子どもが「スタバ」と「Uber Eats」のバイトを掛け持ちしていたら要注意? 親の扶養に入る所得の考え方について解説!
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月29日 10時40分
![子どもが「スタバ」と「Uber Eats」のバイトを掛け持ちしていたら要注意? 親の扶養に入る所得の考え方について解説!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_223476_0-small.jpg)
一口にバイトで得る所得といっても、スターバックス(以下スタバ)で稼ぐ場合は給与所得、Uber Eatsの場合は雑所得か事業所得と区分が異なります。子どものアルバイトの年間合計所得金額が48万円を超えてしまうと、親の扶養から外れてしまうので、子どもが複数のバイトをしている場合はそれぞれの所得の合算が必要です。 本記事では、給与所得と雑所得・事業所得の算出方法と、親の税金上の扶養に入る条件を解説します。
税金上の扶養に入る条件
親の税金上の扶養に入る条件の1つに、扶養される人の年間の合計所得金額が48万円以下という所得要件があります。1つのバイトだけならば、該当するかどうか計算するのは簡単ですが、複数のバイトを掛け持ちしていると、考え方が違って複雑になる場合があります。
スタバで働いている場合
スタバでのアルバイトは雇用契約となり、そこで支払われるバイト代は給与所得です。扶養を判定する基準金額が48万円以下なので、これに給与所得控除55万円を足すと、年間の給与収入が103万円以下であれば税金上の親の扶養になることがわかります。
スタバでドリンクを提供するなどの業務を行うバリスタを例に考えてみましょう。時給1140円で1日5時間・週3日の条件でバイトをしたとします。ここでは、わかりやすくするために通勤手当などの諸条件や天引き等は一切考慮しません。
1140円×5時間×3日×4週×12ヶ月=82万800円
82万800円-55万円=27万800円
算出された所得金額27万800円は扶養の基準となる48万円以下なので、税金上の親の扶養に入れます。
Uber Eatsで働いている場合
Uber Eatsで働いた場合、雇用契約ではなく業務委託契約となるため、そこでの所得は雑所得または事業所得となります。そのため、正確にはUber Eatsで働くことは「アルバイト」ではありません。 副業でも年間の収入が300万円を超えるような事業規模で行われ、会計帳簿類が備えられている場合は事業所得となり、それ以外は雑所得となります。それぞれの所得金額は、次のとおり収入から経費を引いて求めます。
収入(予定配送料+チップ)-経費=所得
なお、経費計上には注意が必要です。経費には、自転車やバイクの購入費や整備費、備品代、駐車料金、スマホの通信量、夏場の飲料代や冬場の防寒着などが考えられます。経費計上する際には、これらがUber Eatsでの業務に関係あるかどうかをハッキリさせるために案分が必要です。自転車やバイクが配達専用ではなく、普段も使っているものであれば、使用時間など合理的な基準で案分する必要があります。
それをふまえ、上記の計算式で、毎月の所得が4万円となれば12ヶ月で48万円となるので、税金上の親の扶養に入れます。給与所得と同じように年間103万円まで収入を得ても大丈夫だと思っていると、収入と所得は異なるので、基準を大きくオーバーすることになります。
●基準をクリアする例
収入50万円-経費2万円=所得48万円
●基準をオーバーする例
収入103万円-経費13万円=所得90万円>48万円
スタバとUber Eatsを掛け持ちしている場合
前述したとおり、年間の合計所得金額が48万円以下なら扶養親族の対象となりますが、バイトなどを掛け持ちしていた場合はそれぞれ合算が必要です。これまでの例で合算してみましょう。
●スタバの給与所得 27万800円
●Uber Eatsの雑所得 48万円
合計すると、約75万円の合計所得金額となります。
この場合、扶養を判定する基準を超えてしまうので、親は子どもの分の扶養控除を受けられません。扶養控除を受け続けたい希望があれば、どちらかの勤務時間を減らして所得を抑える必要があります。
社会保険の扶養は税金上の扶養とは基準が異なる
税金上の扶養と間違えやすいものに、社会保険の扶養があります。子どもが親の扶養に入るための所得要件は次のとおりです。
●子どもの年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、180万円未満)
●同居の場合:子どもの収入が扶養者(親)の収入の半分未満(原則)
●別居の場合:子どもの収入が扶養者(親)からの仕送り額未満
子どもの年収が130万円以上になると、社会保険上の扶養として認められません。国民健康保険に加入するか、アルバイト先の社会保険に加入し、自身で健康保険料や年金保険料を支払うことになります。
かえって負担が増えないように所得の把握をしておこう
子どもがアルバイトをしている場合は、そのアルバイトの所得が何であるかを確認したうえで、まず年間の収入を適切に見積もり、親の扶養に入れるかどうかを判断することが必要です。基準額を超えると親の扶養控除の対象外となり、金額によっては社会保険の扶養からも外れてしまう場合があります。もし、扶養から外れても子どもが稼ぎたいという場合は、自身で健康保険や年金保険料を支払うことが必要になります。
子どもがお金を稼ぎたいと思う気持ちを持つことは大切なことです。子どもがアルバイトをしている場合は、扶養の話をきっかけに所得の話をするとともに、お金を稼ぐとどのような影響があるのかを共有すると、子どもの金銭感覚を磨くのに役に立つでしょう。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー
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