高い利回りが魅力の「ハイ・イールド債」とは? メリット、デメリットを解説!
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月13日 3時20分
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投資をする際に日本国内だけでなく、海外にまで目を向けると、投資対象として魅力的な商品が見つかることがあります。特に、日本の極めて低い金利水準と、海外との差を主な要因とした「円安」の傾向は、海外への投資を助長するきっかけともなっています。 本記事では、海外投資の1つである「ハイ・イールド債」のメリット、デメリットなどについて確認してみたいと思います。
ハイ・イールド債とは
「ハイ・イールド債」とは、その名称のとおり、ハイ(high)=高い、イールド(yield)=利回りの債権のことを指します。特徴を一言でいえば「信用は低いが、利回りが高い」となるため、「ジャンク債」と呼ばれる場合もあります。
一般的な債券は、満期を迎えると額面金額で償還されますが、それとともに定期的に利子が支払われたり、割引債での償還差益を受け取ることができます。
「ハイ・イールド債」における信用力は、その発行体である国や企業の信用力で決まります。
一般的には、例えば、信用が低い(借金を返してくれる見通しが低い)企業や国の場合は、金利を高く設定しないと債券を購入してくれる買手がつかないため、利回りが高くなる傾向があります。
また、信用力が低いということは、「デフォルト(債務不履行)」のリスクが高いことを意味しており、利払いが滞ったり、額面金額どおりの償還ができなくなる場合も十分にあり得るということを、理解しておかなくてはなりません。
格付け会社による債券信用力の分類
債券の信用力は、世界的に有名な格付け会社である「ムーディーズ」や「S&Pグローバル・レーティング」(以下、S&P)による格付けで決定されます。
例えば「S&P」の場合、信用力をAAAからDの間で格付けしており、BBB以上の債券を「投資適格債」と呼んでいます。もちろん、投資適格債であるから100%安全ということではなく、信用力が比較的高いという意味です。
逆に、BB以下の格付けの債券を「ハイ・イールド債(ジャンク債や投資不適格債)」と呼んでいますが、こちらも絶対に投資してはいけない、必ずデフォルトが起きる、という意味ではなく、信用力が相対的に低い債券を指しています。
また、格付け会社による格付けは定期的に実施されており、当然ながら格付けが上下する場合があります。
なお、投資適格債からBB以下の「ハイ・イールド債」に格下げされた債券のことを「フォーリンエンジェル」と呼び、ハイ・イールド債から投資適格債に格上げされた債券を「ライジングスター」と呼んでいます。
ハイ・イールド債のメリット
「ハイ・イールド債」には、投資先の対象として「米国」「欧州」「アジア」などがあり、証券会社ごとに、さまざまな投信ファンドの商品が用意されています。
「ハイ・イールド債」のメリットを挙げると以下のようになります。
(1)高い利回りが期待できる
現在の日本の低金利環境下においては、「ハイ・イールド債」のような高い利回りが期待できる商品を設定することは極めて困難といえます。そのため、海外の「ハイ・イールド債」に投資先として魅力を感じることもあるでしょう。
(2)分散投資によりポートフォリオ全体のリスク分散につながる
「ハイ・イールド債」は信用力が低いため、デフォルトリスクなどを考慮すると、それのみでの資産運用を行うことは、お勧めできません。
ただし、ポートフォリオに組み入れて、より安全性の高い商品と組み合わせることで、分散投資が図れ、ポートフォリオ全体のパフォーマンス向上とリスクの分散につながる可能性があります。
ハイ・イールド債のデメリット
一方、「ハイ・イールド債」の主なデメリットには以下が挙げられます。
(1)デフォルトリスクの可能性が相対的に高い
発行体である企業や国の経営状態の悪化などによるデフォルトリスクは、投資する前に必ず理解しておかなければなりません。元々、信用力が低い対象への投資ですので、当然、一般市場と比較してもデフォルト率は高くなっています。
(2)流動性リスクが悪化する可能性がある
地政学的リスクや金融危機などが原因で景気が急速に低迷し、デフォルト率が高まって信用力が収縮する局面となると、一気に売り手が増え、買い手がつかずに売却が困難となることもあり得ます。このような場合には「ハイ・イールド債」の流動性が大きく低下する可能性がある注意が必要です。
まとめ
日本よりも高い利回りを求めて、投資先として海外に目を向けることは決して悪いことではなく、分散投資の観点からは、むしろ望ましい行動であるといえるでしょう。
ただし、「ハイ・イールド債」のデメリットとして、今回紹介したリスクのほかにも、為替リスクや価格変動リスクなど、海外投資商品に関する知識は不可欠となります。
また、社会情勢や経済環境が目まぐるしく変化している今日においては、一度投資した商品をそのまま保有し続けるだけでなく、常にその動向を注視していくことも重要な心構えの1つかもしれません。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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