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妻の年金受給額を5万円増やしたい! 月収10万円のパートなら何年働けばいい?

ファイナンシャルフィールド / 2023年7月14日 10時0分

妻の年金受給額を5万円増やしたい! 月収10万円のパートなら何年働けばいい?

人生100年時代と言われて久しくなりますが、実際に日本人の平均寿命は延び続けています。   寿命が延びるということは、老後の期間が長くなるということでもあります。就労を継続するケースも多くなりますが、老後の生活を支える年金の額は、現役時代に少しでも増やしておいた方が安心です。   例えば夫婦2人の世帯で、妻が受け取る年金を年間5万円増やすために、月収10万円のパート勤務を行う場合では、8年近く就労しなければなりません。

夫婦2人が65歳から受け取れる標準的な年金額

公的年金の基礎部分は強制加入の国民年金で、令和5年4月分からの老齢基礎年金の額は67歳以下の場合、満額で月額6万6250円となっています。
 
また、厚生年金に加入していた人は、加入時の報酬額や加入期間等に応じた老齢厚生年金(報酬比例部分)を受け取ることができます。日本年金機構のホームページに掲載されている老齢厚生年金の標準的な年金額は、夫婦2人合わせて月額22万4482円となっています。
 
日本年金機構が標準モデルとしている夫婦は、夫が平均的な収入(標準平均報酬が賞与を含む月額換算で43万9000円)で40年間就労し、妻は専業主婦となっています。このケースでは、妻は夫に扶養されているので保険料の負担はありませんが、第3号被保険者として国民年金に加入しています。
 
前述した標準的な老齢厚生年金額である22万4482円は、夫婦それぞれの老齢基礎年金(満額)を含めた金額のため、夫の老齢厚生年金は月額9万1982円となります。
 

妻の年金を5万円増やすためには?

ここでは、妻が月収10万円のパートで厚生年金に加入して働き、65歳から受け取る年金について、年間5万円(月額約4167円)の増額を目指すというケースを考えてみます。
 
老齢厚生年金の受給額は前述したとおり、厚生年金に加入していたときの報酬額と加入期間等によって計算されます。昭和21年4月2日以降生まれで、平成15年4月以降に加入期間がある場合の計算方法は以下になります。
 
老齢厚生年金額=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
 
平均標準報酬額は、計算の基礎となる各月の標準報酬額と標準賞与額の総額を加入期間で割った額です。
 
厚生年金保険料表による標準報酬額は、1等級(8万8000円)から32等級(65万円)までの32等級に区分されており、平均月収が10万円という場合は報酬月額9万3000円以上、10万1000円未満の範囲で、該当する区分は2等級の9万8000円となります。
 
老齢厚生年金の計算式とパートの平均年収から、年金を5万円増やすために厚生年金に加入して就労が必要な月数は以下のように計算でき、おおむね8年近く働くことで目標を達成できます。
 
5万円×1000/5.481÷9万8000円=93.1ヶ月
 

パートで年金の増額を目指すときの注意点

老後に受け取る年金を増やすためにパート勤務などを行う場合、以下の2点に注意してください。
 

(1)「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」「国・地方公共団体に属する事業所」で働く

厚生年金の適用事業所には、株式会社などの法人、従業員が常時5人以上いる個人の事業所など強制適用事業所(農林漁業、サービス業などの一部を除く)のほか、厚生労働大臣の認可を受けた任意適用事業所があります。
 
それらの事業所で働き、常時使用関係があれば、パートやアルバイトなどの短時間労働者も厚生年金の被保険者となりますが、従来は1週間の所定労働時間、または1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務を行う正規労働者の4分の3以上あることが必要でした。
 
しかし、平成28年10月から社会保険の適用範囲が拡大され、特定適用事業所や任意特定適用事業所などで就労する短時間労働者で、労働時間や日数が正規労働者の4分の3に満たない場合でも、週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金8万8000円以上(学生を除く)に該当する場合は社会保険の加入対象となり、厚生年金の被保険者となります。
 
特定適用事業所の企業規模の要件は、令和4年9月までは厚生年金被保険者数501人以上でしたが、令和4年10月から101人以上となり、さらに令和6年10月には51人以上になる予定です。
 
求人広告にはパート勤務でも社会保険に加入できるか記載がありますので、忘れずに確認してください。
 

(2)年金以外の影響も理解する

専業主婦の場合、自身で保険料を負担することなく国民健康保険に加入していますが、パート勤務により厚生年金の被保険者になれば、年金保険料の負担が発生します。
 
また、年金保険料だけでなく健康保険料や所得税、住民税も発生し、夫の勤務先によっては家族手当がなくなることもあります。
 
年収120万円で概算すると、都道府県による若干の差はありますが、社会保険料が14%程度で約16万8000円、所得税が約8600円、住民税が約2万5000円、合計して年間約20万1600円の負担となります(生命保険料控除や医療費控除など所得控除は考慮していません)。
 
月収10万円のパートでは手取りの目安は月8万3000円程度となり、8年の就労による総額は約800万円となります。それをどのように使うのか、また老後に備えてどう貯めるのか、しっかりと計画を立ててください。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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