投資信託の運用手法 その3 アクティブ・ファンド
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月15日 23時20分
ここまで2回にわたり、投資信託の概要をはじめ、インデックス・ファンドのメリットや分散投資との関係を説明してきました。「その3」では、インデックス・ファンドとは異なる考え方で運用する「アクティブ・ファンド」について説明します。
アクティブ・ファンドとは?
アクティブ・ファンドは投資信託の種類の1つで、投資家の資産を専門家が積極的に運用する投資商品であり、個別銘柄の選択や、市場のトレンドを追った運用が行われます。
そのため、特定の指数に連動するインデックス・ファンドと異なり、市場全体の平均リターンを上回ることが期待されますが、その結果、リスクも高くなります。アクティブ・ファンドのメリットと注意点を挙げてみます。
1. アクティブ・ファンドのメリット
・専門家による個別銘柄の選択や市場トレンドの把握により、市場平均を上回るリターンを得られる可能性がある。
・投資家自身の銘柄選択や運用の知識が不足しており、経験が少ない場合でも、専門家に運用を任せることができる。
2. アクティブ・ファンドの注意点
・高い運用コストがかかるため、長期的な運用には向いていない。
・運用成績が専門家の能力に左右されるため、必ずしも一定とは限らず、期待した結果が得られないことがある。
・個別銘柄の選択や市場トレンドを正確に捉えられない場合には、市場平均を下回るリターンになる可能性がある。
以上のように、アクティブ・ファンドは市場平均を上回るリターンを期待できる一方で、高い運用コストや運用成績の不確定性があります。自分自身の投資目的やリスク許容度とともに、商品の内容や成績を見ながら、適切なアクティブ・ファンドを選択する必要があります。
アクティブ・ファンドの運用実績が思ったより上がらない理由は何か?
多くのアクティブ・ファンドが市場平均の上昇率を下回っているといえわれていますが、その点については以下のような理由が挙げられます。
1.高い運用コスト
アクティブ・ファンドは専門家による運用が行われるため、その運用コストも高くなります。投資信託の信託報酬手数料は、投資信託の保有期間に応じてかかります。高いものでは年率2%くらいのものもあり、長期保有には適していません。コストの高さが運用成績に影響することがあります。
2.専門家の運用能力に差がある
アクティブ・ファンドの運用成績は、そのファンドを運用する専門家の能力によって左右されます。そのため、一部の優れたファンドマネージャーが高いリターンを出す一方で、多くのファンドマネージャーが市場平均を下回るリターンを出すことがあります。
3.市場のトレンドを正確に捉えられない場合がある
アクティブ・ファンドは、市場全体のトレンドを正確に捉えて銘柄選択をすることが期待されます。しかし、市場のトレンドを誤って捉えれば、市場平均を下回ることがあります。
市場トレンドを正確に捉えるにはどうしたらいいか?
市場トレンドを正確に捉えることは、アクティブ・ファンドの運用成績に大きく影響するため、非常に重要なポイントです。市場トレンドを正確に捉えるためのいくつかの方法を紹介します。
1.徹底的に情報収集を行う
市場のトレンドは、市場参加者が持つ情報や期待に基づいて形成されます。そのため、多角的な情報収集が必要です。市場動向や企業の業績、政治・経済情勢、各種指標などについて、情報源を広げて常に最新の情報を収集する必要があります。
2.市場全体の動きを把握する
市場全体の動向を正確に把握できれば、銘柄の動きを予想しやすくなります。市場全体の動向は、株価指数や株価先物・オプション市場の動き、相関関係などから把握できます。
3.テクニカル分析を活用する
チャート分析や移動平均線などのテクニカル分析ツールを用いて、市場の動きやトレンドを捉えることができます。ただし、テクニカル分析は単なるツールであり、十分な情報収集や、ファンダメンタルズ分析と組み合わせることが必要です。
4.長期投資の視点を持つ
市場トレンドは、一時的なニュースや情報に左右されることもありますが、企業の実績や経済環境などを長期的な視点から分析した場合、一定の傾向を見つけることも可能です。
以上のように市場トレンドを正確に捉えるためには、さまざまな視点を持つことが重要ですが、トレンドを完全に把握することは困難であるため、投資家は自身のリスク許容度に応じた分散投資を行う必要があります。
アクティブ・ファンドの評価
アクティブ・ファンドは、ファンドマネージャーの能力によってリターンが異なり、運用コストが高いというデメリットがあります。
一般の投資者が投資信託に投資する場合は、コストの低いインデックス・ファンドで市場平均のリターンを狙うのが現実的といえるでしょう。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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