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勤務先の「食事代」は給料の一部? 会社から提供される食事と社会保険料の関係とは

ファイナンシャルフィールド / 2023年7月19日 3時10分

勤務先の「食事代」は給料の一部? 会社から提供される食事と社会保険料の関係とは

給料から天引きされる健康保険料や厚生年金保険料等の社会保険料の額は、毎年4月・5月・6月分の給料を基に計算します。そして、毎年7月1日~10日がその届出の期間です。ところで、勤め先から食事(=賄いも含む)が提供される方もいらっしゃるでしょう。   実は、勤め先から提供される食事も「給料の一部」とみなされて社会保険料の額の計算に含まれるのは、ご存じでしたか? 本記事で、会社から提供される食事の額と社会保険料の関係について説明していきます。

社会保険料の計算とは?

健康保険料や厚生年金保険料の社会保険料では、給料に通勤交通費(定期券代等も含む)や勤め先から提供される食事代等、労務の対価として支給されるすべてのものを「報酬」とよびます。その報酬を従業員の月々の給料を1~50の等級(厚生年金は1~32)に分けて表したものを「標準報酬月額」といいます。
 
例えば、給料に通勤交通費や給料とみなされるものの合計が29万~31万円の間(=これが先述の「等級」)だとすると、標準報酬月額は30万円です。そして、標準報酬月額に健康保険料率や厚生年金保険料率を、それぞれ掛けると健康保険料の額や厚生年金保険料の額になります。
 
例えば、先述の標準報酬月額30万円に健康保険料率(介護保険料率含む)11.82%、厚生年金保険料率18.3%をそれぞれ掛けると、健康保険料の額は3万5460円、厚生年金保険料の額は5万4900円ですが、給料から天引きされるのは、それぞれその半額になります。
 

社会保険料の計算に含む「食事の額」は都道府県ごとに決まっている

勤め先から提供される食事の額は、勤め先によっても違うでしょうし、食事のたびに異なるかもしれません。しかし、社会保険料の計算時に給料の一部とみなされる「食事の額」は、「実際の食事の額」を基に計算しません。食事の額は、都道府県ごとに決まっています。
 
以下は、東京都の例(=いずれも1人あたり)です。
 

●1月あたりの食事の額2万3100円
●1日あたりの食事の額770円
●1日あたりの朝食のみの額190円
●1日あたりの昼食のみの額270円
●1日あたりの夕食のみの額310円

 
例えば、勤め先から昼食のみが提供されていて、それが21日間の場合、上記の東京都のケースでは、270円×21日間=5670円が給料の一部とみなされ、給料と一緒に社会保険料の計算の対象になります。
 

対象にならないケースは?

例えば、東京都の勤め先で810円の昼食が提供されたとします。その代わり、昼食をとる従業員の自己負担が540円で、会社の負担が270円だったとします。食事の額の3分の2以上を従業員が自己負担すれば、食事の額は社会保険料の対象にはならないのです。このような場合、食事の額は給料とみなされることはなく、食事の額は社会保険料とは無関係です。
 
なお、勤め先から810円の昼食が提供されて自己負担がゼロの場合、1食あたり270円が給料とみなされ、社会保険料の計算の対象になります。なお、270円は給料とみなされる額で、社会保険料そのものではありません。
 

まとめ

以上のように、食事の額が社会保険料の計算の対象になるかどうかは、その内容によって異なります。ご自身のケースではどのようになるのか、確認しておくとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月から現物給与の価額が改正されます

日本年金機構 全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)

厚生労働省 現物給与制度の概要

全国健康保険協会 標準報酬月額・標準賞与額とは?
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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