魅力的な金利の外貨預金、始めてみる? どんなことに注意すればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月21日 11時0分
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住宅ローンを変動金利で返済中の人にとっては、金利上昇の行方は気になるところでしょう。一方、資産形成の一角に外貨を組み入れる人もいらっしゃいます。本稿では、外貨預金について見ていきます。
こんなに違う~外貨預金の金利
FRB(米連邦準備制度理事会)が着々と利上げを進めています。日本は長らく、金利を低水準におさえることで景気回復を図ってきました。日銀総裁が交代し、金利の引き上げについてさまざまな議論がされています。住宅ローンを変動金利で返済中の方は、今後の動向が心配だと思います。どのくらいのペースで金利が上がっていくのか、目が離せません。
日本の銀行預金の金利は、2023年6月7日時点で普通預金0.001% 定期預金0.002%などと低いままの状態です。それに比べて外貨預金の利率は、もはや別次元になっています。これを知ると、「円からドルに資産分散」という気持ちになるかもしれません。
実際の外貨預金の金利がどのようになっているのかを、米ドルの定期預金でみてみます。都市銀行の定期預金で0.010%ですが、ネット銀行になると、預入期間3ヶ月で3%、1年では4%台の数字が並びます。このように円預金に比べて高いことが分かります。
3%や4%の数字を見ると、100万円を預け入れて3万円や4万円の利息を思い浮かべるとともに、72の法則も当てはめたくなります。72の法則は、元金を2倍にするためにかかる年数を求めるものです。72÷3=24 72÷4=18 それぞれ元本100万円が200万円になるのにかかる年数が24年、18年です。金利0.002%の時は3600年と天文学的な年数ですので、計算する気持ちにもなりませんでした。
忘れてはならない外貨預金のリスク
この利率は資産形成の時期だけでなく、シニア世代にとっても意味深い数字です。シニア世代が資産の話をする時、テーマとして取り上げられるのは「老後資金の資産寿命をいかに延ばすか?」です。昨今では、“運用しながら取り崩す”ことが王道となりつつあります。
老後資金はリスクが少ない方法で運用することが鉄則とされていますので、無理をする必要はありません。「2%で運用して4%を取り崩す」などが一例です。税金などは考慮していませんが、もし外貨預金で4%の運用ができるのであれば、老後の資産形成としては良い結果となる可能性があるでしょう。
ですが、外貨預金には注意点が3つあります。特に元本割れが生じるリスクがあることは、留意する必要があります。
(1) 手数料が掛かる
円→ドル ドル→円 のように、通貨を両替する時にかかる為替コストを負担しなければなりません。銀行により手数料が違います。キャンペーンなどを上手に使うこともお勧めです。
(2) 為替変動リスクがある
外国為替市場の動向により、円換算した時に受け取れる金額は大きく変動します。相場の動向を注視して、預け入れおよび引き出しのタイミングを計ることが大事です。
(3) 外貨預金は預金保険の対象ではない
万が一金融機関が破綻した場合に、預金者の預金を保護する預金保険制度がありますが、外貨預金は対象外です。
私事ですが、筆者は2022年6月14日に外貨定期預金に100万円を預け入れました。以下は筆者の実体験ですが、参考までにご覧ください。
為替相場は1ドル約134円で、今後も円安が進むと考えられていた頃です。途中150円まで円安となり、10ヶ月後の4月14日は1ドル約133円になっています。その間、何度かFRBの利上げが行われましたので、取引銀行の金利も上昇基調にあります(2023年6月時点)。
図表1について説明を加えます。今回の定期預金の期間は1ヶ月で、これを10回繰り返した時の毎回の適用金利を表したものです。最初の1ヶ月はキャンペーンで特別金利2.51%です。キャンペーンの特別金利よりも現在の金利が高いのですから、この1年で金利が急ピッチで上昇したことが分かります。
図表1
さて、2022年6月に預けた100万円ですが、為替コストがかかりますので6月14日の通帳では7453.78 USD入金と記載されています。そして10ヶ月後の4月14日は7554.81 USD (101万2797円) です。この数字だけを見ると順調にも見えますが、1月頃に為替が円高に振れた時は元本割れを起こしていました。
いくら金利が高くても、為替相場によっては元本割れになるリスクがあります。そのリスクを軽減するためには、事例のように100万円を一括で外貨預金に預け入れするのではなく、10万円ずつ10回に分散するなどの手法が必要です。これがドルコスト平均法です。
外貨預金を円預金と同じ感覚で始めるのは危険です。投資信託などと同様で、定額積立の手法でリスクを軽減することや「お金が必要になり出金しようと思ったら、急な円高で目減りしてしまった」とならないために、余裕を持った資金計画を立てることなどが必要です。
ですが、金利はとても魅力的ですし、円以外の通貨で資産を持つ分散効果もあります。資産の一部に組み入れることは有効ではないでしょうか。
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
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