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年収が上がると医療費負担が増える!? 医療費が月100万円の場合の年収別自己負担額

ファイナンシャルフィールド / 2023年7月6日 3時0分

年収が上がると医療費負担が増える!? 医療費が月100万円の場合の年収別自己負担額

病気やけがなどで医療費がかかった場合、健康保険が適用される費用であれば、自己負担額は原則3割(小学生から70歳未満)となります。   しかし、仮に医療費が100万円になっても、自己負担額は「3割負担で30万円」とはなりません。長期入院や手術などで1ヶ月にかかる医療費が高額となった場合、自己負担額に上限を設けて抑えてくれる「高額療養費制度」が使えるからです。この制度では所得に応じて上限額が決まるため、年収が上がれば自己負担額が大きくなることもあり得ます。   本記事では、1ヶ月の医療費が100万円かかったと仮定して、実際に自己負担額がどのくらいになるかをシミュレーションし、制度を利用する際の注意点もお伝えします。

高額療養費制度の自己負担限度額

高額療養費制度とは、医療費の家計負担を軽減するため、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月(同じ月の1日~末日)の上限額を超えた場合、その超えた額が支給(払い戻し)される制度です。
 
上限額は対象者の所得水準のほか、70歳を超えるかどうかによって変わります。69歳以下の場合、上限額の計算方法は年収区分に応じて5段階に分かれており、年収が高いほど自己負担額も大きくなります。
 
図表1 69歳以下の医療費自己負担の上限額
 

年収区分 月単位の上限額
約1160万円~ 25万2600 円 +(医療費 - 84万2000円)× 1%
約770~約1160万円 16万7400円 +(医療費 - 55万8000円)× 1%
約370~約770万円 8万100円 +(医療費 - 26万7000円)× 1%
約370万以下 5万7600円
低所得者(住民税非課税) 3万5400円

 
出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆様へ」
 
それでは、医療費が1ヶ月に100万円かかったと仮定し、実際の自己負担額をシミュレーションしてみましょう。
 
まず、最も年収が高い約1160万円を超える区分です。自己負担の上限額を、以下の通り計算します。
 
・25万2600 円 +(100万円 - 84万2000円)× 1% = 25万4180円
 
もし3割負担として30万円を医療機関の窓口で支払っていた場合、自己負担額は25万4180円なので、差額として4万5820円が払い戻されます。
 
次に、年収が約770~約1160万円の区分を見ていきます。
 
・16万7400円 +(100万円 - 55万8000円)× 1% = 17万1820円
 
年収約1160万円超の区分と比べて、自己負担額は8万円ほど少なくなりました。差額として払い戻される額もその分、多くなります。
 
3番目の年収約370~約770万円の区分では、上限額は以下の通りとなります。
 
・8万100円 +(100万円 - 26万7000円)× 1% ¬= 8万7430円
 
自己負担額は、年収約1160万円超の区分の約3分の1まで小さくなりました。
 
年収が370万以下の区分では自己負担額は一律5万7600円、低所得者(住民税非課税世帯)であれば一律3万5400円となり、年収が高い区分と比べて自己負担額がかなり抑えられているのが分かります。
 

70歳以上はさらに負担軽減

医療費の家計割合が大きくなる高齢者への配慮から、70歳以上の場合はさらに負担が軽減される仕組みとなっています。
 
上限額の計算方法は基本的に69歳以下と同じですが、(1)同一月に世帯内でかかった自己負担をすべて合算できる(69歳以下の場合は2万1000円以上の自己負担のみ合算)、(2)年収約370万円以下の区分では外来のみの上限が設けられている、(3)低所得者(住民税非課税世帯)の上限額がさらに低く設定されている――などの点で69歳以下に比べ優遇されています。
 
図表2 70歳以上の医療費自己負担の上限額
 

年収 外来(個人単位) 月単位の上限額(世帯単位)
約1160万円~ 25万2600 円 +(医療費 - 84万2000円)× 1%
約770~約1160万円 16万7400円 +(医療費 - 55万8000円)× 1%
約370~約770万円 8万100円 +(医療費-26万7000円)× 1%
約370万以下 1万8000円 5万7600円
低所得者(住民税非課税) 8000円 2万4600円
低所得者(世帯全員が住民税非課税) 8000円 1万5000円

 
出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆様へ」
 

高額療養費制度の対象外となるもの

高額療養費制度の対象となるのは、健康保険が適用された医療費に限られ、その他の諸費用や自由診療の医療費は対象になりません。例えば、入院時の食費代や個室・少人数部屋に入院したときの差額ベッド代などは対象外です。高額療養費の対象にならない費用の例は、以下の通りです。
 

●差額ベッド代
●入院中の病院の食事代
●入院中の日用品代等
●先進医療の費用
●保険適用外の診療費用
●正常分娩の出産費用

 
個室に入院して治療を受けた場合、差額ベッド代などがかさんで「高額療養費制度を使ったのに想定以上の自己負担が生じてしまった」ということになりかねませんので、注意が必要です。
 

まとめ

本記事では、高額療養費について説明をし、医療費が1ヶ月に100万円かかった場合の自己負担額をシミュレーションしてみました。入院などで医療費がかかっても、公的医療保険の適用対象内であれば、高額療養費制度で自己負担額を抑えることができます。
 
ただし、入院中の食事代や差額ベッド代など高額療養費制度でカバーできない費用もあるので、不安な方は民間の医療保険に加入してもよいでしょう。
 

出典

厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆様へ

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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