子どもを医者にするなら「6000万円」超の学費が必要!? 18歳までにいくら貯金しておくべき?
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月21日 10時30分
医者は社会的地位が高く、高水準な年収であることから、いつの時代も憧れの職業となっています。少子高齢化が進む日本において、医者の需要はさらに高まっていくことからも、「食いはぐれる心配がない」と自分の子どもに医者になってもらいたいと願う親も多いでしょう。 しかし、医者への道は非常に狭き門となっており、その門を通るためにはばく大な費用がかかることでも有名です。本記事では、子どもが医者になるためにかかる費用の総額を解説します。
大学卒業までの教育費平均額
まずは、大学卒業までにかかる教育費の平均額を確認しておきましょう。文部科学省の調査によると、子ども1人が大学卒業までにかかる教育費はすべて国公立で約800万円、すべて私立だと約2200万円という結果になっています(図表1)。これは学部問わずの教育費です。大学まで卒業させるだけでも、大きなお金が必要になることが分かります。
図表1
文部科学省 教育投資 参考資料集 2.教育費負担
医学部にかかる教育費
医者になるためには大学の医学部に進学する必要があり、医者になるための「ばく大な費用」の大部分は大学の学費になります。ただ進学先が、国立大学なのか私立大学なのかで数千万円変わってきます。世の中のすべての医者(もしくは医者の親)がばく大なお金を使って夢をかなえたわけではないのです。
国立大学なら約900万円
国立大学の医学部であれば、6年間にかかる学費は約350万円です。医学部の学費は高いというイメージがありますが、国立大学の学費は文部科学省が定めており、学部に関係なく定額となっています。
入学料28万2000円、1年間の授業料53万5800円であることから、6年間学ぶ必要がある医学部であっても総額349万6800円です。幼稚園からすべて公立に進学した場合の学費が約800万円なので、国立大の医学部はプラス2年分で約900万円となります。これが医者最安コースです。
私立大学なら4500万円超かかる場合も
私立大学の医学部に進学した場合の学費は、高い水準の例として川崎医科大学で約4500万円(2023年度)、低い水準の例として国際医療福祉大学で約1800万円(2023年度)となっており、一般家庭には目玉が飛び出る金額となっています。私立大学の学費は約500万円となっているので(図表1)、私立大学の医学部は別格の金額設定であることが分かります。
医者最高額コースは幼稚園からすべて私立ということになりますが、総額で約3500万円から約6200万円の費用がかかることになります。
学費以外にかかる教育費
医者になるためにかかる費用は学費だけではない場合がほとんどでしょう。学費以外にも以下の費用が考えられます。
下宿費用
進学先の大学が自宅から通えない場合には、自宅を離れて寮やアパートなどで生活するでしょう。その場合には仕送りが必要になります。全国大学生活協同組合連合会の調査によると、1ヶ月の仕送りの平均額は6万7650円(2022年)となっており、6年間で計算すると合計約487万円にもなります。
医学生の勉強量は非常に多く、他の学部の学生に比べるとアルバイトができる時間は少ないということも知っておきましょう。もしかすると平均額以上かかる可能性があります。
塾や予備校費用
医学部の偏差値は70前後、低くても60は優に超えます。子どもを医学部に合格させるためには、塾や予備校が必要になる場合がほとんどでしょう。
費用は塾や予備校によりさまざまですが、通常の予備校で50万円から300万円、医学部専門予備校では100万円から600万円かかるようです。通った年数分かかると思うと、すごい金額になりますね…。人によっては、塾や予備校費用も「ばく大な費用」に入るでしょう。
18歳までにいくら貯金しておくべきか
自宅から通える国立大学医学部への進学しか考えていない場合には、高校卒業時点で大学6年間分の学費として約350万円の貯金があれば、学費は支払える計算になります。下宿する場合にはプラス約500万円必要です。
私立大学医学部の場合には、学校によって学費が大きく変わります。低くても1800万円程度、多いと約4500万円という大学もあり、どこの大学でも大丈夫な状態にしておきたい場合には、下宿代(約500万円)込みで約5000万円の貯金が必要となります。
まとめ
医者になるためにかかるお金は、幼稚園から大学(医学部)まですべて公立、大学は自宅通い、塾や予備校なしの場合には総額約900万円です。塾や予備校に高校3年間通ったとすると、プラス数百万円になるでしょう。
幼稚園から大学(医学部)まですべて私立に通ったとすると、学費だけで総額6000万円以上になる可能性があります。年収443万円程度(国税庁が公表している給与所得者の平均額)の家庭では、年間100万円貯金したとしても60年かかる金額であり、多くの一般家庭において、すべてを親が出してあげることは難しいと考えられます。
まずは国立大学の進学を検討してみる、どうしても私立大学となる場合は、大学だけ私立大学に進学することや、奨学金の利用なども検討してみるとよいでしょう。
出典
文部科学省 教育投資 参考資料集 2.教育費負担
文部科学省 国立大学と私立大学の授業料等の推移
全国大学生活協同組合連合会 第58回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
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