【年収500万円】会社員とフリーランスで将来の年金額はどのくらい違う?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月26日 9時50分
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会社員として雇われて働くより、時間を自由に使うことができるフリーランスを選ぶという人もいると思います。 今回は、フリーランスで働いた場合と会社員として働いた場合とで将来の老齢年金にどれくらいの差があるのか、老齢年金を増やす方法はあるのか考えてみます。
同じ年収でも手取りは違う
会社員とフリーランスで、年収が同じ500万円の人がいるとします。今回は、条件が多様になりますが、あくまでも一般的な比較ということで、計算上の金額として考えていきます。
年収は会社から支払われた給与やフリーランスが事業で得た収入の額になりますが、この収入から税金や社会保険料、フリーランスの場合はさらに経費などを引いたものが手取りとなります。
手取りは収入による税金や社会保険料の差だけではなく、家族構成の違いによっても異なってきますが、今回は家族を考慮せず、単身で現役時代の平均年収が500万円の場合の手取りの違いについて考えてみたいと思います。
会社員の場合の手取り
会社員の場合、厚生年金に加入し国民年金の第2号被保険者となります。保険料は支払われる給与などの額によって変わりますが、雇用主との折半となる特徴があります。今回のケースのように年収500万円の場合、年金保険料は月額7万5030円を会社と折半して3万7515円、年間では45万180円となります。
また公的医療保険制度の健康保険に加入している場合、健康保険料は東京都の場合で、月額4万1000円を会社と折半して2万500円、年間では24万6000円となります(介護保険料は加味しないものとします)。
また、年収から所得税や住民税が引かれます。扶養している家族もなく、その他に控除するものもない場合、所得税は14万882円、住民税は24万8382円となります。今回のケースの会社員の手取りは391万4556円となり、月額は約32万6000円となります。
フリーランスの場合の手取り
フリーランスの場合、国民年金に加入し第1号被保険者となります。
国民年金保険料の額は年収に関係なく一律となっています。令和5年度の国民年金保険料は月額1万6520円、年間で19万8240円となります(6ヶ月前納や1年前納、2年前納で割引もあります)。
公的医療保険は国民健康保険に加入することになります。国民健康保険は各自治体によって保険料が決められていますが、東京都新宿区の場合では40歳未満で年間30万6400円、月額2万5533円となります(介護保険料は加味しないものとします)。
会社員の場合は所得税や住民税などは、年収から給与所得控除額を差し引いた金額を基に計算を行いますが、フリーランスの場合は給与ではないのでこの給与所得控除はありません。
その代わりに事業に要した経費を年収から控除することが可能です。また、一定の条件を満たしていれば最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
光熱費や備品やそのほかもろもろの経費が仮に200万円かかっていたとし、さらに青色申告特別控除65万円を差し引いて計算すると、所得税は6万3465円、住民税は13万6930円となります。今回のケースのフリーランスでは手取りは419万8902円、月額約34万9909円となります。
会社員とフリーランスの年金額の違い
前項では、同じ年収でも所得税、住民税や社会保険料によって手取りに違いがあることが分かりました。さらにフリーランスの場合、経費も全て収入から捻出していくことになるので、先述の例では約420万円の手取りから200万円の経費を払っていることになります。
しかし、もっと考えておかなくてはいけないのは、老後に受け取る年金です。前項の会社員とフリーランスが40年社会保険に加入していた場合の年金額を考えてみます。
会社員は厚生年金の保険料に国民年金の保険料も含まれていますので、国民年金と厚生年金の2階建ての年金に加入していることになります。
前項の会社員の場合、老齢厚生年金は、標準報酬月額が41万円ですので41万円×5.481/1000(平成15年4月以降)×12ヶ月×40年=107万8700円(100円未満四捨五入)
老齢基礎年金は令和5年度の満額で79万5000円になり、老齢厚生年金と合わせて187万3700円、月額で約15万6150円になります。
対してフリーランスの場合、国民年金にしか加入していませんので、老齢基礎年金79万5000円、月額6万6250円だけです。つまり会社員とフリーランスでは、受け取る老齢年金に約9万円という大きな差が出てしまうことになります。
フリーランスは自助努力で老後資金の準備が必要
フリーランスや自営業者など第1号被保険者の場合、基礎年金に当たる国民年金にしか加入していません。公的保障の薄い第1号被保険者の場合は、自助努力で不足分を補う必要があるといえます。
老後の年金を増やす方法として、例えば国民年金保険料に加えて月額400円の付加保険料を払うことで、払った月数×200円が付加年金額(年額)として受け取れるという制度を利用することも考えられます。
また、国民年金基金や個人型確定拠出年金(iDeCo)といった、国民年金に上乗せする年金制度もあります。
フリーランスでも高収入であれば、自助努力で公的な保障の不足分を補うことができると思いますが、年収500万円という同じ条件の会社員とフリーランスを比べると、フリーランスは収入から経費や公的年金の不足分の準備など考える必要があり、実質の手取りがとても少なくなると考えられます。
収入が少なければ生活も厳しくなり、公的保障では足りない部分を後回しに考えることもあるかもしれません。フリーランスとしての働き方を考えるときには、目先の収入だけではなく、長い目、広い目でライフプランを考えることも必要かもしれませんね。
出典
全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)
新宿区 保険料の計算例について
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
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