60代からでも資産運用はできますか? 高齢者が投資するときの注意点
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月24日 3時0分
日本は、世界の国々と比べると長生きする人が多い長寿国です。70代、80代でも元気に生活している高齢者も多いですが、長生きするとその分生活費がかかりますね。長い老後の生活をより豊かなものにするために、60代から資産運用を検討している人もいるかもしれません。 今回は、高齢者が資産運用をする場合の注意点や、具体的な資産運用の失敗エピソードをご紹介します。
60代でも資産運用はできる
60代は退職金などまとまった資金がある場合が多く、お金に余裕がある方は多いでしょう。これらの資金を元手にして60代から資産運用を始めることはもちろん可能ですし、70代、80代まで10~20年かけて長期投資をすることもできます。
コツコツと運用を続ければ、老後資金や、将来自分の配偶者や子ども・孫などの家族に残してあげる資産を増やすことができます。
ただし60代は、20代~50代の現役世代のような定期的な収入がないことが多いので、運用商品や買付金額などにいくつかの注意点があります。もしも運用に失敗すると、大切な老後資金が大幅に減ってしまうこともあるので、無理な運用をしないように注意が必要です。
こんなケースにご注意を
では、高齢者が資産運用で失敗してしまったケースを、具体的に見ていきましょう。
1. 金融機関の営業マンにもうからない商品を買わされてしまった
投資経験が少ない高齢者の場合、証券会社や銀行の営業マンに資産運用の相談をして、あまり利益の見込めない商品を買わされてしまうケースがあります。
Aさんは、営業マンにこれから上場する予定の新規公開株を勧められました。「大人気の商品ですが、なんとか確保できそうです」と言われ、購入しました。
しかし一般的に、新規公開株をわざわざ営業マンが勧めてくる場合は、あまり人気のない商品である(値上がりする可能性が低い)ことが多いです。売れ残っている商品を勧めてきているため、大きな値下がりをしてしまうことはよくあります。
2. 金融機関の営業マンにリスクや手数料が高い商品を買わされてしまった
また高齢者に対して、リスクが高かったり、手数料が高い商品を勧めてくる営業マンもいます。特に仕組債や優先出資証券など複雑な商品は、その構造もあって、もうかりそうな気がしてしまいます。
このような商品を勧められたBさんは、いまひとつ商品の仕組みが分かりませんでしたが、同意書にサインをして購入してしまいました。ですが商品の仕組みを理解していないので、売り時を判断することもできません。またBさんは、購入した後に、その高い手数料に驚きました。
残念ですが、このように高齢者世代には、資産運用のトラブルが頻発しているという傾向があります。
高齢者が資産運用する場合のポイント
では、どうしたら投資のトラブルを防ぐことができるのか、高齢者の資産運用の注意点を見ていきましょう。
1. 利害関係のある金融機関の営業マンに相談してはいけない
2. 貯蓄を全額投資しない
3. リスクや手数料が高い商品は避ける
4. 非課税制度NISAを使った資産運用がおすすめ
金融機関の営業マンは、投資家が購入した金融商品の金額に応じて、手数料を受け取れる場合があります。この場合、営業マンは投資家に、できるだけ高額投資をしてもらいたいと考えるでしょう。リスクが高く、高齢者向けではない商品でも、自分たちの手数料欲しさに、投資を説得してくるケースもあるかもしれません。
そのため高齢者は、投資家の購入金額によって手数料を受け取るような営業マンに相談するのではなく、できるだけ自分で投資判断を行うことが大切です。また、資産を全額投資するのではなく、老後の生活資金として必要なお金は貯金や国債など安全資産として残しておき、それ以外の余剰資金を投資に回しましょう。
そして投資をする場合は、リスクが高い商品や、手数料が高い商品は避けます。おすすめは、非課税で投資ができるNISA制度です。特に、つみたてNISAでは、あらかじめ金融庁が認めた一定基準を満たす投資信託がラインアップされています。これらの商品を参考にしながら、仕組みが分かりやすく、手数料が安いものを選ぶようにしましょう。
まとめ
60代の方は、現役世代に比べて資産運用の注意点が多いですが、ポイントを押さえて投資を行えば、資産を増やすことが可能です。今まで資産運用をしたことがなかった人も、ぜひチャレンジしてみましょう。
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
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