「生涯現役」を意識しながら知っておこう! 65歳以降も働くメリット・デメリット
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月25日 7時10分
![「生涯現役」を意識しながら知っておこう! 65歳以降も働くメリット・デメリット](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_222161_0-small.jpg)
これまでの日本では60歳定年説がほとんどで、多くの企業団体では60歳で退職している状況でした。しかし、現在では65歳定年を採用する企業団体も増えています。公的年金の受取開始年齢が65歳であることから、65歳で定年退職後はセカンドライフを満喫する人もいる一方、まだまだ働きたいと考える人も多いようです。 そこで本記事では、65歳以降も生涯現役を目指して働く人が知っておきたいデメリットについて解説します。
在職老齢年金制度を理解して、より自分らしい働き方を目指そう
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、働けるうちはいつまでも働きたいと考える60歳以上の人は約4割にものぼる結果でした。このように生涯現役を意識することは、健康増進や社会とのつながりにも良い影響を与えると考えられます。
一方、公的年金の受給開始年齢は原則として65歳であり、ほとんどの場合働かなくても公的年金である程度の生活は維持できるものと考えられます。
この場合、知っておきたい制度として「在職老齢年金制度」があります。在職老齢年金制度とは、年金を受け取る年齢に到達した後に働き続けることで、本来もらえるはずの年金額に制限がかかる制度です。所得と年金額によって、年金額の減額または全額支給停止になることもあります。
在職老齢年金制度とは
日本年金機構ホームページでは、在職老齢年金について詳しく紹介されています。
在職老齢年金とは、70歳未満の人が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に就職する場合に対象になるとされています。具体的には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
制限を受ける詳細な金額については年金事務所等での試算が確実ですが、目安となる計算方法は次の通りです。
・基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円以下の場合、全額支給
・基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円を超える場合、次の計算式で求める
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
65歳以降も働く場合の注意点
在職老齢年金も念頭に置きながら、自身にとってメリットの多い働き方を進めるために注意したい内容を解説します。
まず、在職老齢年金で制限を受けて減額あるいは停止された年金は、その後受け取ることができるのかという点についてです。一度、制限を受けて満額もらえなかった年金は、その後改めて受け取ることはできません。そのため、前述の計算方法などを参考にしながら、年金ももらいながら所得ももらえる金額はどのくらいなのか、目安を決めておくとよいでしょう。
65歳以上でも働くメリットとは?
在職老齢年金は、厚生年金に加入する働き方をすることで、年金受取額に制限を受ける仕組みです。前述の計算方法に基づいて損をしない範囲で働くことで、老後資金を増やせるメリットがあります。
そもそも在職老齢年金は厚生年金の制度であるため、個人事業主として働いて収入を得る場合は対象外です。現役時代のスキルを生かして個人事業を開業するなど、フリーランスのような働き方であれば、年金受給額に制限を受けることはありません。
65歳以上でも働くメリットは、純粋に老後資金が増えることがまず挙げられます。そこで、在職老齢年金も意識しながら、厚生年金に加入する働き方も選べます。このほか、在職老齢年金を意識せず、自身の保有するキャリアやスキルを生かして個人事業主として活躍することもできます。自身のライフスタイルに合わせて、考えてみることをおすすめします。
まとめ
長寿高齢化が進み、元気な高齢者はこれからますます増加することが考えられます。生涯現役を意識して、公的年金をもらえる年齢であっても、継続して働くことは健康増進にもつながります。
一方、在職老齢年金制度を把握し、自身の場合はいくらまでなら年金受給額に制限を受けずに所得が得られるのかは、事前に知っておくことをおすすめします。一度制限を受けて受給できなかった年金は、後に取り戻すことはできません。そのため本来もらえる年金額を確保しながら、減額されない範囲で所得を得る働き方を検討することをおすすめします。
出典
内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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