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【生命保険】株の配当金とは違う生命保険の仕組みと課税関係

ファイナンシャルフィールド / 2023年7月11日 6時0分

【生命保険】株の配当金とは違う生命保険の仕組みと課税関係

生命保険には、「有配当の保険」と「無配当の保険」があります。   一般に、「有配当の保険」は漢字生保、「無配当の保険」は、ひらがな生保やカタカナ生保が扱っています。この記事では、生命保険の配当金の仕組みと課税関係について解説します。

保険料の仕組みと配当金

生命保険料は、将来の保険金等の支払いの財源となる「純保険料」と保険契約の維持管理に使われる「付加保険料」から成ります。
 
また、生命保険の保険料は、「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」という3つの予定基礎率をもとに算出しています。純保険料は「予定死亡率」「予定利率」を計算の基礎とし、付加保険料は「予定事業費率」を計算の基礎としています。
 

<3つの予定基準率、用語説明>

 
■予定死亡率
過去の統計をもとに年齢別・男女別の死者数を予想して、将来の保険金の支払いにあてるために必要な保険料を算定するときの計算に用いる死亡率をいいます。
 
■予定利率
積立金の運用に得られる収益率をいいます。
 
■予定事業費率
生命保険契約を維持管理するのに必要な新契約の販売や保険契約の保全、保険金の支払いなどの経費率をいいます。
 
これらの基礎率は「予定」ですので、実際には、死亡者数・運用利回り・事業費が予定したとおりに実現するとは限りません。
 
予定死亡者数より実際の死亡者数が少なかった場合、予定利率による収入見込みよりも実際の利回りによる収入が大きかった場合や、予定事業費よりも実際の事業費が少なかった場合など、予定と実際との差によって剰余金が生じます。
 
この剰余金の還元として、契約者に対し分配されるお金のことを配当金といいます。配当金は、例えば預貯金の利息や株式の配当金とは異なり、予定率にもとづき計算をした保険料を事後清算するという意味があります。
 

予定利率と保険料の関係

予定死亡率は、年齢が高いほど、女性よりも男性のほうが高くなります。したがって、年齢が高いほど、同年齢であっても男性のほうが保険料は高くなります。
 
予定利率で運用して得られる収益分、保険料は安く設定されます。したがって、予定利率が高ければ保険料は安くなり、予定利率を引き下げれば保険料は高くなります。予定事業費率を高くすれば保険料は高く、低くすれば安くなります。
 
なお、無配当の保険は、一般的に有配当の保険に比べ、予定利率等の基礎率を実際の経験値に近いものを用いることで保険料を安くしてあります。
 

有配当の種類

有配当には3利源配当タイプと利差配当タイプがあります。
 
3利源配当タイプは、毎年の決算において、上記3つの予定率と実際の率とを比べて、その差によって発生する損益を算出します。そして、剰余が発生した際に配当金として分配します。主流は「毎年配当型」ですが、「3年ごと配当型」もあります。
 
利差配当タイプとは、予定利率と実際の運用成果との差により発生した損益に対し、それを一定の年数ごとに通算を行います。そして、剰余が発生した際に配当金として分配します。主流は「5年ごと利差配当型」ですが、「3年ごと利差配当型」「毎年利差配当型」もあります。
 
配当金の受取方法には、「積立」「買増」「相殺」「現金支払」という4つの方法があります。


「積立」とは、配当金を積み立てておき途中や満期で受け取る方法で積立中は利子がつきます。

「買増」とは、配当金を一時払いの保険料として保険金を増やす方法です。

「相殺」とは、配当金を保険料から差し引き保険料が安くなる方法です。

「現金支払」とは、配当金をそのつど現金で受け取る方法です。

保険の種類によって受取方法が限定されている場合がありますので留意しましょう。
 

配当金と税金

配当金を受け取ったときの課税関係は、その配当金が契約期間中に受け取ったものか、保険金とともに受け取るかにより異なります。
 
相殺配当や現金一括配当、積立配当金について、契約をしている期間に受け取る配当金は、課税されません。生命保険料控除に関しては、配当金を控除した後の正味保険料が対象です。
 
保険金の買い増しについて、買い増し時に課税関係は生じません。生命保険料控除については表定保険料額で行います。また、保険金に一時所得、贈与税、相続税が課税されるケースでは、配当金についても保険金の額に含め課税されることになります。
 

留意点

配当金は、決算での結果によって毎年変動します。保険設計書に記載されている配当金も、その金額は確定されたものではないのです。例えば、契約をした時は予定利率が高かった時期で、配当金が受け取れない年が続くというケースもあります。
 
また、契約内容(保険種類や契約年月日など)によっても異なります。以上の点には十分留意しましょう。
 

出典

国税庁 保険と税
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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