給与からは「住民税1万円」引かれているのに、「ボーナス60万円」からは引かれていない!? 理由を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月7日 9時50分
毎月の給与から引かれる住民税は、所得税よりも大きな額となっている人が多いでしょう。しかし、ボーナスからは引かれていないと疑問に思った人もいるのではないでしょうか。 決して会社が天引きし忘れたわけではありません。どういう仕組みなのでしょうか。解説します。
住民税の仕組み
住民税は、毎年1月1日に住所を置いている市区町村へ納める税金です。
住民税は「所得割」と「均等割」の2つから構成されており、所得割は課税所得に税率を乗じて計算し、税率は全国一律の10%です。
均等割は定額で課税される部分で、税額は全国一律の5000円と定められていますが、市区町村によっては1000円前後の加算額が設けられているところもあります。
住民税の計算と納め方
住民税は所得税と同様に、暦年(1月1日~12月31日)の所得に対して課税されます。住民税の計算は会社が届け出た源泉徴収票をもとに市区町村が行い、その金額を会社へ通知します。そして会社は、社員それぞれの住民税をそれぞれの給与から天引きし、社員に代わって市区町村へ納める流れとなっています。
これを特別徴収といいます。給与から住民税が天引きされているのはこの仕組みのためです。
【図表1】
立川市 (事業主の皆様へ)市民税・都民税(個人住民税)の特別徴収を徹底しています
例えば、東京都では2022年分の住民税が12万円だったとすると、2023年6月から2024年5月までの12ヶ月間、毎月の給与から月1万円ずつを特別徴収するようになっています。
なお、東京都は6月スタートとなっていますが、市区町村によっては5月だったり、7月だったりします。ただ、前年分を翌年で天引きする仕組み自体は同じです。
住民税は給与からのみ引かれる
このように、住民税は「12回の分割後払い」方式となっていることが、ボーナスを除いて給与からのみ天引きされる理由です。
年2回のボーナスまで考慮して14回払いとしてもよいかもしれませんが、ボーナスのない会社だと天引きできません。会社に雇用されている限り毎月支払われる給与からのみ天引きとした方が、会社による差がなく安定して徴収できます。
ちなみに、会社を退職した場合、退職後に最長2年分の住民税が請求される場合もある点に注意しましょう。退職したことで給与から天引きできなくなった前年の残り分の住民税と、退職した年分の住民税です。例えば、2023年6月に退職した場合、2022年分と2023年分の住民税をまだ支払っていないということになります。
ボーナスから所得税が引かれるのはなぜ?
ボーナスの天引き額を見ると、ほとんどの人は所得税が引かれているでしょう。住民税と所得税、同じ税金なのに住民税は引かれず、所得税は引かれるのはなぜでしょうか。
それは、住民税は後払いなのに対して、所得税は前払いだからです。
まとめ
住民税は、前年分を翌年の給与で12回払いする仕組みとなっているため、ボーナスからは天引きされません。
所得税はその年の所得税を概算で前払いする仕組みであることから、ボーナスから天引きされるということを覚えておきましょう。
出典
東京都主税局 個人住民税
立川市 (事業主の皆様へ)市民税・都民税(個人住民税)の特別徴収を徹底しています
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
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