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小学校で学ぶ、税金のこと 「租税教室」とは?

ファイナンシャルフィールド / 2023年6月29日 3時0分

小学校で学ぶ、税金のこと 「租税教室」とは?

『租税教室』をご存じでしょうか?   小学生から大学生までを対象として『 “税”の意義や役割を正しく理解してもらい、税に対する理解が国民各層に広がっていくこと』を目的として開催される特別授業で、教育機関や国税庁などの各関係機関により設立された、租税教育推進協議会により実施されています。   税金については、その用途や税率の引き上げ等がニュースで取り上げられることも非常に多いですが、そもそも“税”とは何のためにあるのか、どのように使われているのか、ということを学ぶ機会は、そう多くないと思います。   そこで実施されているのが、冒頭の租税教室です。税について学び、理解したうえで、税について考える時間です。今回は、租税教室の中でも、小学生向けに行われている内容について触れてみたいと思います。税の学び直しになれば幸いです。

消費税について

租税教室で小学校の生徒に“知っている税を教えてください”と問うと、最初に挙がることが多いのが、この消費税です。買い物などで触れる機会が多いため、子どもでも知っているもっとも身近な税といえるでしょう。
 
この消費税については、租税教室において日本の税率と各国の税率を説明し、なぜ税率に差があるのかを話しています。まず、各国の消費税率は図表1になっています。
  
【図表1】


 
スウェーデンの税率はなぜ高いのでしょうか?
 
租税教室では“福祉国家だから”と説明しています。スウェーデンは医療費が無料など、福祉に関わる制度が充実しており、それを維持していくために多くの税が高く設定されているからです。
 
ですがここで重要なのは、“福祉を充実させるために日本も税金を高くしよう”ということではありません。租税教室では、福祉を充実させるために税金を上げるのか? それとも福祉を削って、税金を下げるのか? それを考えるのは皆さんですとして、私たち大人が答えを提示しないようにしています。
 

税金の使われ方について

次に話すことは、税金の使われ方です。
 
例えば、小学校の校舎を建てる際にも税金が使われるという話をします。さて、学校の校舎を建てるのに、いくらくらいの金額が必要でしょう。
 
当然、大きさや設備等で異なってきますが、おおむね10億円以上が必要となります。ちなみに体育館は2億円、プールは1億円とされています。租税教室でこれを生徒さんに伝えると、“これからはもっと大事に使う”という感想が帰ってきたりするそうです。
 
“身の回りのあらゆることに税金が使われている”ということを話したうえで、“では、税金がなかったらどうなるか?”ということについても考えることになります。
 
租税教室では、国税庁が用意した動画を使用して、“税金がなかったら、私たちの生活はどうなるか?”ということを学びます。
家庭ごみは回収されない。道路は補修されず傷だらけ。警察や救急、消防にかかる費用はすべて実費となり、とてもこれまでどおりの生活を送ることはできない……などという内容になっています。
 
この動画は国税庁のホームページから視聴することが可能です(※)。有名な声優さんが参加されていて、ほとんどの生徒さんが興味深く見る内容になっていますので、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?
 

税について考える機会をつくろう

税は、私たちの生活と強く結びついており、「税金が高くなれば生活が苦しくなる。安ければ安いほど良い」と考えてしまうかもしれませんが、一概にそうとはいえないのだということを、筆者自身、改めて学ぶ機会となったのがこの租税教室です。
 
税のあり方は、何が正しいのか分かりません。今回取り上げた租税教室も、“税金は必要”という立場で作られている教材であるため、ここを疑う目線も必要かもしれませんね。
 
さまざまな視点から税について考えるのはとても難しく、私たち一般の人では情報が不足している部分も多いです。しかし、だからといって国や政府に丸投げせず、私たち自身も考えていく必要があると思います。
 
(※)国税庁 税の学習コーナー マリンとヤマト 不思議な日曜日(小学生向け)
 

出典

国税庁 租税教室のご案内
国税庁 税の学習コーナー
 
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
 

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