年金の平均受給額は「月14万円」!? 今からできる「老後資金を増やす」3つの対策
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月11日 2時20分
厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、全体の年金額の平均額は月約14万4000円です。また、総務省の家計調査では毎月の赤字が夫婦世帯では2万円弱、単身世帯では1万円弱となっています。 老後に公的年金だけでは暮らすのが難しいことは予想できますが、何をすればいいのかが分からないという人もいるでしょう。本記事では、今からできる老後資金対策を3つ解説します。
老後の平均的な生活費はいくら必要?
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」によると、65歳以上の夫婦世帯・単身世帯が老後に必要な1ヶ月当たりの生活費は以下のような金額となっています。
・単身世帯:14万4747円
・夫婦世帯:25万5101円
この金額は「生活をするために必要な金額」です。そして、家計収支では夫婦2人世帯で1万8525円、単身世帯で9402円が毎月赤字であるという結果になっています。
赤字になる金額は、貯蓄を取り崩しながら生活することになるため、それを見越した資金の準備が必要となります。65歳からの老後期間を30年として計算すると、次のような金額となります。
1万8525円×12ヶ月×30年=666万9000円
9402円×12ヶ月×30年=338万4720円
老後に必要な貯蓄金額の目安と考えておきましょう。
男女別や専業主婦の平均受給額は?
前述の厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」による全体の平均受給額を細かい金額まであげると、1人あたり月14万3965円となります。さらに男女別でみると、男性は月16万9006円、女性は10万9261円となっています。
平均受給額を単純に合計すると夫婦2人で公的年金は月約28万円受け取れる計算です。
例えば、夫が会社員で妻が専業主婦または扶養範囲内で働いていた場合は、妻は国民年金のみの受給となります。国民年金の平均受給額は月5万6368円です。働き方によっても、将来受け取れる年金額に大きな差が出てきます。
結論、老後の生活費を公的年金だけでカバーできるかどうかは、国民年金と厚生年金の加入状況次第となります。社会に出て数十年働き、ようやく迎えた老後生活が毎月赤字の生活ではとても明るい未来とはいえません。
老後資金が足りない!「今すぐ」「これからの働き方」「年金を受け取るとき」の3つの対策
では、公的年金だけでは老後資金が足りない場合はどうすればいいのでしょうか。ここでは「今すぐ」「これからの働き方」「年金を受け取るとき」の3つに分けて対策を紹介します。
「今すぐ」自分でためる
老後資金が不足すると分かったら、今すぐに対策が必要となります。自分ですぐにできる対応としては「とにかくためること」です。
しかし、いろいろなため方があります。自分が理解・管理ができる方法でためていきましょう。
・コツコツ貯金
・税制優遇が魅力の個人型確定拠出年金(iDeCo)
・運用益が非課税の少額投資非課税制度(NISA)
・生命保険料控除を利用できる個人年金
ただし、NISAとiDeCoは運用リスクがあるため、20年以上の長期運用が理想です。
iDeCoは受け取り時期が決まっている(60~75歳)のに対し、NISAは自分の都合のよいときに運用している商品を必要な分だけ受け取れます。
「これからの働き方」できるだけ長く働く
国民年金は原則60歳までしか加入できませんが、厚生年金は原則70歳まで加入できます。60歳以降も厚生年金に加入しながら働くことで、労働収入と厚生年金部分の年金額を増やせます。
注意点として、60歳以上で特別支給の老齢厚生年金を受け取っている場合や、65歳以降も厚生年金に加入して働く場合は、在職老齢年金制度により年金額が一部支給停止となる場合があります。勤務する会社と相談をしながら、自分に適した働き方をしていきましょう。
「年金を受け取るとき」繰下げ受給をする
公的年金の受け取り時期を遅らせることを繰下げ受給といいます。65歳で公的年金を受け取らずに66歳以後75歳までの間、1ヶ月単位で繰り下げられます。
1ヶ月繰り下げるごとに、0.7%増額されます。老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて増額され、増額された年金額は一生涯続きます。老齢基礎年金・老齢厚生年金のどちらか一方のみ繰り下げられます。
ただし、繰下げ受給をすると加給年金額や振替加算額を受け取れないなどの注意点もあります。繰下げ受給をする場合は、専門家や年金事務所などに相談しながら検討することが必要です。
まとめ
本記事で記載している金額は、あくまで「平均」の金額です。自分の公的年金受給額を知りたい場合は、ねんきん定期便に記載されている金額を参考にしてみると、実際受け取れる年金に近い金額が算出できます。
老後になってから後悔しないために、今からできることを少しずつ取り組んでいきましょう。
出典
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編) 2021年(令和3年) 家計の概要
執筆者:石井麻理子
FP2級・AFP・損害保険トータルプランナー
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