1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

年金を「月20万円」受給するには? 受給額を増やす方法についても解説

ファイナンシャルフィールド / 2023年6月25日 2時20分

年金を「月20万円」受給するには? 受給額を増やす方法についても解説

総務省統計局が公表している家計調査によると、無職で2人以上の世帯の平均的な月の支出は約24万円となっています。   ライフスタイルによって必要な生活費は異なりますが、老後の生活費の大部分を公的年金で補うと考えると、月20万円程度の年金を受給できれば、比較的安心できそうです。   しかし、実際に月20万円の年金を受け取るにはどれだけ働く必要があるのか分からないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、具体的な数字でシミュレーションを行い、月20万円の年金を受け取るための条件を調べてみます。

年金受給のシミュレーション

ここでは一般的な会社員(老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取る)を前提にシミュレーションを行います。
 
これから65歳以上になり年金を受け取る場合、老齢基礎年金の満額は2023年度だと「79万5000円」です。これは20歳から60歳まで40年間(480ヶ月)の保険料を納めると受け取れる金額です。納付した月数が480ヶ月よりも少ない場合は、納付した月数に応じた額が支給されます。
 
例えば、460ヶ月分の保険料を納付した場合、支給される金額は以下のようになります。
 
79万5000円×460/480=76万1875円
 
次に老齢厚生年金ですが、基本的な計算方法は以下のようになります。
 
老齢厚生年金金額=報酬比例部分+経過的加算部分+加給年金
 
ここでは計算を簡単にするために報酬比例部分のみを考慮してシミュレーションを行います。
 
ちなみに、経過的加算部分は厚生年金の加入期間に応じて決定される金額、加給年金は配偶者の状況等により加算される金額です。報酬比例部分は、一般的にイメージする老齢厚生年金部分で、2003年3月以前と2003年4月以降に分けて計算する必要があります。
 
なぜなら、2003年3月までの年金額は標準報酬月額の月平均額である「平均標準月額」を基に算出していましたが、平成15年4月以降は標準賞与額も年金に反映した「平均標準額」を利用するようになったからです。
 
仮に2023年に65歳で退職した場合をシミュレーションしてみます。ただし、計算に利用する標準報酬月額および標準報酬額は仮の金額です。


(1)2003年3月以前

平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
25万円×7.125/1000×300ヶ月=53万4375円
 
(2)2003年4月以降
平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
45万円×5.481/1000×240ヶ月=59万1948円
 
(1)+(2)=112万6323円

老齢基礎年金を満額で受け取ると仮定すると、79万5000円+112万6323円=192万1323円なので、月換算すると約16万円となります。
 

受け取る年金額を多くするには?

上記のシミュレーションでは、毎月の年金額が約16万円となっていました。月20万円受給するために、年金受給額を増やすにはどのような方法が考えられるでしょうか。
 
1つ目の方法は、老後も働き続けるか給与が上がるように頑張ることです。長く働けばその分厚生年金の加入期間が増えるので、老齢厚生年金の受給金額が増えます。また、平均標準報酬額は、毎月の給与やボーナスから算出されるため、給与が上がれば厚生年金の受給額も増える可能性が高くなります。
 
仮に、上と同じ条件で70歳まで働くとすると、(2)の金額が以下のようになります。
 
45万円×5.481/1000×300ヶ月=73万9935円
 
老齢基礎年金と(1)も足すと約207万円なので、これだけでは月20万円(年240万円)には届きません。
 
2つ目の方法は、年金の受給タイミングを繰り下げることです。老齢年金の受給タイミングを繰り下げると、毎月0.7%ずつ受給額が増えます。例えば、5年間(60ヶ月)繰り下げる場合、受給額は0.7%×60ヶ月=42%増加します。
 
繰下げ受給の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方だけ繰り下げることが可能です。つまり、70歳まで働きながら、65歳から老齢基礎年金のみ受け取る選択もできます。
 
3年間年金受給を繰り下げると、0.7%×36ヶ月=25.2%となるので、約192万円×1.252=約240万円となり、月20万円をクリアできます。
 
3つ目は確定拠出年金などの仕組みを利用することです。確定給付の企業年金の代わりに、確定拠出年金制度を採用する企業も増えました。これらの仕組みを利用することで、追加の年金収入を得られます。
 
確定拠出年金の拠出時は所得控除となるので、積み立てのタイミングでも税制面のメリットがあります。
 
毎月2万円の積み立てを20年間行い、3%の複利で計算すると、20年後には約650万円になる計算です。これを20年間かけて取り崩していくと、月に約2万7000円の受け取りが可能となります。これを利用すれば月20万円の受給にかなり近づきます。
 
このように、月20万円の年金を受給するには、自身の状況に合わせて、無理をしない最適な方法を組み合わせることも重要です。
 

老後のライフプラン計画も重要

老後の年金受給額を増やすことは重要ですが、それとあわせて老後のライフプランを考えることが大切です。老後に必要な金額は人それぞれ異なるので、まずは、老後にどのような生活を送るのかについて検討し、どの程度の資金が必要になるか確認しましょう。
 
自身が受け取ることができる老齢年金の詳細は、ねんきん定期便などで確認できます。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2022年
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください