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「死亡は早く、誕生は遅く」がお得だといわれる理由とは?「扶養控除」の判断時期についても解説

ファイナンシャルフィールド / 2023年6月23日 2時10分

「死亡は早く、誕生は遅く」がお得だといわれる理由とは?「扶養控除」の判断時期についても解説

「死亡は年のはじめに、誕生は年の終わりになった方がお得」と聞いたことがあるかもしれません。これは扶養控除にまつわる話です。本記事では、その言葉が生まれた理由と実際はどうなのかについて解説します。

扶養控除とは

扶養控除とは、家族を扶養していることから、扶養がいない人に比べて生活費などが多くかかっていることなどを考慮し、税負担を軽減しようという制度です。個人の所得税や住民税を計算する際の所得控除の1つで、節税効果があります。
 
扶養控除の対象になる扶養親族とは、その年の12月31日において以下の4つの要件すべてに該当する人です。
 

●配偶者以外の6親等内の血族および3親等内の姻族、または、都道府県知事から養育を委託された里子や市町村長から養護を委託された老人であること
●納税者と同一生計であること
●年間の合計所得金額が48万円以下であること
●青色申告者の事業専従者としてその年一度も給与の支払いを受けていないこと、または、白色申告者の事業専従者でないこと

 

扶養控除の金額

扶養控除の金額は図表1のとおりです。「一般の控除対象扶養親族」とは扶養親族のうち16歳以上の人が該当します。同じく「特定扶養親族」とは19歳以上23歳未満の人、「老人扶養親族」とは70歳以上の人をいいます。つまり、扶養控除は扶養親族に該当する場合であっても、その親族が16歳以上でなければ受けられません。
 
図表1
 

 
国税庁 No.1180 扶養控除
 

「死亡は早く、誕生は遅く」は現在は違う

「死亡は年のはじめに、誕生は年の終わりになった方がお得」という考え方は、少し古い考え方になります。今は、「死亡は年のはじめの方がお得」のみが正しいことになります。
 

「死亡は早く」がお得な理由

扶養親族に該当して扶養控除を受けられるかどうかは、毎年12月31日時点の状況で判断することから、1月1日に死亡した扶養親族については扶養控除は受けられないと思いがちです。
 
しかし、実は年の中途で死亡した場合には、その死亡時における現況で判断できるという例外があるのです。よって、2023年1月1日時点で扶養親族に該当しているのであれば、2023年分では扶養控除を受けられます。
 

「誕生は遅く」はもうお得ではない

赤ちゃんが扶養控除の対象になっていたのは2010年以前のことです。2010年以前では12月31日に生まれた赤ちゃんは、その年分の扶養親族になることができていました。12月31日生まれでその年は生活費がほぼかかっていないにもかかわらず、税金が安くなっていました。
 
2011年以降は16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止されていることから、節税面において今は「誕生は年の終わりになった方がお得」という考え方はありません。
 

扶養控除が受けられるタイミングは同学年でも1年ずれる

扶養控除は12月31日時点で16歳以上の人が受けられます。つまり、同じ高校1年生であっても、早生まれの人が扶養控除の対象になれるのは、12月31日以前に生まれた人の1年後からということになります。「特定扶養親族」や「老人扶養親族」についても同様です。
 

まとめ

「死亡は年のはじめに、誕生は年の終わりになった方がお得」という考え方は、2010年以前のものです。2011年から16歳未満の扶養親族についての扶養控除廃止により、今は「死亡は年のはじめの方がお得」のみとなっています。
 

出典

国税庁 No.1180扶養控除

国税庁 専門用語集

国税庁 高松国税局 2 主な税制改正について

 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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