老後の年金は「月12万円」ですが、平均より少ないですか? この金額で暮らしていけるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月8日 10時30分
年金はお金の面で老後の生活を支える大切な存在です。その支給額は、それまでの就労形態や就労期間によって異なります。例えば、月12万円の年金が支給されたとして、私たちの老後を十分に支えてくれるのでしょうか。 本記事では、年金受給額の平均値と実際に必要な生活費を確認したあとで、おすすめの老後資金対策について考察していきます。
「月額12万円」の支給額は平均より少ない?
年金の受給額は職種や納入した保険料とその期間などにより変動するものです。厚生労働省が継続的に発表している「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によって年金の受給関連データを知ることができます。
例えば、令和3年度末の月平均年金受給額をみると、基礎年金が約5万6000円、厚生年金が約14万6000円です。そのほか、年齢別や年度別の平均受給額についてもデータがあります。
・年齢別平均受給額
60歳では基礎年金が3万8945円、厚生年金が8万7233円です。また、65歳では基礎年金が5万8078円、厚生年金が14万5372円となっています。年齢別統計には2つの特徴があります。
一つは、厚生年金の受給額について高齢になるほど増加する傾向です。これは年齢が増すことによる年金計算時の乗率が高くなるのが原因です。
もう一つは、65歳未満の受給額が少なくなっている点です。これは、繰上げ受給によるもので、60歳から65歳の間で年金受け取りを繰り上げると減額されます。
・年度別平均受給額
月額平均値を比較すると、平成29年度では基礎年金が5万5615円、厚生年金が14万7051円となっています。これが、令和3年度になると、基礎年金が5万6479円、厚生年金が14万5665円になるのです。
大まかな傾向としては、基礎年金は繰上げ受給を選択する人の割合が減少し、5年間でやや上昇しています。厚生年金は新たに受け取る人ほど乗率が低下し、やや減少傾向にあるようです。
以上の統計データと比較すると「月額12万円」の支給額は厚生年金の平均より少ないといえるでしょう。
65歳以上単身世帯の平均支出
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要」を見てみましょう。65歳以上の単身無職世帯の消費支出は、14万3139円となっています。
消費支出の内訳は、食料費3万7485円、住居費1万2746円、光熱・水道費1万4704円、交通・通信費1万4625円、教養娯楽費1万4473円、交際費1万7893円などです。
老後の資金対策はどうすべきか?
すでにみたように、65歳以上の単身世帯の消費支出と比べると月12万円の年金だけでは足りない可能性があります。そうなると、老後の資金対策が必要です。
定年後も働くことを選択する方法の他に、個人型確定拠出年金(iDeCo)、少額投資非課税制度(NISA)などの金融商品を活用する方法もあります。
このような対策は、1つだけでなく組み合わせることで効果を発揮します。重要なのは、自分のライフスタイルや目標に合った方法を選ぶことです。
資金が不足すると感じるのであれば十分な対策を
月12万円の年金で生活するのは、個人の生活習慣や健康状態によりますが、平均的な生活費と比較すると厳しいといえます。そのため、副業や貯蓄、iDeCoやNISAなど、さまざまな老後の資金対策を講じることが大切です。
自身の生活スタイルや目標に合わせて、最適な老後の生活設計を考え、実行に移すことで、安心した生活を送ることが可能となるでしょう。
出典
厚生労働省 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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