在職老齢年金制度で年金額が減少する? 引かれないためにはどうすればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月26日 5時40分
60歳以降に働く場合、在職老齢年金制度によって年金受給額が減少してしまう可能性があります。そのため、年金受給額が減額される状況や、在職老齢年金制度の影響を回避するための働き方を理解することは重要です。 本記事では、在職老齢年金制度の詳細や年金支給停止の要件、年金減額を回避する方法について解説します。年金額が減額されない働き方を理解して、60歳以降の仕事や資金計画を具体的に立てるために、ぜひ参考にしてください。
在職老齢年金とは
「在職老齢年金」は、60歳以上で仕事をしながら年金を受け取る場合に適用される制度で、年金額が収入に応じて調整されます。
厚生年金保険の適用事業所に就職して働いた場合には、収入に応じて、年金の全額または一部が支給停止となる可能性があるので注意が必要です。
年金が支給停止となる要件
在職老齢年金制度は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円を超える場合に、年金受給額が減額または支給停止となります。基本月額とは「年間の年金額を12で割った金額」で、総報酬月額相当額とは「月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)を合計したものを12で割った金額」です。
在職老齢年金制度による年金支給停止額は、「(総報酬月額相当額+基本月額-48万円)×1/2×12」で計算できます。
例えば、年金額120万円(基本月額10万円)で、給与が32万円(標準報酬月額32万円)、賞与が年間120万円(標準賞与額120万円)の場合、支給停止額は24万円で、年金受給額は96万円となります。
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円以下の場合は、減額や支給停止はなく、年金を全額受け取ることが可能です。
在職老齢年金で年金が減額されない方法
「支給停止の基準額以下となる収入で働く」「厚生年金への加入が必要ない個人事業主や自営業として働く」といった方法で、在職老齢年金制度によって年金額が減額や支給停止となることを回避できます。
在職老齢年金で受給額が減額されない方法を理解して、ご自身に合った効果的な働き方を選択しましょう。本項では、在職老齢年金の受給額が減額されない方法について詳しく見ていきます。
支給停止の基準額以下となる収入で働く
在職老齢年金の減額を避けるためには、収入を支給停止の基準額以下に抑えて働くことが重要です。
上述のとおり、在職老齢年金制度は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円以下の場合には、年金の減額や支給停止がなく全額受給できます。例えば、以下のようなケースでは基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円以下となるため、年金は全額受給が可能です。
例えば、年金額が120万円(基本月額10万円)、給与が20万円(標準報酬月額20万円)、賞与が60万円(標準賞与額60万円)の場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計は35万円となり、48万円以下となるため、減額や支給停止はありません。
個人事業主など、厚生年金に加入せずに働く
在職老齢年金制度では、60歳以上で厚生年金保険に加入し、一定額以上の収入を得る場合に年金額が調整されます。一方、個人事業主や自営業者などの厚生年金に加入していない方は、60歳以降に仕事をしても在職老齢年金制度の対象外となります。したがって、48万円という基準額を気にして働く必要はありません。
会社などに就職する際には、正社員の4分の3以上の労働時間や労働日数がある場合、もしくは以下の要件を満たす場合には厚生年金に加入が必要です。
・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金の月額が8万8000円以上
・学生でない
上記に該当しない場合は、加入せずに働けます。
基準額以下で働くか、厚生年金に加入せずに働くなどして年金カットを回避する
60歳以降に働く場合は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円を超えると、年金受給額が減額されます。ただし、支給停止の基準額以下となる収入で働く、厚生年金への加入が必要ない個人事業主や自営業として働くといった方法で、減額を回避することが可能です。
60歳以降に働く予定のある方は、これらの方法を参考にして、計画を立てることをおすすめします。
出典
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)」
日本年金機構 Q 会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
年金を受給しながら働いている父は「いまだに年金を支払っている」そうです。年金はいつまで支払い続けなければいけないのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月28日 9時20分
-
70歳から75歳まで年金をもらいながら仕事を続けると年金は全額支給ですよね? 月給支給額は約27万円です
オールアバウト / 2024年11月17日 18時30分
-
67歳、年金が「12万円」なのでダブルワーク中です。年金と給与で「月収40万円」ほどですが、友人に「稼ぐと年金が減らされる」と言われました。今のところ減っていないのですが、なぜでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月12日 2時20分
-
66歳で年金の手続きをしましたが、老齢厚生年金が一部、支給停止に。どうしてでしょうか?
オールアバウト / 2024年11月6日 20時30分
-
「厚生年金を月10万円もらっている人」は給料いくらから年金を減らされる? 年金と給料の関係がわかる「在職老齢年金早見表」付き
マイナビニュース / 2024年11月6日 11時0分
ランキング
-
1LUUPと交通違反、タイミーと闇バイト、メルカリとさらし行為――“性善説サービス”はいずれ崩壊するのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月29日 8時10分
-
2風呂キャンセル界隈?「日本の偉人」まさかの素顔 凄い人物でも部屋が汚い、そんな姿に親近感も
東洋経済オンライン / 2024年11月29日 11時0分
-
3三菱UFJがウェルスナビを買収 ロボットアドバイザー大手
共同通信 / 2024年11月29日 11時29分
-
4コーヒー豆が歴史的高騰、NY市場で最高値…産地のブラジルやベトナムで不作
読売新聞 / 2024年11月29日 0時0分
-
5会社の「倒産リスク」を"見える化"する4つの方法 安全性は、会社の体つきと血液の流れをみる!
東洋経済オンライン / 2024年11月29日 9時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください