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クラウドクレジット株式会社代表取締役・杉山智行さんに聞く 第1回:最先端の金融技術で、お金を必要としている国にお金を届けるのがミッション

ファイナンシャルフィールド / 2018年8月27日 3時0分

クラウドクレジット株式会社代表取締役・杉山智行さんに聞く 第1回:最先端の金融技術で、お金を必要としている国にお金を届けるのがミッション

人生100年時代と言われるようになりましたが、果たして私たちはビジョンを持って「人生100年」を受け止めているのでしょうか?   この対談企画では、様々な分野の方にお話しをお聞きし、人生100年時代のビジョンを読者のみなさんと作り上げていきたいと考えています。   成長著しい新興国へ融資を通じて社会を豊かにするお金の流れを創り出すクラウドクレジット。35歳の杉山社長にお話しを伺いました。  

世界中に投資としてのお金を届けていくサービス

山中:杉山さん、今日はどうぞよろしくお願いします。まずは御社のお仕事を教えて下さい。
杉山:世界中に投資としてのお金を届けていくサービスを、貸付型ファンドという仕組みを用いて提供しています。個人投資家の方に出資をいただき、そのお金をカメルーン、ペルーや東ヨーロッパの国々に届けるというサービスです。
山中:いろんな国に貸付をされていますが、正直場所がどこか分からない国もありますね(笑)
杉山:新興国はアジア、アフリカ、ラテンアメリカに加えて東ヨーロッパに多いですが、この4地域を中心に案件をご提供しています。
山中:資金のご提供、貸付とのことですが、いわゆる株式投資とは違って、上場していない会社や、プロジェクトに対してお金を貸すということでしょうか?
杉山:まさに、おっしゃる通りです。個人投資家の方の資産運用の王道は上場株式投資ですが、それだけだと日米欧の上場企業、政府機関や国際機関という世界の富のピラミッドの頂点のごくごく一部でお金がくるくるまわっているだけなんですね。ここ150年ほどは上場株式投資、債券投資ではリーチできない市中でお金を還流させるいうことを日本、欧州、米国では銀行という主体が行ってきました。
しかし近年、新興国で人口が増加し、経済的にも成長して世界の社会、経済におけるプレゼンスが高まってきていると思うのですが、新興国の市中への投融資はリスクが高いため、元本保証の預金を原資として貸付を行う銀行はそこでリスクテイクをできずなかなかお金が回らない。そこに貸付型ファンドという仕組みを使いお金が還流している状態をつくることを、クラウドクレジットは目指しています。
 

リスクマネジメントをしっかりすることは大切

山中:担保がないような新しい事業とか、銀行がなかなかお金を貸せないようなところに貸し付けをするんですね。貸出先のリサーチは大変なんじゃないですか。
杉山:銀行の貸出先よりリスクが高い分野なのでリスクマネジメントをしっかりすることは大切ですが、リサーチは通常の銀行と変わらないと思います。
山中:支払いの遅延などは起こり得ますよね。
杉山:そうですね。5%、10%というような金利をとって融資をしていくセグメントが安心安全ということはありえませんので。基本的には遅延やデフォルトというのが起こりながら、それらを考慮した後のネット・リターンとして超長期の株式投資と同程度の5%から8%くらいのリターンを目指していけるといいのかなと思っています。
例えば、アフリカの未電化地区を電化するということで分散型の太陽光発電事業者が急成長しているのですが、実際にはお金を託す以上、一定以上のガバナンスがある企業でないと貸付できません。融資先企業のソーシング法は企業秘密(笑)ですが、彼らの活動や資金ニーズを教えていただき、審査に入ります。
実際そこから審査を通過できるのは5%から10%程度です。2018年7月現在は開業以来当社から企業さんに営業を行って貸付に至ったという案件が100%になっています。理想はより幅広い方に投資としてのお金を届けることですが、当社は投資家の方のお金をお預かりして運用する業者でもあるため、その観点から現在は当社が貸したい企業に貸していくという方針をとっています。
山中:狭き門ですね。
杉山:当社のコンセプトは、お金が余っている国とお金が足りない国を金融で結びつけることです。それは資本市場からも銀行からもアクセスがないところにお金をつけていくということですが、パフォーマンスが出ていないファンドは投資家の方に選ばれなくなっていきビジョンの達成もおぼつかなくなるため、そこは現実的に一歩一歩お金が届く範囲を拡げていくということにしています。
山中:正直名前を聞いた事がないような通貨への投資もありますね。
杉山:通貨というのは当事国のマクロ経済のファンダメンタルズがあって変動します。それを分析して、リスクがあってもそのリスクに見合うリスクプレミアムとしての金利がとれるのであれば、リスクテイクする価値はあると考えています。
日本でメジャーな一部の新興国通貨を除くと日本で新興国通貨、フロンティア通貨のファンダメンタルズ分析を行う人はいなかったのですが、当社は通貨ごとに必要となるリスクプレミアムとしての金利水準を分析・算出するチームを立ち上げました。
通貨ごとのベース金利に加えて貸付先の貸し倒れリスクに対して求められるリスクプレミアムとしての金利をさらに上乗せして、その金利水準で資金需要者である企業と合意できれば貸付の実行を行います。
新興国通貨はまだ日本にちゃんと分析して一般の方にお伝えできる方がほとんどいない分野ですが、当社は金利・為替のプロが揃っているので、新しいフロンティアをどんどん切り開いていきたいと考えています。
 

へッジファンド勤務時代に培ったノウハウが活きている

山中:杉山さんはヘッジファンド出身(注:証券会社の社内ヘッジファンド)なんですよね。ヘッジファンドといえば、金融の最先端のさらに最先端。とにかく儲け重視で今のお仕事とはだいぶ違うような気もするのですが。
杉山:そうですね。でも全く逆方向という訳でもないんです。証券会社の社内ヘッジファンドにいたころ、世界のトップクラスと言われるようなヘッジファンドマネージャーはリアルマネーの流れを理解していると聞いたりして、そこがすごい大事なんだろうなって思い、ロイズ銀行というイギリスのリテール銀行に転職をしました。
海外留学しているお子さんのために送金をするとか、フィリピンから出稼ぎで来ている方が母国に稼いだお金を送金するとか、本当に生活のためのお金を送るという実需のためのサービスを提供してその便益の見返りとして手数料をいただくという商売をすばらしいと思うようになりました。
クラウドクレジットという会社はトレーディングで金融商品の売買をするというよりは、そういった実需のニーズに応える金融サービスをやっていく会社です。ただ、実際にはへッジファンド勤務時代に培ったノウハウが活きているなと思っています。
山中:なるほど。ノウハウ的には広がって、見ている角度が変わったっていう感じなんですね。
杉山:そうですね。コンセプトはヘッジファンドとは似ても似つかないのですが、お金を運用するという活動を行う限り金融市場という大きな怪物と対峙するに当たってリスクマネジメントは絶対に避けて通ることはできませんので、そこはヘッジファンドと全く同じことをやっているとも言えます。
(第1回目終了)
interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)

Photo:新美 勝(にいみ まさる)

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