「超高齢化社会における地域の幸福を考える ジェロントロジーの視点から」イベント開催
ファイナンシャルフィールド / 2018年8月8日 23時0分
![「超高齢化社会における地域の幸福を考える ジェロントロジーの視点から」イベント開催](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_22110_0-small.jpg)
2018年7月30日に、一般社団法人 日本総合研究所主催で「超高齢化社会における地域の幸福を考える ジェロントロジーの視点から」というイベントが開かれました。 パネリストとして 埼玉県知事の上田 清司氏、三重県知事の鈴木 英敬氏、コーディネーターとして日本総合研究所の寺島 実郎氏の3名で行われ、高齢化社会に向けた各県における取り組み、今後の課題、提言が行われました。
埼玉県や三重県での高齢化社会に向けた取り組み
埼玉県では高齢者のひとり暮らしが27万6000世帯と30年間で11倍に増加し、一般世帯の約1割をしめています。また、同県では、東京に通勤、通学する人が多いのですが、退職すると、地域に戻ってきています。
現在、退職された高齢者が、地域社会で健康を維持して、金銭的にも精神的にも幸せに暮らしていくことが求められています。同県では、企業でのシニアの「働く場」の拡大として70歳雇用推進助成金の交付(最大200万円)や、定年の引き上げ、シニアの働きやすい職場づくりを目指し、シニア躍進推進宣言企業の認定を行っています。
また、働く意欲のあるシニアのために、セカンドキャリアセンターなどによる就業支援を行い、退職された方の再就職支援の成果をあげてきています。
退職後、会社との関わりがなくなったシニアが、孤独にならないように、同県ではシニアの地域デビューを後押しすることにも取り組んでいます。しかし、その取り組みは苦戦をしています。地域社会と関わりを持ってこなかった男性サラリーマンの、退職後における地域コミュニティーへの参画は、難易度が高いようです。
一方、三重県でも高齢化への取り組みがなされています。介護の現場では、介護士の人材不足が深刻な問題になっていますが、同県では、地域の元気な高齢者を介護の専門的な知識が必要のない「介護助手」として育成し、介護職場への就職を支援しています。
これにより、介護職が本来の介護業務に専念でき、高齢者にとっても住み慣れた地域で、自分に合った時間に働ける新たな就労先のひとつになっています。
高齢化社会へ向けた課題
日本は異次元の高齢化社会が訪れようとしており、それに、どう立ち向かうかはこれからの大きな日本の課題です。平均寿命は延びるけれども年金の受給金額は下がり、介護保険料は上がっていくと予想されています。高齢化社会の問題としては、どう老後の資金を確保していくかという金融からの観点があります。
同時に、お金だけでなく、健康で、精神的にも幸せに生きるという視点も重要になってきています。農村部では、一次産業に高齢者が従事することを通して、地域社会への参画が見られます。東京のベッドタウンである東京23区外、神奈川、埼玉、千葉の団地では、高齢化がどんどん加速しています。
しかし、都市郊外型の高齢化社会では、農村部と異なりシニアが地域参画することのプラットフォームが描きづらくなっており、高齢者の孤独化がすすんでいます。
シニアにどうやって地域社会に参画してもらうか
高齢化社会において、地元に戻ってきたシニアに、どうやって地域社会に参画してもらうかが重要です。今回のフォーラムでは、都市郊外と農村部をつなぎ、都市郊外在住のシニアにも農業に関わっていってもらい、地域社会に参画してもらうということや、そのパワーで、日本の自給率を上げるような「食と農」を再生させる構想の可能性が話し合われました。
また、アジアから日本へ、団体旅行だけではなく、個人旅行も大量に押し寄せる時代に入ってくることが予想されます。ハイエンドリピーターに対応する観光人材として地元の観光資源への理解や愛着があり、多様な関係者と協力しながら、観光づくりを実現させる能力を持った人材が必要となってきます。
アクティブな高齢者人材の中には、幅広い知見や洞察を生かし、この役割を担うことができる方もいらっしゃいます。そうなると、地域観光が、高齢者の地域参画のプラットフォームになっていく可能性があるのです。
このように、高齢者に積極的かつ適切に、地域社会に参画してもらうスキームを作ることができれば、そのパワーが日本の課題を解決し、再生させていく可能性があると感じることができたフォーラムでした。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
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