習い事なにしてる? いくらかかる? 今どきの学校外教育費事情
ファイナンシャルフィールド / 2018年8月7日 6時30分
先日、こんなニュースが話題となりました。 『次の子ども、年収800万円以上の夫婦でも68%が「金銭面で難しい」(ベネッセと東京大学の調査)』 子供の教育費は年々上がる一方で、世帯の収入は思ったように増えないことが数字として表れたように思います。 子供には十分な教育を受けさせたいとして、学校外の習い事にも力を入れているご家庭は多いと思いますが、実際に何をしているのか、どのくらい費用をかけているのかは気になるところです。最新のデータをもとに探ってみましょう。
実は減っている!習い事にかける費用
ベネッセが行った調査によると、3歳から高校3年生までの学校外教育活動費は、2009年と2017年を比較した場合、全体を通して2017年の方が減っていることがわかりました。
出典:ベネッセ教育総合研究所 学校外教育活動に関する調査 2017年
年齢が上がると共に費用は増しますが、小学5、6年生、中学3年生が特に高くなっているのがわかります。これは中学校入学に向けて、高校受験に向けて、塾に通う子供が多くなっている表れでしょう。
2009年と言えばリーマンショック後ですが、それでもまだ、教育費にはお金をかけようという意識は強かったのではないかと思います。2017年の結果を見ると、家計の厳しさが教育費にも影響を及ぼし始めたのではないかと考えます。
どんな習い事をしている?
月の習い事の費用をもう少し詳しく見てみましょう。
【学年別学校外教育活動費(月額)】
出典:ベネッセ教育総合研究所 学校外教育活動に関する調査 2017年
色が濃い方からスポーツ活動、芸術活動、家庭学習活動、教室学習活動となります。
スポーツ活動はサッカー、バレエ、水泳など、芸術活動はピアノ、絵画など、家庭学習活動は通信教育やアプリなどを使った学習、教室学習活動は学習塾などが当てはまります。
スポーツ活動と芸術活動は小学3、4年生でピークとなりそれ以降は減っているのがわかります。一方で、塾などの教室学習活動は学年が上がるについて急激に増えていき、中学3年生の支出は飛び抜けています。
教養のための支出から、受験に向けた学習のための支出にシフトしていると言えるでしょう。
家計における習い事の費用
先程のデータをもとにして、3歳から高校3年までの学校外教育活動費を累計すると2,815,200円となりました。これに学校教育費が加わるわけですから、子供一人の教育費の負担は相当なものです。
年収による違い
次に年収別の学校外教育活動費を見てみましょう。
出典:ベネッセ教育総合研究所 学校外教育活動に関する調査 2017年
年収が上がるにつれて、習い事などにかける費用は多くなりますが、年収800万円以上の世帯は400万円未満の世帯の3倍近くかけていることが分かります。
こうした格差は、後に学歴の差となり、最終的には年収の差となって、連鎖していくことになるのでしょうか。
習い事はさせたいけれど
最初に示したベネッセの調査によると、学校外教育活動費は2009年に比べ、2017年では減っていることがわかりました。結果だけを見ると、教育にかける意識が下がったかのように思えます。
同調査では、さらに教育についての考えを聞いていますが、その結果を見ると、むしろ教育に対する意識は高まっています。
出典:ベネッセ教育総合研究所 学校外教育活動に関する調査 2017年
2009年→2013年→2017年と、年々数値は上がっています。
「塾や習い事はさせたい」「高い学歴を身に付けさせたい」と強く思っている一方で、現実は世帯の収入が上がっていかないため、費用負担が重くなり、削らざるを得ない状況に陥っているのではないかと推察されます。
これからの習い事
明光義塾が小学生の子供をもつ全国の保護者500人を対象にしたアンケート調査(※)で、「これから子供に習わせたいもの」を聞いた結果、1位「塾」2位「英会話」3位「水泳」4位「プログラミング」5位「ピアノ、音楽」となりました。
ちなみに現在やっている習い事の順位は、1位「水泳」2位「塾」3位「ピアノ、音楽」4位「英会話」5位「書道」となっています。
※「子どもの放課後の過ごし方」に関する実態調査 明光義塾調べ
特筆すべきは、現在の習い事では10位にも入っていない「プログラミング」が上位に浮上している点でしょう。また、「英会話」が上位にきているのも英語教育への関心の高さが伺えます。
2020年から実施予定の新学習指導要領案によれば、小学校からのプログラミング教育の導入、小学5、6年生から英語が教科になる(※)など、学校教育は大きく変わろうとしています。
※現在は小学5、6年生で「外国語活動」として英語に触れているが、親しむことが目的である。
アクティブラーニング
これから教育の現場で注目される言葉に「アクティブラーニング」というものがあります。簡単に言ってしまうと「主体的な学び」となりますが、今までの先生の説明を一方的に聞く授業ではなく、グループディスカッションやグループワーク、生徒による体験学習など、能動的に学ぶための授業、学習形式です。
こうした変化は学校外教育活動にも影響を及ぼすことは十分に考えられます。
学年が上がっていくにつれて、スポーツや芸術系の習い事は減らされ、塾などの詰込み型の勉強にシフトしていくのは仕方がないにしても、スポーツや芸術活動などにはチームワークや創造性を学べる利点があります。アクティブラーニングの土台となるものと言えるでしょう。
もしかしたら、受験対策のみの勉強は時代遅れになるかもしれません。
いかがでしたか?
習い事は積極的にさせたいけれど、家計が厳しいために、取捨選択をしなければならない現状が見えてきたように思います。
また、習い事の種類も時代と共に変化していくことでしょう。周りを見て合わせるのではなく、自分の子供の多様性と可能性に目を向けた選択ができるといいですね。
TEXT:FPwoman 貯金美人になれるお金の習慣
石倉 博子(いしくら ひろこ)
FPwoman Money Writer’s Bank 所属ライター
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