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もしも「扶養制度」がなくなったら、家庭の損失額は「50万円」!? 夫婦と子ども1人の場合で検証

ファイナンシャルフィールド / 2023年6月23日 2時40分

もしも「扶養制度」がなくなったら、家庭の損失額は「50万円」!? 夫婦と子ども1人の場合で検証

最近ニュースでよく目にするのが「配偶者控除」や「扶養控除」の廃止の検討です。もしも、扶養制度の一切がなくなってしまったら、扶養される人のいる家庭では税金や社会保険料の負担が増えることになります。   本記事では、扶養制度が廃止された場合、具体的にいくらくらいの負担になるものなのか計算してみます。

「扶養制度」とは

扶養制度とは、子どもや専業主婦(夫)など経済的な援助が必要な家族(被扶養者)を扶養している人(扶養者)が受けられる制度です。
 
具体的には税金が安くなり、被扶養者分の社会保険料を支払う必要がなくなります。例えば、妻が会社員である夫の扶養となっている場合、その夫は税金面において「配偶者控除」を受けることができ、節税になります。
 
社会保険料においては、妻の分の厚生年金保険料を支払わなくても、妻は第3号被保険者として国民年金を受け取れます。健康保険料についても同様で、負担なく健康保険サービスを受けられるのです。
 
これは、パートとして働く人の多くが扶養内で働こうとする理由の1つとなっています。
 

「扶養制度」がなくなるとどうなる

扶養制度がなくなると、まず扶養者が受けられていた「配偶者控除」や「扶養控除」がなくなるため、納付する税金が増えます。
 
そして、社会保険料も被扶養者がそれぞれ納めなければなりません。こちらは税金よりも大きな負担になるでしょう。では、具体的に計算してみます。
 

配偶者控除と扶養控除廃止による損失額

3人家族で、妻(50歳)が専業主婦、子ども(19歳)が大学生としましょう。2人とも夫の扶養になっており、夫は妻の配偶者控除と子どもの扶養控除を受けています。
 
それぞれの控除があることによる節税額は以下のとおりです。なお、所得税率は10%、住民税率10%(一律)で計算します。
 
扶養控除については通常は38万円ですが、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の人については63万円に増額されています。大学など高等教育に進学している人が多い年齢であり、金銭的負担が大きいことが考慮されています。


配偶者控除:38万円×(所得税10%+住民税率10%)=7万6000円
扶養控除:63万円×(所得税10%+住民税率10%)=12万6000円
合計:20万2000円

扶養制度がなくなると、夫の税金は20万2000円上がることになります。よって、損失額は20万2000円だといえます。
 

社会保険の扶養廃止による損失額

社会保険の扶養制度がなくなると、妻は国民年金保険料と国民健康保険料、子どもは国民健康保険料を支払う必要があります。国民年金保険料は2023年度で1ヶ月あたり1万6520円ですので、年間では19万8240円です。
 
国民健康保険料は居住地により異なりますが、東京都世田谷区で無職の場合、年間4万5000円です。40歳から64歳であれば介護保険料の支払いも必要となるため年間1万6200円が加算され、妻は6万1200円になります。


国民年金保険料:19万8240円
国民健康保険料:4万5000円+6万1200円=10万6200円
合計:30万4440円

扶養制度がなくなると、妻と子どもに新たに保険料の支払いが発生することになり、その損失額は30万4440円です。税金の損失額と合わせると、なんと50万6440円にものぼります。反対に考えると、扶養制度によって今はそれだけの恩恵を受けているということでもあります。
 

まとめ

「扶養制度」の一切がなくなった場合の損失額は、専業主婦と大学生がいる3人家族で約50万円という結果になりました。扶養制度の見直しは検討されていますが、手を加えられるとしても段階的であり、突然すべてがなくなるということはないでしょう。
 
現時点ではあくまでも「もしも」ではありますが、長い年数をかけて扶養制度は廃止に近づいていく可能性は高いことは考えておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1180 扶養控除
東京都福祉保健局 保険料額について
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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