老後の家計は「月2万円」の赤字に!? 赤字を防ぐ6つの「老後対策」について解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月18日 10時10分
働く現役世代にとって、将来の老後生活はお金の不安も多いでしょう。働いている間に準備した貯蓄と公的年金で生活ができるのか、気になります。 本記事では、65歳以上の夫婦(無職世帯)の平均的な家計収支を基に、赤字を防ぐ対策を6つ紹介します。
老後の赤字が毎月約2万円だと、合計いくら足りない?
厚生労働省の「令和3年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性は87.57歳です。65歳で退職と仮定すると、男性は16.47年、女性は22.57年の老後生活を送ることになります。
そして、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」によると、65歳以上で無職の夫婦世帯と単身世帯の家計支出(月額)はそれぞれ25万5100円と14万4747円でした。
この家計支出のうち、夫婦世帯は1万8525円、単身世帯では9402円が毎月赤字となっています。この2つのデータから、夫婦2人世帯の場合、次のような赤字累計額が予想されます。
◾️夫婦2人それぞれが平均寿命まで生活した場合
※男性の平均寿命まで2人で生活し、その後、女性が単身で平均寿命まで生活した場合の計算
【夫婦2人世帯】
1万8525円×12ヶ月×16.47年=366万1281円
【単身世帯となった後】
9402円×12ヶ月×(22.57−16.47)年=68万8226円
【総赤字額】
366万1281円+68万8226円=434万9507円
この金額は1つの例ですが、将来準備が必要な老後資金の目安になります。
老後に赤字にならないための6つの対策
では、老後の家計収支が赤字にならないためには、どのような対策をすればよいのでしょうか。ここでは6つの対策を紹介します。
(1)とにかく貯金
毎月の一定額を、とにかく貯めます。なんとなく貯めるのではなく「退職後の趣味のために300万円貯める」「自宅のリフォーム代を500万円貯める」のように、使う目的と目標金額を決めるとよいでしょう。
また、貯金は働いて収入がある期間だからこそできる方法です。準備できる期間に計画的に貯金していきましょう。
(2)税制優遇を受けながら老後資金を準備できる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」
iDeCoは、毎月一定額の掛け金を運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。メリットとして、以下の3つの税制優遇が受けられます。
・掛け金が全額所得控除
・運用している間に得た運用益は非課税
・受け取るときに退職所得控除または公的年金控除が適用
注意点は、加入者等が死亡した場合、高度障害になった場合、一定の条件を満たす場合以外は、60歳まで解約ができないことです。
(3)運用益が非課税になる「つみたて少額投資非課税制度(つみたてNISA)」
つみたてNISAは、金融庁が定めた一定条件をクリアした「投資信託」「上場株式投資信託(ETF)」を積み立て購入し、運用して得られた分配金や譲渡益が非課税となる制度です。
働いている間も退職してからも、つみたてNISAは利用できます。働いているときは「資産を積み立て運用する」、退職したら「資産を使いながら運用する」。退職後は、働いているときに積み立て運用してきた資産を取り崩しながら、すぐに使わない分は運用していくことで資産の減少スピードを緩やかにできます。
(4)将来の老齢基礎年金額を増やすために「追納」をする
追納とは、国民年金保険料の免除・納付猶予を受けた期間分の保険料を後から納められる制度です。保険料の免除・納付猶予を受けると将来もらえる年金(老齢基礎年金部分)が免除・納付猶予の期間や内容に応じて減額されますが、追納することで減額された年金額を満額納付した場合に近づけることができます。
追納できる期間は、過去10年間に国民年金保険料の免除・納付猶予を受けた分です。国民年金保険料の免除・納付猶予を受けたことがある場合は、追納できるか年金事務所へ確認してみましょう。追納した保険料は、社会保険料控除の対象となります。
(5)個人年金に加入する
加入時に「個人年金保険料税制適格特約」を付加すれば生命保険料控除(個人年金保険料控除)が使え、満期まで保険料を払い込めば確実に契約した金額が受け取れます。
ただし、早期解約すると元本割れする可能性が高いこと、一時払い個人年金において生命保険料控除が使えるのは保険料を支払った年のみで「一般生命保険料控除」の枠になることなどに注意しましょう。
(6)公的年金の繰下げ受給
公的年金の受け取り時期を遅らせる繰下げ受給を利用すると、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額されます。老齢基礎年金と老齢厚生年金それぞれについて増額され、一度繰り下げると、年金を受け取っている間の増額率は一生変わりません。老齢基礎年金・老齢厚生年金のどちらか一方のみ繰り下げることもできます。
まとめ
「やっておけばよかった!」と、老後に後悔しても時間は戻りません。生活費の心配をしながら暮らす老後ではなく、楽しく老後を過ごすための対応策を今から検討・実行していきましょう。
出典
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要
執筆者:石井麻理子
FP2級・AFP・損害保険トータルプランナー
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