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利用者は少ない? 秘密証書遺言の特徴

ファイナンシャルフィールド / 2023年7月28日 22時10分

利用者は少ない? 秘密証書遺言の特徴

自身の最後の意思表示として書く遺言。民法で定められた遺言には秘密証書遺言があります。自筆証書遺言や公正証書遺言と比べるとなじみがないものとされていますが、この秘密証書遺言にはどのような特徴があるのでしょうか。

秘密証書遺言の特徴

秘密証書遺言とは、遺言の内容を本人以外の人には秘密にしながら作成できる遺言で、その作成手順については【図表1】のとおりです。まず、遺言者本人が遺言書を作成し、署名・押印します。そして、その遺言書を封筒に入れて、遺言書の押印で用いた印鑑で封印します。
 
その後、公証役場で、公証人と証人2人の前でその封筒の中身が自身の遺言であることや遺言者の氏名と住所を申述します。公証人とは、公証役場にいる法律の専門家で、法務大臣が元裁判官などから任命する公務員です。
 
また、2人以上の証人が必要ですが、証人については自分で見つけられない場合は公証役場より有料で紹介してもらえることもあります。
 
その公証人が遺言書の提出日と申述内容を封筒に記載し、遺言者と証人はそれぞれ封筒に署名・押印します。これで遺言は完成となり、遺言者がその完成した遺言を持ち帰り、自身で保管します。
 


 
このように秘密証書遺言は、封印されていることによって遺言の内容を秘密にしながら、自身の死後に遺言の存在が遺族に伝わるようにできます。
 
自筆証書遺言と異なり、遺言の中身をパソコンで作成することも可能です(※署名だけは自筆)。また、本人以外に中身は知られてしまうものの、他の人の代筆による作成も認められています。
 

秘密証書遺言の注意点

しかし、秘密証書遺言には注意点もあります。まず、自筆証書遺言と異なり、公証役場に行く必要があるため、作成には費用(※公証役場手数料1万1000円)がかかります。また、遺言者の死亡後、その秘密証書遺言について家庭裁判所で検認が必要です。
 
遺言の検認を受けずに開封すると遺言が無効となりますが、公証役場で原本を保管する公正証書遺言と異なり、秘密証書遺言は遺言者自らが保管することになるため、紛失のリスクは残っています。
 
せっかく遺言書を作成したのに、死後その遺言書が誰にも発見されない恐れもあるということです。自筆証書遺言のように、法務局での遺言書保管制度もありません。そのため、遺言者が秘密証書遺言を厳重に管理しなければなりません。
 
そもそも、遺言の内容や形式面について公証人は確認しませんので、有効な遺言であることも保証されていません。せっかく費用と手間をかけて作成しても、遺言に不備があれば無駄になってしまいます。
 

利用者は少ない実情

秘密証書遺言には以上のような特徴があり、自筆証書遺言、公正証書遺言と比較すると【図表2】のとおりです。
 


 
実際のところ秘密証書遺言は、メリットとされる点はうまく生かされず、デメリットが多いことから、あまり利用がされていないのが実情となっています。そのため、ややマイナーな遺言であるといえるでしょう。
 
それでも制度としては認められている遺言です。遺言の作成にあたって、自筆証書遺言や公正証書遺言、また、今後将来制度化が進められる予定のデジタル遺言などと比較検討したうえで、作成方法を決めましょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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