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父に「タンス預金で節税しているから大丈夫だからな」と言われました。本当に大丈夫なのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年6月17日 2時20分

父に「タンス預金で節税しているから大丈夫だからな」と言われました。本当に大丈夫なのでしょうか?

「タンス預金で相続税を節税できる」と思っている人は少なくないかもしれません。しかし、子どもに相続で大変な思いをさせないように「銀行から預金をおろして自宅に置く」という行為は、実は、子どもに負担をかけることになる場合もあります。   本記事では、タンス預金のメリットやデメリット、税金面からの問題点を解説します。

タンス預金のメリットとデメリット

「タンス預金」とは自宅に保管しているお金の総称で、タンスの中にあるお金だけではなく、仏壇や食器棚、冷蔵庫の中のへそくりなども含みます。タンスの中に入れていることが多い印象から「タンス預金」という名称がついたそうです。
 
タンス預金についてよくないイメージをもっている人も多いかと思いますが、決してデメリットだけではありません。タンス預金自体は一概に否定できるものではないのです。
 

メリット

タンス預金には以下のようなメリットがあります。

・財産を把握されない
・銀行に行かなくてもすぐに現金を使える
・口座凍結されても問題ない
・銀行が倒産しても問題ない
・引き出し手数料がかからない

 

デメリット

反対にデメリットには以下のようなものがあります。

・災害や盗難により失うリスクがある
・利息がつかない
・保管場所を失念する可能性がある
・遺族に見つけてもらえない可能性がある
・相続トラブルの原因になりやすい

 

税務署はタンス預金に気づける

「タンス預金で相続税を節税できる」と思っている人は、「税務署にタンス預金の存在は分からない」と思っているからでしょう。しかし、実は、税務署はタンス預金に気づくことが可能です。
 

職権によって口座情報が閲覧できる

税務署は相続税申告の内容が正しいかどうかを確認するために、被相続人(死亡した人)やその家族の過去10年分の口座取引情報を閲覧することが可能です。例えば、100万円の引き出しがあるにもかかわらず車の購入などの用途がない場合には、タンス預金になっているのではと疑うのです。
 

KSKシステムによる管理

KSKシステムとは、全国の納税者の申告情報が集約管理されている「国税総合管理システム」の略称です。納税者の収入などから考えて、明らかに少ない財産状況で申告されている場合には、タンス預金などの財産隠しが疑われます。
 

タンス預金で節税=脱税

タンス預金は相続財産であり相続税の対象です。つまり、タンス預金で相続税の節税はできません。「節税している」と思っていても、実際は「脱税」していることになるので、注意する必要があります。
 
税務署は自宅に隠されたお金を探すことにたけています。税務署が税務調査に入った場合には、タンス預金はほぼ見つかると思っていたほうがよいでしょう。
 
しかも、財産隠しによる相続税の脱税は犯罪です。加算税や延滞税が発生するのはもちろんのこと、悪質な場合には重加算税の発生や刑事罰も考えられます。
 

まとめ

タンス預金で節税はできません。タンス預金で節税した場合には、それは財産隠しによる相続税の脱税行為になります。残される家族を思った上での行為により、反対に大変な思いをさせてしまうことになりかねません。
 
タンス預金は決して悪ではありませんが、生前にその存在を家族に知らせておき、相続税申告から漏れないようにしましょう。
 

出典

国税庁 国税関係業務の業務・システム最適化計画
国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
国税庁 No.9205 延滞税について
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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