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父の死後、実家を兄弟で「共有」しようと考えています。「将来トラブルになる」と聞きますが、どんなデメリットがありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年7月5日 10時40分

父の死後、実家を兄弟で「共有」しようと考えています。「将来トラブルになる」と聞きますが、どんなデメリットがありますか?

不動産の相続において相続人が複数いる場合には、「とりあえず共有にしておこう」と考えがちです。共有であれば相続人全員で平等に相続することができるからです。   慌ただしい相続手続きの中で、できるだけもめない、できるだけ手間のかからない共有での相続はよい方法のように思われるかもしれません。しかし、不動産の共有名義は後々に問題が発生する可能性を含んでいる点に注意しなければなりません。   本記事では、不動産を共有で相続しない方がよい理由を解説します。

不動産の共有名義とは

不動産の共有名義とは、不動産を複数の人で共に所有することをいいます。例えば、死亡した父親が所有していた実家を兄と弟で相続した場合には、兄と弟の共有名義で相続登記を行います。実家の謄本には、兄と弟の名前が載るということです。
 

「とりあえず共有」にするメリット・デメリット

不動産を相続する際には、なぜ「とりあえず共有」にしようと考える人が多いのでしょうか。そして、なぜ「共有はやめた方がよい」といわれているのでしょうか。メリットとデメリットを解説します。
 

メリット

・分割しにくい不動産を平等に相続できる
・相続登記にかかる費用も平等に負担できる
・相続人間の不公平がなくなることで相続トラブルを避けられる

 
もしも実家を兄弟で相続しようとする場合、1円単位まで平等に分けるためには、多くの場合は実家を売却して分割しやすい現金化することになります。しかし、相続手続きが続く中で不動産の売却も進めるのは大変でしょう。
 
また、すぐに買い手が見つかるとも限りません。実家の立地が悪く、築年数がたっている場合にはなおさらです。そこで相続のゴタゴタが落ち着くまでは、「とりあえず平等に相続できる共有名義にしておこう」となることが多いのです。
 

デメリット

・1つの不動産を複数人で管理しなければならない
・不動産の活用方法で意見対立が起こる可能性がある
・共有名義人の死亡によって名義人の数が膨れ上がってしまう可能性がある

 
実家を兄と弟の共有名義にした場合、実家の維持管理の責任は2人共にあります。どちらか一方に負担が偏った場合にはトラブルになる可能性が高いでしょう。その後、実家を賃貸にしたり、売却したりしようと考えた際には、兄と弟双方の意見がまとまらなければいけません。どちらかの独断で行えるものではないのです。
 
また、共有名義のまま兄か弟のいずれかが死亡した場合には、共有部分の相続が起こります。もしそれをまた共有で相続するとなると、名義人がどんどん細分化されていき、数十年後には名義人全員と連絡がつかなくなる可能性があります。
 

まとめ

不動産の共有名義について、メリットには目先のことばかりが並んでおり、デメリットには将来的にむかえる可能性がある不都合が並んでいます。名義を共有にすることで、相続トラブルを避けつつ遺産分割を終えられる点は大きいですが、それはさらに大きいトラブルを将来へ先送りしているだけなのではないでしょうか。
 
致し方なく共有名義にした場合も、できるだけ早く売却するなどの対処をして共有状態を解消することをおすすめします。
 

出典

法務省法務局 不動産の所有者が亡くなった
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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