「県民共済は安くて安心」は本当!? 老後の意外な落とし穴とは
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月4日 9時40分
県民共済は掛け金が一律で、プランも比較的シンプルな設計であることから「安くて安心」というイメージを持つ人も多くいるでしょう。しかし、85歳以降は1円の保障もないことをご存じですか? 本記事では、老後に慌てないためにも、知っておきたい県民共済の「意外な落とし穴」について解説します。
県民共済の魅力
一般的な民間保険の場合、年齢が上がれば上がるほど保険料も高くなります。一方、県民共済は掛け金が一律なので、家計の負担を軽減するメリットを感じやすいといえます。特に年配の方にとって県民共済は、「安くて安心」というイメージが強いかもしれません。また、県民共済は掛け捨てですが、決算の際に返ってくる「割戻金」があります。
「熟年型共済」の落とし穴
次に、県民共済の保障内容はどうなっているのか、都道府県民共済グループの発祥の地でもある、埼玉県の県民共済を例に取って見てみましょう。
埼玉の県民共済は加入する年齢によって3つのコースが用意されており、0~14歳の「こども共済」、15~64歳の「新型・県民共済」「医療・生命共済」、65~69歳の「熟年型共済」があります。
保障額がだんだん減少
このうち、シニア向けの「熟年型共済」には注意点があります。
「熟年型共済」は病気やけが(交通事故も含む)による入院・後遺障害・死亡の保障がついています。65~69歳までの健康な人であれば加入可能です。満85歳になるまで保障が自動継続し、更新手続きの必要がないことをメリットとしてうたっています一方、保障額は年齢が上がるごとに徐々に減少します(図表1)。
図表1
埼玉県民共済 熟年型共済を基に筆者作成
さらに、病気で入院した場合、本来1日目から124日目まで出る保障が、70~85歳は1回の入院につき44日分が限度となります。
85歳以降の保障はない
そして、「熟年型共済」の保障は85歳までです。言い換えれば、85歳を過ぎると1円も保障がおりなくなるということです。
厚生労働省の患者調査の概況(2020年)によると、入院患者数は65歳を過ぎると増加ペースが上昇し、85歳で10万人あたり4634人、90歳以上では同6682人となっています。年齢を重ねるごとに入院のリスクが上昇することを考えれば、85歳以降に保障が打ち切られることは、加入の際に十分留意する必要があると言えます。
85歳から民間の保険会社を探しても、持病のために加入ができない可能性があります。また、加入できたとしても高齢のため保険料がかさみがちです。資金面で余裕があるのであれば、払い込みを60歳や65歳など短期間ですませられる民間終身医療保険への加入を、できるだけ早い段階で検討するのも選択肢の1つです。
自分だけでなく親の保険も確認を
本記事では、県民共済の「魅力」と「意外な落とし穴」について、それぞれ解説しました。
県民共済は掛け金が年齢によって変わらないため、特に高齢者にとって家計負担の軽減というメリットを感じやすい設計となっています。一方で保障内容が年を重ねるごとに縮小し、85歳以降には保障がなくなる点には注意が必要です。手元の資金状況、中長期的な収入の見込みを考え合わせ、県民共済や民間の保険から自分のライフプランに合った選択肢を賢く選び取るようにしましょう。
また、将来的に親など家族の医療費を自分が負担する可能性がある場合には、家族がどのような保険に入っているのか、しっかり確認してみましょう。
出典
厚生労働省 令和2年(2020)患者調査の概況 2 受療率
埼玉県民共済 熟年型共済
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「保険会社の甘い囁きで解約すると480万円の損」荻原博子が教える絶対解約してはいけない"超お宝保険"の種類
プレジデントオンライン / 2024年11月18日 10時15分
-
49歳、独身で退職金もない。1600万円の貯金だけでこの先大丈夫ですか?
オールアバウト / 2024年11月17日 22時20分
-
掛け金月2,000円、1年に一度の割戻金が楽しみです…50歳会社員、糖尿病予備軍。「県民共済」をやめた理由【FPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月10日 10時45分
-
54歳シングルマザー、貯金390万円。あと1年半で養育費が終了し、これからの生活資金で悩んでいます
オールアバウト / 2024年11月9日 22時20分
-
最近「iDeCoで保育料が節約できる」と聞きました。年収500万円の場合、どのくらい“節約”できるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月9日 5時30分
ランキング
-
1“風呂キャンセル”は冬でもNG、界隈の人々に皮膚科医が忠告、「乾燥で体臭は拡がりやすくなる」
ORICON NEWS / 2024年11月29日 11時30分
-
2一人暮らしの同僚は毎食「コンビニ弁当」です。「光熱費もかからないから、作るより安上がり」と言っていますが、そんなことないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月29日 5時50分
-
3ついに日本政府からゴーサイン出た! 豪州の将来軍艦プロジェクト、日本から輸出「問題ありません!」 気になる提案内容も明らかに
乗りものニュース / 2024年11月29日 6時12分
-
4健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はありますか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月29日 13時20分
-
5ワークマンの「着る断熱材」がスゴイ! 寒さも暑さも感じない「無感覚アウター(レディース)」を着てみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月23日 9時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください