令和版「所得倍増計画」って何? 本当に所得が増えるの? 資産所得倍増の方法とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月19日 10時0分
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岸田政権が目標としている令和版「所得倍増計画」ですが、残念ながら、国民の所得がすぐに倍増するわけではないようです。では、この政策はどのようなものなのでしょうか。 令和版「所得倍増計画」の目標や、具体的な政策について解説します。
「所得倍増」というより、「資産所得」倍増
岸田政権の発足時から、令和版「所得倍増計画」は大きな目玉政策でした。具体的には、中小企業の従業員の賃上げや、看護・介護・保育などの分野で大幅な給与の引き上げを目指していました。事実、看護・介護・保育分野での給与引き上げは、2022年2月から行われています。
しかし、その他の職業で働いている人の所得が、これから一気に倍増するということは考えにくいでしょう。その代わり、岸田政権が打ち出しているのは「資産所得倍増計画」です。
資産所得倍増とは、すでに皆さんの手元にある金融資産(預貯金や投資信託など)の価値を倍増させて、個人の資産を増やすというものです。そもそも日本国民は、投資をせずに、現金をそのまま銀行口座で預貯金として持っている割合が高いです。
この銀行で眠っている資産を投資に向けさせ、運用によって個人資産を増やしてもらおうというのが「資産所得倍増計画」です。
資産所得倍増の方法
個人資産を増やすためには、国民が自ら積極的に投資を含む資産運用を行う必要があります。そして、貯蓄から投資への動きを促すために作られたのが、2024年からスタートする「新NISA制度」です。
そもそもNISA制度は、資産運用で得た値上がり利益や、配当・分配金にかかる税金が非課税となる制度です。すでに一般NISAとつみたてNISA、さらにジュニアNISAという形で実行されていましたが、新NISAはさらに制度内容が充実します。
具体的にいうと新NISAは、1年間のうちに投資ができる年間投資枠が、計360万円(成長投資枠:240万円、つみたて投資枠:120万円)まで拡大されます。
そして非課税保有限度額(税金がかかることなく投資ができる最大の金額)は、1800万円(うち成長投資枠1200万円)となります。現行最大の非課税保有限度額は、つみたてNISAの800万円だったので、大幅に拡大されます。
さらに、非課税保有期間も変わります。現行の一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間の非課税保有期間がありました。
しかし新NISAでは、非課税保有期間が無期限になり、一生利益に税金がかかりません。非課税で長期投資を行いながら、個人投資家の資産を大幅に増やすチャンスがあります。
資産所得を増やす目的
私たち国民は、老後の生活を迎えると、年金と自分の貯めてきた貯金で生活していくことになります。
しかし、年金だけでは豊かな老後を過ごすことができません。「老後2000万円問題」で話題となったように、夫婦2人で退職するまでに2000万円くらいの貯金を準備していくことが理想と考えられています。
岸田政権は新NISAによって、個人の資産所得を増やす政策を打ち出しています。これは私たち国民が自分たちでお金を運用し、老後のための資産を準備していかなければいけないということでもあります。
今まで資産運用を行っていなかった方々は、新NISAについてその概要を理解しましょう。そして自分の資産を投資に回すことで、お金を増やすことを検討してみましょう。
まとめ
令和版「所得倍増計画」の目標や、具体的な政策について理解は深まったでしょうか。これからは、老後の資金について、国の年金任せにするのではなく、自分たちで資産運用をしていく必要があります。
「資産所得倍増計画」は、その一環として行われている政策であると認識し、あらためて、自分たちのマネープランを見直してみてはいかがでしょうか。
出典
金融庁 新しいNISA
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
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