厚生年金保険料で、標準報酬月額の最高は65万円。月給でいくらもらってる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月26日 7時10分
リタイア後の生活資金として、大きな割合を占める厚生年金。将来のための備えとはいえ、毎月支払っている保険料を負担に感じる人もいるでしょう。 厚生年金保険料は、定められた標準報酬月額によって異なり、最高は65万円です。最高額の人はいったい月給をいくらもらっているのでしょうか。厚生年金保険料の仕組みとともに、ご紹介します。
厚生年金保険料はどうやって決まる?
厚生年金は、企業に勤めている会社員などが加入できる年金です。保険料は、毎月の給与や賞与から差し引かれる形で納付しています。この厚生年金保険料の金額は、どうやって決まるのでしょうか。
まず厚生年金保険料は、毎月の給与や賞与に対して、一定の保険料率をかけて計算されます。収入金額の多い少ないにかかわらず、同じ保険料率が適用されます。厚生年金保険料率は、年金制度改正法にもとづいて2004年から、毎年0.354%ずつ引き上げられてきました。しかし、2017年9月の18.3%で引き上げは終わり、2023年現在も厚生年金の保険料率は18.3%です。
また、厚生年金保険料は被保険者が全額負担するのではなく、企業と折半して支払う仕組みです。現在の保険料率である18.3%の半分、9.15%を給与や賞与にかけて保険料を計算します。
標準報酬月額
厚生年金保険料の計算には、賞与や毎月の給与を一定の幅で分けた標準報酬額が用いられます。標準報酬月額は、収入金額に応じて1等級から32等級まであり、収入の月額が多いほど等級の数字が大きくなります。
例えば1等級の場合は、報酬月額が9万3000円未満、2等級の場合は、9万3000円から10万1000円の人が対象です。保険料の計算をするときには、1等級は8万8000円、2等級は9万8000円と標準報酬月額が使われます。
標準報酬月額は、毎年9月にその年の4~6月の給与の平均額をもとにして決まります。給与には通勤手当や住居手当などの各種手当や企業側が従業員に対して提供する宿泊費や食事代などの現物支給のものも通貨に換算して合算されます。毎月の給与に多少の変動があっても標準報酬月額を使って計算するため、給与から差し引かれる厚生年金保険料は一定になるのです。
また、賞与の場合は、報酬の名称や金額にかかわらず、年3回以下、従業員に支給される報酬を賞与とみなします。税金を差し引く前の総支給額から1000円未満を切り捨てた額が標準賞与額です。例えば、賞与が38万2500円支給された場合、標準賞与額は38万2000円となります。
1回の支給につき、150万円が上限として定められています。支給された賞与が200万円であっても、150万円として厚生年金保険料が算出されます。
標準報酬月額の決定や改定
標準報酬月額の決定や改定のタイミングは大きく分けて次の3つがあります。
1. 資格取得時決定
2. 定時決定
3. 随時改定
1の資格取得時決定は、被保険者となる従業員が入社したときなどに、企業側が報酬額を申請して標準報酬月額を決定することです。その企業で厚生年金に加入した月(資格取得月)からその年の8月までは、決定した標準報酬月額で保険料を算出します。資格取得月が6月1日から12月31日までにあたる場合、翌年の8月まで適用されます。
2の定時決定では、毎年7月1日時点で在籍している企業からの4~6月の3ヶ月分の給与を平均します。そのうえで標準報酬月額を決定して、その年の9月から翌年8月まで適用されます。
3の随時改定は、すでに決定していた標準報酬月額から大幅に給与が変わった場合などに標準報酬月額を改定することです。改定後の標準報酬月額はその年の8月まで適用されます。7月以降に改定された場合には、翌年の8月までです。
標準報酬月額が最高の人の月給は?
標準報酬月額で最も高いのは、32等級にあたる65万円です。2020年9月からそれまでの最高等級である31等級の62万円から上限額が引き上げられました。標準報酬額が65万円に該当する人の月給は、63万5000円以上です。
賞与がないと仮定して、月給63万5000円の人の年収は「63万5000円×12ヶ月=762万円」です。63万5000円を超える月給をもらっていても、標準報酬月額は65万円になります。
支払う厚生年金保険料
標準報酬月額の最高額65万円の厚生年金保険料は、全額で11万8950円です。厚生年金保険料は事業主と折半するため、実際に毎月支払うのは半分の5万9475円です。年額にすると「5万9475円×12ヶ月=71万3700円」です。賞与がある場合は、標準賞与額を用いて同じように計算されます。
標準報酬月額が高いほど将来の年金も高くなる!
標準報酬月額で、最も高いのは65万円です。標準報酬額が65万円に該当する人の月給は63万5000円以上ですが、賞与が含まれていないためこれより高い収入となる可能性があります。
報酬標準月額が高くなるほど、厚生年金保険料も上がります。毎月の負担は増えますが、それだけ将来支給される年金額も増えます。将来のためにも保険料について詳しく知っておくとよいでしょう。
出典
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
厚生労働省 厚生年金保険料率の引上げが終了します
日本年金機構 「標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか」
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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