
育休中にもらえるお金「育児休業給付金」
従業員(雇用保険の被保険者)に子どもが生まれたら、養育のために一時的に取得することができる「育児休業」。休業前の2年間のうち11日以上働いた月が12ヶ月以上ある場合などに、基本は1年間、最長で2年間の休業が可能です。
育休中には生活に困らないように「育児休業給付金」いわゆる「育休手当」が支給されます。育休手当は具体的にいくらほどもらえるのでしょうか? 育休手当の算出式は以下の通りです。
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
休業開始時賃金日額×支給日数××50%
産後6ヶ月までは育児休業前の給与の約3分の2、それ以降は半分の金額が給付されます。いくつかの制約がありますが、この育休手当は最大で産後2年間受け取ることが可能です。
育休手当は男性も同額もらえる
働く女性が出産して育休を取得した場合には、育休手当が給付されることはご存じの人も多いと思いますが、男性が育休を取得した場合でも育休手当をもらえるのか、不安に思う人もいるかもしれません。
特に世帯収入で夫の方が収入は多く、夫が休業になった場合、その期間の生活費が心配という世帯も少なくないと思います。
しかし安心してください。育休手当は男性も女性の場合と同じように給付されます。夫婦で育休を取得しようと考えている場合も、金銭面で安心できますね。
育休手当以外にもある優遇措置
また、育休中は育休手当の支給だけでなく社会保険料(健康保険・厚生年金保険)も免除されます。免除期間は、育児休業等を開始した日が含まれる月から、終了した日の翌日が含まれる月の前月までとなります。被保険者本人負担分だけでなく、事業主負担分も免除となります。
この社会保険料の免除という優遇措置も、男女問わず、育休中に適用されます。
所得税の減税
さらに育休手当は非課税で所得とはみなされないので、育休中は6ヶ月までは育休前の収入の67%、それ以降は50%の収入があるにもかかわらず、税金の計算上は所得0とみなされ、所得税もその分少なくなります。
もし所得税の算出の対象となる1年間丸々育休を取得していれば、所得税は0になります。社会保険料もかからない上に、所得税も少なくなることを考えると、特に6ヶ月までの67%の期間に関しては、金銭的なマイナスは少ないのではないでしょうか。
積極的に活用したい夫婦そろっての育児休業
夫婦での育休取得や、父親の育休取得を考える場合、育休中の生活費が心配になりますが、これらの育休中の給付と優遇措置を考えると、経済的な心配はかなり軽減されそうです。
2人同時の育休取得が不安なら「分割制度」や「パパ育休制度」の活用を
それでも夫婦で育休を取り、世帯収入が67%に減ってしまうことが不安な場合は、2022年10月から始まった「育児休業の分割制度」や「産後パパ育休制度」の利用を検討してみてもよいでしょう。
「育児休業の分割制度」は夫婦ともに2回まで分割して育休を取得できる制度です。「産後パパ育休制度」も育休とは別に産後8週間以内に4週間の休業を最大2回に分けて取れる制度です。
これらを利用することによって、父親が育休を取得している間は母親が仕事に復帰、母親が育休を取得している間は父親が仕事に復帰、というふうに1人は働きながらもう1人は育休を取得するという形で、何回かに分けて育休を取得することが可能になります。
どちらかの育休中はどちらかが仕事をしていれば、2人で同時に育休を取得するよりは金銭面で安定しますね。
今後、育休手当が80%に引き上げ予定
現在、休業前賃金の67%とされている育児休業給付金ですが、80%まで引き上げられる予定です。80%の給付と社会保険料の免除によって、実質休業前の手取りと同等額が受け取れるようになる見込みです。
ただ、2023年5月現在、80%給付の開始時期については明言されていません。80%給付が発表された記者会見では、産後パパ育休制度での給付についての引き上げについてのみ言及されていましたが、男性だけでなく女性も80%の給付率に引き上げる方針のようです。
まとめ
給付率が80%に引き上げられ、実質休業前の手取りと同等額が給付されるようになれば、金銭面で育休取得を躊躇(ちゅうちょ)する必要はなくなりそうです。各家庭で適切な子育て環境が整えられるよう、制度をきちんと理解して利用していきましょう。
出典
厚生労働省 育児休業給付について
厚生労働省 育児休業等期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の免除
厚生労働省 育児休業給付金が引き上げられました!!
厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
執筆者:守屋鮎美
2級ファイナンシャルプランナー
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