「老後に必要なお金」を、月ごとの不足金額から逆算する方法とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月19日 7時30分
老後に必要なお金はいくらかと問われたとき、すぐに答えられる人は、どれだけいるでしょうか。まだ先の話だからといって、先延ばしにしていると、いざというときに対応できなくなります。 本記事では、老後に必要なお金について、月単位で不足する金額から、目標金額を逆算する方法を紹介します。
老後にかかるお金はいくら?
総務省が2021年に公表した「家計調査年報(家計収支編)」では、二人以上の世帯のうち、老後生活を迎えた65~69歳の無職世帯では、平均26万1123円かかるとされました。
では、65歳以上の夫婦だけが暮らす世帯や、一人暮らしで老後を迎える世帯では、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。
65歳以上の夫婦が生活する場合
65歳以上の夫婦のみが暮らす世帯では、1ヶ月あたりの消費支出は22万4436円です。これに対して、実収入は、平均23万6576円となっており、その差はわずかです。しかし、税金などの非消費支出が3万664円かかるため、実際には、毎月1万8524円の不足が発生しています。
65歳以上の一人暮らしの場合
65歳以上の一人暮らし世帯では、1ヶ月あたり、13万2476円の消費支出がかかるとされています。
対して実収入は、平均13万5345円となっており、3000円ほど、収入が上回ります。一人暮らしの場合、税金などの非消費支出が1万2271円かかるため、実際には、毎月9402円の不足になります。
安心して過ごすために必要な老後資金の逆算方法
1ヶ月あたりに不足する平均金額が分かったところで、実際に、老後必要となる金額を計算してみましょう。
計算方法は、まず、1ヶ月単位の収入から支出を引くことで、月々の収支を洗い出します。その後、退職金などから、人生の最期までに必要な出費を差し引くことで算出します。
1)年金額と1ヶ月あたりの支出を計算
年金額から、食費や家賃・水道光熱費など、1ヶ月にかかる支出を差し引きます。ここには、経年劣化する家具や洋服類の購入費などのイレギュラーな出費も考慮して、3万円ほどの余裕をもって、計算をするとよいでしょう。
それを12ヶ月分として計算して、さらに、老後に過ごす年数を掛けあわせます。
例えば、年金収入の24万円に対して、支出額が30万円、老後年数を30年と仮定すると、(24万円-30万円)×12ヶ月×30年で、2160万円が不足する計算です。
2)年金以外に受け取る現金を算出
退職金や積立型保険の満期保険金など、65歳以降で得られる大きな収入を、一度書き出してみましょう。1)で計算した金額よりも下回る場合は、不足する金額を、早いうちから積み立てておく必要があります。
3)普段の生活以外にかかる大きな出費分は別途用意
老後生活のなかで、自宅のリフォームや葬儀、老人ホームの利用など、大きな出費が発生する場面があります。いざというときに、現金がないという事態を防ぐために、通常の出費とは別に、用意しておくことが大切です。
また、老後も豊かな生活を過ごすために、記念日の旅行費など、余裕をもった金額に設定しておくこともよいでしょう。
老後を見据えた資産形成とは
老後に必要なお金が、ある程度把握できたところで、実際に不足分を賄うためには、どうしたらよいかを考えましょう。ここでは、老後を見据えた資金形成として、日々の貯蓄方法や投資信託について、解説します。
30代・40代からの貯蓄
30代から40代の、収入が安定するころから貯蓄していきましょう。1年で50万円貯めるというと、一見大変そうですが、1ヶ月で4万円ずつ貯められるようにすれば、現実的になります。
手作りのお弁当を作ることで、外食の回数を減らしたり、コーヒーやタバコなどの購入頻度を減らしたりして、1日単位で、細かく見直しをすることが近道になります。
投資信託
より多くの老後資金を確保したいという方には、投資信託という方法があります。投資のプロに資金を預けて、株式や不動産投資などの投資を依頼します。貯蓄とは異なり、運用方法によっては、元本割れのリスクもありますので、運用会社選びは慎重に行いましょう。
複数の保険に加入
老後生活のなかで、万が一のトラブルが生じた際に、保険金が下りると、安心材料になります。
解約返戻金があらかじめ設定された保険を選ぶなど、いざというときに、まとまった現金が得られることが、保険商品の強みです。30代から40代にかけて、資金に余裕がある場合は、複数の保険に加入することを、検討してみてもよいでしょう。
若いうちから老後のお金を算出しておこう
老後に必要なお金は、年金などの定期的な収入から、日々の生活でかかる支出を差し引いた金額です。税金を考慮すると、毎月9000円から1万8000円の不足が発生します。
ゆとりある老後生活を送るためにも、30代・40代のうちから、老後に必要な金額を計算して、早めの資産形成を行いましょう。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
定年後は月12万円の「年金のみ」で暮らす予定です。90歳まで生きるとしたら「貯蓄」はいくら必要でしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月23日 6時0分
-
現在55歳で貯蓄が「3500万円」あります。早期退職したときの退職金は「500万円」なのですが、今後働かずに妻と二人で生活はできるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月15日 5時10分
-
シニア世代(65歳以上)の平均所得額はいくら?100歳まで生きるとして必要な「貯蓄額」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月12日 5時40分
-
来年定年退職ですが貯金は「500万円」で年金は夫婦で「15万円」ほどしかもらえません…再雇用で働こうと思っていますが月にいくら稼げば生活していけますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月12日 5時20分
-
50代一人暮らしの会社員です。「貯蓄ゼロ」ですが、年金でどうにかなりますよね?周りはもっと貯蓄しているのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月8日 5時10分
ランキング
-
1《総フォロワー500万人のインフルエンサー》なな茶がイベント“ファンの大量ドタキャン”に怒りの告白「すべて出禁にさせていただく」「“グラビアなんかしてるから”と心無いコメントも」
NEWSポストセブン / 2024年11月30日 11時15分
-
2ついに「スタバ離れ」がはじまった…カスタマイズするほど長くなる注文の"意外な落とし穴"
プレジデントオンライン / 2024年11月30日 9時15分
-
3路上ライブは「グレーな文化」として容認すべきか 「迷惑行為」「アーティストとしての表現」境界線
東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時51分
-
4ワークマンは「8800円ランドセル」で勝負…「過去最悪の少子化」でも異業種がランドセル市場に続々参入するワケ
プレジデントオンライン / 2024年11月29日 16時15分
-
5MUJI HOTEL「3500円朝ごはん」の"正直な感想" そこそこお値段のホテルビュッフェの評価は…?
東洋経済オンライン / 2024年11月30日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください