年金を多く受け取りたいなら、「60歳以降も働く」しかない? ほかに年金を増やす方法はないの?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月26日 10時40分
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「将来は少しでも多く年金を受け取りたい」と誰もが思うことでしょう。年金の受給額を増やす方法としては、現役時代に収入を上げて厚生年金保険料を多く納めるほか、60歳以降も厚生年金に加入して働くなどがあります。 しかし、自営業やフリーランスなど、働き方によって現役時代は国民年金のみの加入となるケースもありますし、老後に働き続けるのも大変なことです。 そこで、現役時代や老後を問わず、厚生年金に加入して就労する以外で年金を増やす方法について考えていきます。
繰下げ受給で年金額を増やす
年金の繰下げ受給とは、老齢年金の受取開始時期を原則の65歳からではなく、66歳以降に繰り下げることです。受給を1ヶ月繰り下げるごとに年金額は0.7%増加し、最長の75歳まで繰り下げを行った場合、受け取る年金額は84%アップします。
例えば、65歳から受け取る年金が月額で10万円という方が、受給開始を75歳まで10年間(120ヶ月)繰り下げると、年金は月18万4000円となります。なお、繰下げ受給は老齢基礎年金と老齢厚生年金、どちらか一方のみに適用することも可能です。
老齢基礎年金が満額にならない場合は任意加入を行う
満額の老齢基礎年金を受け取るには、20歳から60歳までの国民年金の全加入期間(480月)で保険料を納付している必要があります。
60歳までに480月の保険料納付済み期間を満たしていないという場合、60歳以降も国民年金に任意加入して保険料を納付することで老齢基礎年金を満額に近づけることができます。
なお、年金の受給資格期間を満たしていないケースを除き、国民年金に任意加入できるのは60歳以降65歳未満の間に限られるため、老齢基礎年金を満額まで増やしたい場合は早めに申し込みをしましょう。
付加年金や国民年金基金に加入して年金額を上乗せする
自営業者など国民年金の第1号被保険者や、65歳未満で任意加入している方は、付加年金または国民年金基金への加入によって将来の年金額を増やすことができます。
付加年金とは、国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納付することで、「200円×付加保険料の納付月数」が付加年金額(年額)として老齢基礎年金に加算される制度です。付加年金を2年以上受給した場合、納付した付加保険料以上の金額を受け取れます。
一方、国民年金基金は、国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。掛け金は月額6万8000円を上限に、加入時の年齢や性別、給付の種類・口数によって決まり、拠出した掛け金に応じた給付を老齢基礎年金に上乗せして受け取れます。
参考までに、加入時に34歳で年収400万円の男性の場合、 例えば毎月2万4540円の掛け金(1口目はA型1口、2口目以降はA型2口のプラン)で始めることができ、このプランでは、支給開始の65歳から毎月4万円の終身年金(15年間保証)を受け取れます。
ただし、付加年金と国民年金基金はどちらか一方の選択制となり、両方に同時加入することはできません。
年金だけでは不足する老後資金をiDeCoで準備
公的年金ではありませんが、老後資金を準備する制度としてiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。
iDeCoは資産運用であるため、運用方法などによっては一時的に元本割れする可能性もありますが、拠出時、運用益、受取時の3段階で税制優遇が受けられるので、長期間の運用で効率よく老後資金を形成することができます。
参考までに、年収440万円の会社員の方(企業年金なし)が40歳から65歳までの25年間で毎月1万5000円を掛け金として拠出し、年利3%で運用を続けた場合のシミュレーションでは、元金450万円に対して運用益は約219万円、資産の合計は約669万円となります。
なお、国民年金第1号被保険者と第3号被保険者が、60歳以降65歳までの間でiDeCoに加入できるのは国民年金に任意加入している場合に限られます。
厚生年金に加入して働く以外の方法でも年金を増やすことはできる
年金は、厚生年金に加入して長く働く以外の方法でも、受給額を増やすことができます。ただし、年齢などタイミング次第では思うように増やせないこともあります。
無理なく、かつ効率よく年金を増やそうと思うのであれば、現役時代の働き方や老後の就労の継続も含め、さまざまな方法から検討していくことをおすすめします。
執筆者:柘植輝
行政書士
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