これからの育児、異次元の少子化対策でどう変わる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月28日 12時10分
![これからの育児、異次元の少子化対策でどう変わる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_222759_0-small.jpg)
「異次元の少子化対策」と銘打ち、政府は出産や子育てに関する支援等を拡充しています。 2023年4月に第1回目のこども未来戦略会議が開かれましたが、そこでは、今後3年間で加速化して取り組むこども・子育て政策が発表されました。どのような政策があるのか、まとめました。
経済的支援の内容
「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化」として、下記内容が発表されています。
1. 児童手当の拡充
現状の児童手当は、所得制限内であれば3歳未満一律1万5000円、3歳以上小学校卒業まで1万円(第3子以降1万5000円)、中学生一律1万円ですが、これを、所得制限を撤廃した上で支給期間を高校卒業まで延長するとともに、第3子以降には3万円が支給される予定です。
2. 出産等の経済的負担の軽減
現在「出産・ 子育て応援交付金」として、妊娠した時に5万円、出産した時に5万円、合計10万円を応援金として支給している出産・子育て応援事業の制度化が検討されています。
また、出産時に健康保険から支給される「出産育児一時金」は2023年4月に42万円から50万円に引き上げられたばかりですが、将来的には、出産費用(正常分娩) の保険適用の導入も含めて支援のあり方が検討されます。
3. 学校給食費の無償化に向けた課題の整理
学校給食費の無償化は、家計負担軽減に即効性がありますが、まだ「課題の整理を行う」段階のようです(2023年7月時点)。しかし、都内では2023年4月からすでに葛飾区や中央区、北区などが区立小中学校の給食費を無償化しています。
4. 高等教育の負担軽減
現在、大学や専門学校などへの進学において、給付型奨学金と授業料・入学金減免の支援を受けられるのは、年収目安が380万円までの世帯ですが、令和6年度から多子世帯や理工農系の学生等については、世帯年収約600万円までに拡大される予定です。
また、大学院の授業料後払い制度(仮称)が検討されています。大学院在学中の授業料は国が立て替え、本人の年収が300万円程度になった段階で、授業料納付がスタートするというものです。年収は、たとえば子どもが2人の場合は、300万円ではなく400万円を基準するなど、子育て期に配慮するようです。
5. 住宅支援強化
子育て環境に優れた地域にある公的賃貸住宅などに、子育て世帯等が優先的に入居できる取り組み、空き家の改修や子育て世帯の入居がしやすいよう、既存の民間住宅の活用、多子世帯の住宅取得時の金利負担を軽減するためのフラット35支援の充実、子どもの声や音などに気兼ねせず入居できる環境づくりへの取り組みが予定されています。
子育て支援サービス拡充の内容
「全てのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充」として、下記内容が発表されています。
1. 「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設
就労要件を問わず時間単位等で利用できる通園制度が検討されています。また、病児保育の充実を図ることも検討されています。
2. 新・放課後子ども総合プランの着実な実施
これは、小1の壁打破のためのプランです。放課後児童クラブの待機児童を削減するため、職員配置の改善を図ることが検討されています。
3. 社会的養護、障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実とひとり親家庭の自立支援
子どもの貧困、障がいのある子、医療的ケア児、異なる文化を持つ子、ヤングケアラーなどに対する支援強化やきめ細かい対応について今後議論されます。
子育て支援サービス拡充の内容
「共働き・共育ての推進」として、下記内容が発表されています。
1. 男性育休当たり前社会
現在、赤ちゃんが生まれてから、8週以内に最大28日取得できる産後パパ育休制度がありますが、一定期間以上の産後パパ育休を取得した場合や、女性の産休後の育休について28日間の育休給付率を手取りで10割相当へと引き上げられるよう検討されています。それに加えて、男性育休取得率の目標を下記のとおり引き上げています。
2025年 公務員 85%(1週間以上の取得率)、民間 50%
2030年 公務員 85%(2週間以上の取得率)、民間 85%
併せて、男女とも気兼ねなく育休を取得できるよう中小企業に対する助成措置が大幅に強化されるようです。
2. 多様な働き方と子育ての両立支援
現在、雇用保険が適用されていない週の所定労働時間が20時間未満の労働者についても、失業給付や育休手当を受給できるよう、雇用保険の適用拡大に向けた検討が進められます。
また、自営業者の場合、産前産後期間の国民年金の保険料は免除制度がありますが、育児期間の保険料免除制度はないため、その創設についても2026年度までの実施が目指されています。
財源はどうする?
これらを実施するにあたっては、財源が必要です。しかし、財源については、歳出削減などで補い、増税などの追加負担はしないと政府は述べています。
一方で2030年初頭までに子ども1人あたりの予算の倍増を目指しているようで、この財源についてはさらに検討するとされています。
今後の動向も引き続き、要チェックです。
出典
内閣府 こども・子育て政策の強化について(試案) 〜次元の異なる少子化対策の実現に向けて〜
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
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